Germanium AM radio

(温故知新)故きを温ねて新しきを知るコーナー

製作の背景

昔、「学研の科学」にゲルマニウム・ラジオが付録されていました。
庭に竹でアンテナを建て、ラジオが聴こえてきた時の感動は忘れられません。
しかも電源なしというのは摩訶不思議なことでした。
少しあとになり原理も理解したところで作成したものです。
電波とは何かを知った原点です。

仕様

受信周波数535KHz - 1605KHz
検波方式ゲルマニウム・ダイオードによるAM検波
出力イヤホン
電源不要

回路図




ポリ・バリコンとバーアンテナの組み合わせ
ポリ・バリコンバーアンテナ
260pF330uH
150pF600uH

部品表

ゲルマニウム・ダイオードD1, 型番不明、代替品1N60,1N34,1S188
ポリ・バリコン(単連)VC, 260pF、CBM-113B-1C4
インダクタL1, 330uH、太陽誘電LAL03NA331K
抵抗R1, 1M、カーボン皮膜抵抗1/4W
セラミック・イヤホン型番不明、日本製

動作原理


同調出力波形です。

検波出力波形です。

改良

修理がてら、現代技術の手をいれてみました。
症状はラジオを受信するものの音が小さいというものです。
はじめはゲルマニウム・ダイオードを疑い、新品の1N60に交換したところ逆にまったく聞こえなくなりました。
原因はクリスタル・イヤホン(最近はセラミック・イヤホンというらしい)が経年劣化していたようで、交換したところ良好になりました。
そこで古くなっていたポリ・バリコンも交換し、ゲルマニウム・ラジオではアンテナの役目を果たしていないバーアンテナも単なるマイクロ・インダクタに変更しました。
バーアンテナは330uH程度です。
この変更により、小型軽量になりました。
さて新品の1N60で聞こえなくなるという思わぬトラブルからゲルマニウム・ダイオードの性能が判明しました。
なんと型番不明のゲルマニウム・ダイオードが1N60よりはるかに性能がよいのです。経年劣化していたクリスタル・イヤホンを鳴らすことができたのはこれだけでした。
よく見てみると、1N60より一回り小さく、点接触する金属線が見えないくらい細いことがわかります。接点が小さいことが性能の差に出ているようです。
今となっては入手困難でしょう。
型番不明
1N34、日立
1N60、ユニゾン
1S188、三洋
1SS108、日立
聞き比べてみたところ1N34、1S188は1N60と同等性能のようです。
性能がよいとうわさのショットキー・バリア・ダイオード1SS108でも検波できますが、選局度がよくありません。
電波の検波電圧は微小電圧であり、ショットキー・バリア・ダイオードの立ち上がり電圧0.2Vよりはるかに小さいところでの特性が良くないことが原因と思われます。
ゲルマニウム・ダイオード性能
型番不明
1N34
1N60
1S188
1SS108
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