実用的な2石レフレックス・ラジオです。
ゲルマニウム・ラジオはやっと聞けるというレベルで、大電力局で距離が近いという条件に恵まれる必要がありました。
ストレート・ラジオは感度がよいものの選択度が低く、弱電波局が埋もれてしまう弱点がありました。
そんなとき出会ったのがレフレックス・ラジオです。
レフレックス・ラジオは原理が非常に簡単でありながら、感度も高く、選択度も鋭く、実用的なラジオです。
製作するならもっともお勧めのラジオです。現在主流のスーパーヘテロダイン方式にも引けをとらないでしょう。
受信周波数 535KHz - 1605KHz 受信方式 レフレックス方式 出力 イヤホン 電源 単三x1 消費電流 3.7mA 電池寿命 アルカリ電池2000mAH/3.7mA=540hour
- 検波器のダイオードは従来1N60などが使用されてきましたが、シリコン・ダイオードでもバイアス(R1)を掛ければ使用できます。
- シリコン・ダイオードの方が入手性が良く、性能のばらつきも少ない利点があります。
- R1はQ1ベースのバイアスでもあります。
- 後段の低周波増幅器でマグネチック・イヤホンやスピーカーを駆動します。
- 音量調節する場合はR2を可変抵抗にします(Aカーブが望ましいですがBカーブでも可)。
- 外部アンテナなしに、電波の弱い局でも受信することができます。
- 感度も高く、選択度も良好です。
- 電池一本でスピーカーを鳴らすことができます。
- レフレックス・ラジオはその仕組み上、発振しやすいという弱点がありますが、この回路は絶妙のバランスです。
SL-55GT、あさひ通信
値 数 備考 100K 1 R1 カーボン皮膜抵抗1/4W 1K 1 R2 カーボン皮膜抵抗1/4W 47K 1 R3 カーボン皮膜抵抗1/4W 680pF 1 C1 セラミックコンデンサ 0.001uF 1 C2 セラミックコンデンサ 0.01uF 1 C3 セラミックコンデンサ 10uF 1 C4 縦型電解コンデンサ(耐圧16V) 1N4148 2 D1, D2 代替品1S2076A 2mH 1 L1 小型インダクタ、1から3mHの範囲ならOK 2SC1815 2 Q1, Q2 NPN汎用トランジスタ、ランクはY,GRなど SP 1 SP マグネチック・イヤホン 260pF 1 VC 単連ポリバリコン、CBM-113B-1C4 330uH 1 T1 バーアンテナ、SL-55GT、代替品BA-200
BA-200、アイコー電子
Q1のコレクタ波形です(ACフィルタ)。AM波形と低周波を増幅していることがわかります。
- この原理を考え出した方には感嘆させられます。英語では Reflectional receiverと呼びます。
- レフレックス(reflex)とは反射を意味しますが、出力の一部を反射させる(フィードバックする)ことが由来のようです。
- 非常に巧妙で高周波(電波)と低周波(音声)を一石で同時に増幅してしまう、まさに一石二鳥の原理です。
- しかもフィードバックを掛けることで、感度も上げ、選択度も改善します。
- フィードバックしすぎると発振してしまうので、絶妙のバランスを保たせます。
- インダクタによるローパスフィルタとコンデンサによるハイパスフィルタで信号を分離します。
- 検波器は電波から音声を取り出す回路です。
低周波出力波形です(ACフィルタ)。インダクターによるフィルタで、低周波出力されていることがわかります。
- バーアンテナを金属製のワイヤーで固定してはいけません。周波数範囲が移動します。プラスチック製の結束バンドを利用します。
- バーアンテナの下にシールドを設けてはいけません。感度が下がります。
一般的なラジオの性能の目安です。ラジオの進化の歴史といってもよいでしょう。(C)2010 All rights reserved by Y.Onodera.
ゲルマニウム・ラジオ<ストレート・ラジオ<レフレックス・ラジオ<スーパーヘテロダイン<ダイレクト・コンバージョン
- レフレックス・ラジオはストレート・ラジオから進化
- ダイレクト・コンバージョンはスーパーヘテロダインの中間周波数を省いて直接復調する方式なので原理は同じ
- ソフトウェア・ラジオもダイレクト・コンバージョン