デジタルセンサーを用いた気圧計、高度計です。
気圧がわかると、高度も推定することができます。ほとんどの高度計はこの原理を利用しています。
AE-SCP1000-D01もMPL115A2も大気圧をデジタル出力するセンサーです。
どちらも温度センサーを内蔵しています。
- MPL115A2を扱いやすいようにDIP変換します。
- MPL115A2から得られる生データをデータシートに従い、補正して大気圧データとします。
国際民間航空機関(ICAO)が定めた標準大気モデルがあります。
対流圏(高度11km以下)においてこの大気モデルは実際とよく合います。
乾燥気体は理想気体とみなすことができます。
理想気体においてはボイル・シャルルの法則を適用できます。
ところで1[km]の高度差における気温差は6.5[C]です。
もし高精度で気温を測定できれば、高度を推定することができます(海面気温T0=15[C]と想定)。
しかし高度1[m]の気温差は0.0065[C]ですので、1[m]の分解能を得るためには小数点以下4桁の気温精度が必要です。
これは事実上不可能ですので、ボイル・シャルルの法則を利用し、気圧から高度を推定します。
標準大気モデルは海面気温T0=15[C]、海面気圧P0=101325[Pa]を想定しています。
現在地気温T[K]から海面気温T0[K]の推定式(1)
現在地気圧P[Pa]から高度h[m]の推定式(2)
(1)と(2)の連立方程式を解くと現在地気圧P[Pa]と現在地気温T[K]から高度h[m]を導くことができます。
定数は以下のとおりです。
表示 LCD表示 分解能 SCP1000-D01=1.5[Pa], MPL115A2=1.5[hPa] 精度 SCP1000-D01=±200[Pa], MPL115A2=±10[hPa] 電源 単三 x2 消費電流 10mA 電池寿命 2000mAH/10mA=200hour
- 3.3V電源で統一します。
- 持ち運び可能とするため電池駆動とします。精度向上のため、3.3Vレギュレータ使用が望ましいでしょう。
- AN0は電池電圧のモニター用です。
- 3.3V電源では液晶のコントラスト不足のため、コッククロフト回路でマイナス電源を供給します。
- SCP1000-D01とはSPI接続、MPL115A2とはI2C接続です。
- 高度計算のために浮動小数点演算を必要とするため、プログラム容量の大きいPIC24GA002を利用します。
値 数 備考 PIC24F64GA002 1 IC1 マイクロチップ(秋月) AE-SCP1000-D01 1 IC2 圧力センサー(秋月) MPL115A2 1 IC3 圧力センサー(秋月) SD1602 1 LCD1 キャラクタLCD, 16桁x2行(秋月) HT7733A 1 R0 DCDCコンバータ(秋月) 10K 1 R1 カーボン皮膜抵抗1/4W 4.7K 2 R2,R3 カーボン皮膜抵抗1/4W 0.01uF 2 C1,C2 積層セラミックコンデンサ 1uF 1 C6 積層セラミックコンデンサ 47uF 2 C4,C5 縦型電解コンデンサ(耐圧16V) 10uF 1 C3 縦型電解コンデンサ(耐圧16V) 1N4148 2 D1,D2 汎用ダイオード(秋月) 1S4 1 D3 ショットキーバリアダイオード(秋月) 47uH 1 L1 インダクター, TDK
気象の影響について(気象条件が与える気圧変動)
- 標準大気モデルは海面気温=15[C]、海面気圧=101325[Pa]と想定しているため、 この想定の崩れるような気象条件では高度推定に影響を及ぼします。
- 海面気温の影響は現地気温で考慮されており、夏場と冬場の気温変動は考慮されています。
- しかし海面気圧の変動は考慮されていません。
- 年間の通常気圧変動は1000hPaから1025hPaに収まっており、比較的安定しています。
- この変動による地上付近の高度換算誤差は約±100[m]に相当します。
- 台風で海面気圧=960[hPa]となれば、地上付近の高度換算誤差は約450[m]と非常に大きいものになります。
いずれにしても気象変動により±100[m]前後の誤差を生じます。
- また、標準大気モデルは乾燥空気を想定しているため、雨天など湿度の高いときに誤差を生じます。
- 湿度の上昇により、大気の平均分子量が重くなるため、気体定数に影響を及ぼすためです。
- MPLAB IDEとMPLAB C30で開発しました。
- I2Cマスター制御とSPIマスター制御は慣れるまでに時間がかかります。
- デジタルセンサーですので、較正の必要がありません。
- やはりMPL115PA2よりもSCP1000の方が精度が良いです。
- 気圧は常時±100Pa前後変動します。
- 気温は常時±1C前後変動します。
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GPS MPS-2407 MPL115PA2 SCP1000 1460.10m 1429.72m 1393.36m 1442.42m - 86013.22Pa 85994.62Pa 85812.87Pa - 20.29C 12.48C 18.20C
GPS MPS-2407 MPL115PA2 SCP1000 2388.00m 2293.45m 2290.58m 2134.99m - 77630.51Pa 77207.23Pa 78901.00Pa - 13.67C 7.43C 11.80C
- 富士山スカイラインでの標高テストです。(2011-07-15、晴れ)
- MPL115PA2は気温誤差が大きいようです。補正が必要です。
- デジタルよりもアナログのMPS-2407の方が精度が高いようです。
- 理論どおりの気圧と標高の関係があることを確認できました。