消費電力の解説
はじめに
- どうも誤解が多いとわかりました。
- 気が付いていないだけといったほうが正しいかもしれません。
- 消費電力にはいくつかの種類があります。これが混乱の元です。
- 消費電力と供給電力も区別しなければなりません。
- 消費電力=供給電力ですが、視点を変える必要があります。
- 定格の意味も解説します。
- 基本中の基本です。
- ※皮相電力、有効電力、無効電力、位相、力率など専門的な話をしません。それ以前の話をします。
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(1)平均消費電力
- 一般的に消費電力といえば、平均消費電力を意味します。
- 電力計で測定するのも平均消費電力(正確には平均有効電力)です。瞬間的な電力を測定できません。
- 電力量計は平均消費電力の積算値です。1kWhなど。1000Wを1時間(hour)使用した電力量です。
- 一般的に家電の電力は一定ではありません。瞬間的にみると大きくなったり、小さくなったりします。
- 電気を入れた瞬間から切るまで、ずっと一定の平均消費電力ではありません。
- ※白熱電球や蛍光灯でさえ、電気を入れた瞬間から安定するまで短時間ですが変動します。
- ※白熱電球はフィラメントが温まるまでに電流が変動します。蛍光灯はスターターの動作のために電流が変動します。
- ※そもそも交流は瞬間的にゼロVになるため、瞬間的に消費電力はゼロWになります。瞬間的にみると常に変化しています。
- ※50Hzあるいは60Hzで平均してみると変動がないように見えているだけです。
- 一定なのは電圧です。例えば商用電源は100Vです。微妙に変動しますが、誤差の範囲です。
- これを電圧源と呼びます。
- 電圧源の電圧は一定ですが、電流は変動します。たとえばある時は1A、ある時は2Aだったりします。
- 電力=電圧×電流
- ですから電力も変動します。
- 平均消費電力も長い時間の中で変動します。
(2)最大消費電力(ピーク電力、尖頭(せんとう)電力)
- 電力は負荷の変化により変動します。その中で最大値を最大消費電力と呼びます。
- 特にモーター(電動機)は電気を入れた瞬間の大きな突入電流が知られています。
- 瞬間的に平均電力の数倍の電力を必要とします。
- 扇風機、掃除機などです。
- 安全装置が働くと電源供給を停止(遮断)することがあります。
- たとえば、掃除機の電気を入れた瞬間にブレーカーが落ちたりします。
- このため最近はモーター制御にインバーター制御装置を搭載します。
- インバーターで制御することにより突入電流を抑えたり、効率的な制御をします。
- エアコンはインバーターを搭載しています。
- インバーターとは周波数を変動させて制御するので、聞こえる周波数なら独特の音がします。
- 鉄道ファンならVVVFインバーターの音を聞いたことがあるでしょう。
- デジタル機器なら瞬間的に倍の電力になることもあります。
(3)定格消費電力
- 定格(最大)消費電力とは通常使用において安全に使用できる最大の電力です。
- 個体差も考慮に入れ、メーカーが指定します。人が定格を決定します。
- 実際に測定した最大電力に余裕(あるいは安全率)を持たせて決定します。
- つまり通常使用において定格消費電力を超えることはないですよという保証値です。
- ※この通常使用という条件が家電製品によって規定されています。
- ※例えばエアコンなら外気温のモデルがあります。設定温度も冷房時27度、暖房時20度と規定されています。
- 注意しなければいけないのは定格(平均)消費電力もあります。
- 平均消費電力の定格値という意味です。この場合は平均値がこれを超えませんよという意味になるので、最大値を超えて設定されるかもしれません。
- ※当然、異常使用なら、定格電力を超えることがあります。
- ※例えば、100V仕様の家電に200Vを供給した場合など。
- ※扇風機の羽を手で止めた場合など。
- 平均消費電力<定格(平均)消費電力、最大消費電力<定格(最大)消費電力
- つまり「定格」とは規定された条件の基で、「限度」を意味し、これを超えることはないですよという保証値です。
- ※これまでは消費する側の話をしていました。
- ※電気を使う側(消費)ではなく電気を供給する側の定格は逆の意味になります。
- ※例えば電気ケーブルやコンセントの定格は超えてはいけない限度を意味します。
- ※125V、15Aと書かれていれば、それを超えてはいけないですよという意味です。
- ※ちなみに部品にも絶対最大定格が決められており、瞬間的にも超えてはいけない限度があります。
- ※このように消費側と供給側で限度を定めておけば、お互いに保証しあうので安全を確保できます。
- ※これが定格を定める理由です。
- ※消費側の定格<供給側の定格、これが守られていれば安全と判断できます。
- ※これは電気の需要と供給の関係でもあります。
- ※電力需要>電力供給になれば停電を起こします。安全を確保できません。
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