スピーカーの駆動(ドライブ)方式
はじめに
- 科学の話をします。
- スピーカーの駆動方式がいまだに議論されています。
- 電圧駆動方式、電流駆動方式、電力駆動方式などが議論されています。
- それぞれメリット、デメリットが議論されています。
- 科学を知っていると非常に不思議な話です。
- スピーカーの駆動にはパワーアンプを必要とし、本来の駆動方式は一つしかないからです。
- 議論の余地はありません。科学的な答えは1つしかありません。
- 地球が太陽の周りを回っているのと同じように、明白です。
- 何の根拠もなく、パワーアンプに電圧駆動方式、電流駆動方式があると思い込んでいないでしょうか?
- かつての天動説と同じように、先入観があると真実を見失います。
- 何事も基本が大切です。
- 科学的な根拠を基に解説します。
著作権と免責事項
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必要としているのはパワーアンプ
- そもそも論になりますが、スピーカーは電気エネルギー(電力)を音の振動エネルギーに変換する装置です。
- 電圧を音に変換する装置ではありません。エネルギー変換装置です。電圧はエネルギーではありません。
- スピーカーが仕事をして音を出力します。音はスピーカーの仕事量に比例します。スピーカーが仕事をしなければ音は出ません。
- ここでの仕事とは「物理学の仕事」です。エネルギーによって仕事をします。
- エネルギーは形を変えることができ、例えば位置エネルギーを運動エネルギーに変換することができます。
- 電気エネルギーをスピーカーの振動板を動かす運動エネルギーに変換します。この運動エネルギーによってスピーカーが仕事をします。
- ※さらに振動板が空気を動かし音になります。
- それゆえ、スピーカーの駆動にパワー(=電力)アンプ(=増幅器)を必要とします。
- パワーとは電力という意味です。物理学の電気エネルギーは電力です。
- これは科学的な事実であり、真実です。(物理学では電力も音も同じエネルギーです。)
- ※一般的なボイスコイルによるスピーカーを前提にします。
- ※東京電力株式会社はTEPCO:Tokyo Electric Power Companyです。Tokyo Electric Voltage Companyではありません。
- 必要としているのはパワーアンプであり、電力増幅器です。
- もし、電圧(=ボルテージ)増幅器(=アンプ)をパワーアンプというなら、それは論理矛盾します。
- 電圧増幅器はボルテージアンプであり、パワーアンプではありません。
- スピーカーの駆動にボルテージアンプが必要ということになります。これは科学的な真実に反します。
- ビールを必要としているのに、中身は発泡酒でなければならないと主張します。矛盾していますね。
- 牛乳を必要としているのに、中身は加工乳でなければならないと主張します。矛盾していますね。
- そもそもスピーカーの駆動に必要としているのは電力増幅器です。理想は電力増幅器です。
パワーアンプとは電力駆動方式
- パワーアンプとは電力増幅器であり、スピーカーを電力駆動します。
- パワーアンプが電圧駆動なら、それはもはやパワーアンプといわずボルテージアンプです。
- パワーアンプとは電力駆動方式しかありません。
- 厳密にはパワーアンプに電圧駆動方式も電流駆動方式もありません。
電力増幅器=パワーアンプ | 電力駆動 |
電圧増幅器=ボルテージアンプ | 電圧駆動 |
電流増幅器=カレントアンプ | 電流駆動 |
表示の厳格化
- 2013年に食品の偽装表示が社会問題となりました。
- 2016年に羽毛布団の産地偽装が社会問題となりました。
- 表示が中身と異なると、消費者は混乱します。
- 加工乳を牛乳と表示できません。
- 少しずつ厳格になり、日本社会ではこうした偽りは許されなくなりました。
- 現在、パワーアンプと表示しているにも関わらず、中身が電圧増幅器です。表示と中身が異なります。
- 今後オーディオの表示も問題になるかもしれません。
- 中身が電圧増幅器ならボルテージアンプと表示しなければならなくなるでしょう。
- あるいは単にアンプ(増幅器)としか表示できないでしょう。こうすれば虚偽の表示ではありません。
- 消費者は「電圧」増幅器か「電力」増幅器かを見極める必要があります。
偽装表示 | 実際 |
芝えび | バナメイエビ |
牛肉 | 牛脂注入加工肉 |
車エビ | ブラックタイガー |
フレッシュジュース | 濃縮還元ジュース |
シシャモ | カラフトシシャモ |
フランス産 | 中国産 |
なぜ議論されるのか
- 歴史と技術の発展が背景にあります。
- ガリレオが地動説を唱えた当時、望遠鏡が発明され、星の軌道を正確に観測できるようになりました。
- それ以前は先入観、偏見により、科学的な根拠のない天動説が常識でした。
- 科学の発展により、科学的な根拠のある地動説が正しいことがわかりました。
- 科学の歴史とは矛盾や誤りを正す歴史といってよいでしょう。
- スピーカーの駆動にパワーアンプ(電力駆動方式)が必要なことは科学的にわかっていました。現在でも変わりません。
- ※仮にスピーカーをパワーアンプで駆動することが科学的に誤りと判明したなら、そのとき正せばよいことです。
- ※現在のところスピーカーをパワーアンプで駆動することが科学的に正しいです。
- ところが、技術不足で電力駆動する方法がありませんでした。
- そこで、仕方なしに電圧増幅器(電圧駆動方式)で代用してきました。
- 芝えびの代わりにバナメイエビを代用したのと同じです。芝エビはなかなか入手できません。
- かつて牛乳の代わりに脱脂粉乳で代用していました。
- ※スピーカーのインピーダンスが一定なら、電圧増幅器は電力増幅器の代用になります。実際にはスピーカーのインピーダンスは一定ではありません。
- ※ですから電圧増幅器は不完全な代用です。それゆえいろいろな問題を抱えています。代用による弊害です。
- ※電気の基本であるオームの法則を思い出してください。インピーダンスとは交流における抵抗です。交流においてもオームの法則が成り立ちます。
- 技術力があり、はじめから電力駆動できたら、こうした議論は起こらなかったでしょう。
- 今頃、電力増幅器しか存在しないからです。
- 長い間、仕方なしに電圧増幅器を使ってきたため、それが誤った常識となってしまいました。
- 本来、電力増幅器を必要としていたのに、いつの間にか電圧増幅器に摩り替わってしまいました。
- この長い間の誤解は、誤った常識を築き上げてしまいました。
- 長い間の誤解を解くのは容易ではありません。天動説が常識の世界で地動説を唱えても排除されてしまいます。
- ※1633年ガリレオは裁判で有罪を受けた。言ったか言わないか定かではないが「それでも地球は回っている」
- しかし、科学的な真実はいずれ受け入れなければなりません。
- ※1992年ローマ教皇はガリレオ裁判が誤りであったことを認めた。時間はかかったが科学的な真実を受け入れた。
- 科学的な真実は残酷な一面があり、人が認めようと認めないとに関わらず、科学的な法則に従わなければなりません。
- 人が認めようと認めまいとに関わらず、地球は太陽の周りを回ります。その法則に従わなければなりません。
- 人の思い込みや意思に関係がありません。勘違いもありません。
- スピーカーを電圧駆動しても、科学に反するので、正しい音は出力されません。
- スピーカーを電力駆動すれば、正しい音が出力されます。
誤った常識による副作用、弊害
- 長い間、誤った常識はさまざまな副作用や弊害をもたらしました。
- 本来電力駆動でなければならないのに、電圧駆動を前提にしてしまったため、いろいろな矛盾を抱えてしまい、余計な対策をしなければなりませんでした。
- これは当然の結果です。前提を誤れば結果を誤ります。
- 電圧駆動では低音不足、高音不足になるので、仕方なしにそれを補正する対策をしてきました。
- しかし補正しきれませんでした。
- 電力駆動していれば、理論上はこうした余計な対策をせずに済みます。理論と現実は異なるので、対策しなくてよいという話ではありません。
- ※理論上、スピーカーは1つの口径で低音から高音まで広い範囲をカバーできません。
- ※電力駆動しないとさらに低音と高音が悪化します。余計な問題を抱えます。
- ※電力駆動すれば余計な問題に悩まされることなく、スピーカー本来の開発、改良に集中できます。
- 小手先の補正や対策には限界があります。
- 電力増幅器にダンピングファクターという指標はありません。これは電圧増幅器だからこそ登場した指標です。
- ダンピングファクターの数値が大きいほど、スピーカーに対して電圧効率がよく、限りなく電圧増幅に近づきます。
- 逆に言えば、ダンピングファクターの数値が大きいほど、理想の電力増幅から遠ざかります。
- 電力が重要にも関わらず、電圧を議論しても意味はありません。
- ダンピングファクターが記述されているということは、電力増幅ではなく電圧増幅の証拠です。
- このように根本的に誤りを正さなければ、前提を見直さなければ、永遠に乗り越えられません。
- 天動説から地動説に正したことで、天文学は飛躍的に進歩しました。
- 同様に電圧駆動から電力駆動に正すことで、パワーアンプは飛躍的に進歩するでしょう。
- ※歴史的な技術を否定するつもりはありません。それは当時の技術力がそこまでであり、後からみれば仕方なしだったに過ぎません。
- ※真空管アンプやアナログレコードは当時として最先端の技術でした。昔の技術には現在につながる称賛すべき点があります。
- ※自動車のない時代に馬車が最先端の移動手段だったに過ぎません。馬車があったからこそ自動車が発明されました。
パワーアンプの技術革新(イノベーション)
- 今回、電力駆動するパワーアンプを開発しました。
- どのように実現しているかは企業秘密です。
- 今はあまり大したことのないように思うでしょう。
- しかしこれは大変な技術革新であることが後でわかります。
- 天動説が地動説にひっくり返るくらいの衝撃です。
- 「百聞は一見にしかず」といいますが、今回は「百見は一聞にしかず」です。
- ご自身の耳で確認してみてください。
- 先入観のない新世代の方、科学的に正しい音を追求している方、音を仕事にしているプロの方にお勧めです。
- 一歩先の音を手に入れることになります。
電力駆動によるメリット、電力駆動による音
- さあ、わくわくしてきましたね。
- 電力駆動によるパワーアンプの音を聞いてみたくなるでしょう。
- 以下は科学的に正しい音を聞いていただいた方の感想です。(音の評価を保証するものではありません)
- 音がはっきり聞こえる。(周波数特性が理想に近づくためです。本来の音色を再現するためです。)
- 低音がしっかり聞こえる。(電力駆動でスピーカーが正しく駆動されるためです。)
- 音像定位がはっきりする。(ステレオ感がはっきりします。本来の音の位相を再現するためです。)
- 同じスピーカーとは思えない。(スピーカーの性能を引き出すためです。電圧駆動では性能を引き出しきれません。)
物事は総合的に判断
- では、この電力アンプを使えばどんなスピーカーもフラットな周波数特性を得られるでしょうか?
- 答えはノーです。
- 軽自動車にF1のエンジンを組み込んで、F1レースに勝てるでしょうか?最高性能を発揮できるでしょうか?
- 答えはノーです。
- この電力アンプはスピーカーの性能を最大限に引き出しますがスピーカーの性能を超えるわけではありません。
- スピーカー本来の潜在能力(個性)を引き出しますが、電力アンプに超能力はありません。
- 扱いにくいが潜在能力の高いスピーカーで高い効果を発揮します。
- 一方で扱いやすいが潜在能力の低いスピーカーで効果が低いです。
- どんなに性能のよいエンジンを軽自動車に組み込んでもタイヤの性能が悪ければ、空気抵抗が大きければそちらの性能限界が先にきます。
- 一カ所の性能限界が全体性能を決定づける場合、それをボトルネックと呼びます。
- このように物事は総合的に判断しなければなりません。
革新技術に批判はつきもの
- 新しい技術に批判はつきものです。賛否両論があります。
- 科学的な根拠のある批判は大いに結構です。
- ただし、食べもしないで旨いまずいを評価することは許されません。
- それを批判、批評とはいいません。
- 賢明な方は言いがかりや、誹謗中傷、根拠のない悪口、揚げ足取りをしません。
- 人間の感覚も科学的な根拠にはなりません。人の感覚は正反対なことがあります。
- ピーマンを好きな人もいれば嫌いな人もいます。ですから客観的な根拠になりません。
- 技術を感覚で評価してはいけません。
- 技術と音の評価を混同してはいけません。
- 技術の評価と音の評価は別です。どんなに性能のよい機器でも、それから出力される黒板を引っかく音を嫌いな人がいます。
感覚的評価と科学的評価
- 音は最終的に人間の感覚で評価すべきものです。どう感じるかは個人の感覚にゆだねられます。
- 同じ音でも好き嫌いがあります。人によって感じ方が異なります。
- 同じ絵でも好き嫌いがあります。
- 芸術を評価する場合、「感覚的な側面」と「科学的な側面」があります。
- これを混同している方を見かけます。
- 定評のある絵には、遠近法や光源など科学的な裏づけがあります。科学的な基礎があります。
- 科学的な側面を感覚で評価してはいけません。科学的な側面は科学的に評価しなければなりません。
- ※ピカソの初期は写実的でした。絵の基本を知っていて、あえて基本を外したからこそ評価されています。
- ※マークシート方式のテストであえて0点を取ることは難しいです。正解を知らないと0点を取ることができません。
- スペック(仕様)は科学的な側面を表記しています。ですからスペックを語るのであれば、科学的に(客観的に)評価しなければなりません。
- スペックは科学的な裏づけです。
- 感覚で話をするなら、スペックを語るべきではありません。
- 寸法や周波数特性は科学的な側面であり、これを感覚で評価できません。
- もし寸法や周波数特性を感覚で評価できるというのであれば、感覚で表記してみてください。周波数特性を描けないでしょう。
- 音を評価する場合、科学的にどんなに優れた性能(スペック)であっても、最終的には人間の感覚で評価すべきです。
- 一方で、性能(スペック)について語るのであれば、感覚で評価してはいけません。
- スペックは芸術の一部を表現していますが、科学的な側面です。芸術だからといってスペックを感覚で評価してはいけません。
- これを混同して語ると混乱します。
- 感覚的な側面は感覚で、科学的な側面は科学的に語りましょう。
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