コッククロフト・ウォルトン回路
特徴
- コッククロフト・ウォルトン回路は巧妙に設計された高電圧生成回路です。
- 高電圧を得られます。
- 電流は取り出せません。
- 負荷があると電圧が急激に下がります。
- 段数を増やせば、さらに高電圧を得られますが、電流をさらに取り出せなくなります。
- プラス電圧だけでなく、マイナス電圧も生成できます。
ここではコッククロフト・ウォルトン回路をLTspiceで解析し、さらに実際に検証してみます。
回路図
- 回路図内の電圧はLTspiceでのシュミレーション結果です。
- 無負荷時の電圧特性です。
- ダイオードの順方向電圧は0.6Vですが、無電流(無負荷)では限りなく0Vに近くなります。
- 無負荷時の電圧をテスターで測定することはできません。
- 供給電源の5Vピークtoピークのパルス(Duty=50%)はAC2.5Vに相当します。
- つまりコッククロフト・ウォルトン回路(2倍)とはAC2.5VをDC5Vにします。
- 負荷があり、電流供給が間に合えば、ダイオードの順方向電圧を差し引いた電圧が出力されます。
- 負荷があり、電流供給が間にあわなければ、急激に電圧が下がります。
原理
- 交流を整流して加算していきます。
- C1,C3,C5の奇数コンデンサは直列接続されているので、交流を通します。
- C2,C4,C6の偶数コンデンサは平滑用です。このポイントで直流電圧が得られます。
- 平滑しては交流を次の段に送りこむことを繰り返しています。
要件
交流電源の要件
- コッククロフト・ウォルトン回路には交流を供給する必要があります。
- 理想は矩形波(50%デューティのパルス)ですが、こだわる必要はありません。
- デューティが1%のパルスでも動作します。
- 正弦波である必要もありません。
- 重要なのは交流のピーク電圧がDC電源の基本電圧になるということです。これを基準にした倍率になります。
- 周波数も高すぎず、低すぎもしなければOKです。
- 周波数が低すぎると電圧が立ち上がるまでに時間を要します。
コンデンサの要件
- コンデンサの耐圧は交流のピーク電圧以上必要です。
- 容量は大きすぎず小さすぎなければOKです。
- 大きすぎるとチャージに時間がかかります。
- 小さすぎると負荷によって急激に電圧が低下します。
ダイオードの要件
- ダイオードの耐圧は交流のピーク電圧以上(1N4148の耐圧は100V)必要です。
- スイッチング用であること。整流用はあまり向きません。
- 供給する交流に応答しなければならないからです。例えば、10KHzに応答できなければなりません。
コッククロフト・ウォルトン回路設計では、交流、コンデンサ、ダイオード、負荷のバランスが大切です。
評価
- 実際に回路を組み、実測してみるとシュミレーション結果と近い値になります。
- 測定にはオペアンプによる高インピーダンス入力を利用します。
- 原理上、無負荷か小さな負荷にしか向いていません。
- 供給する交流はかなりいい加減であってもピーク電圧が基準になります。
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