DCDC昇圧コンバータ
- 2003-09-20 初版
- 2006-01-16 第2版
はじめに
(2006-01-16 加筆編集しました。)
最近、12V や 15V ACアダプタをあまり見かけなくなりました。
世の中、低電圧化の方向にあり、必要性がなくなってきているためでしょう。
しかし、標準的なPICライタでは書き込み電圧 Vpp として 12.5V を必要とするので、これは困った話です。
そこで、6V や 9V の AC アダプタをDCDCコンバータで2倍に昇圧して必要な電圧を得る回路を設計しました。
フラッシュタイプの PIC は書き込み電圧が 12.5V と高いものの、電流をほとんど必要とせず、最大でも 200uA 程度です。
書き込み時の電源 Vdd=5V も最大で 50mA 程度ですので、これらを一緒にまかなえるようにしました。
ほかにも ROM などの書き込みなど、幅広い利用が考えられます。
仕様
入力電圧 | DC 3-15V |
出力電圧 | DC 4-28V |
最大電流 | Max 100mA |
動作原理
入手が容易な部品を利用し、かつ安価で再現性のよい回路設計をしました。
- 非常にシンプルです。いわゆるチャージポンプ式のDCDCコンバータです。
巧妙に設計されており、電源電圧 Vcc が入力電圧 Vin でもあります。
CMOS の幅広い電源電圧をフル活用しています。
無負荷時の出力電圧は Vout = Vin x 2 - 2V で計算できます。
- オーディオ電源にも利用することを考えて、
スイッチング周波数を 約45KHz に設定しています。
- 出力電流が大きいと少しリップルを生じます。
たとえば出力電圧 6.5V 30mA で約 0.1V 程度です。
- ACアダプタ替わりを想定しているため、出力電圧を安定化させていません。
必要であれば、低ドロップタイプの3端子レギュレータなどを追加してください。
回路図
- 電解コンデンサ 47uF の耐圧は 50V以上必要です。
- ダイオードは整流用であれば何でもかまいません。ショットキーであればなおよいでしょう。
- 入力電圧に 15V 以上掛けないでください。CMOS IC を破壊します。
特に AC アダプタは無負荷時、表示電圧より 2 から 3V 高いことがほとんどです。
- 出力電流 100mA 以上取り出さないでください。トランジスタを破壊します。
部品表
値 | 数 | 備考 |
2200pF | 1 | C1 セラミックコンデンサ(表示222) |
47uF | 2 | C2,C3 電解コンデンサ(耐圧50V) |
0.1uF | 1 | C4 積層セラミックコンデンサ(表示104) |
1N4007 | 2 | D1,D2 整流ダイオード(1S2でもOK) |
4069 | 1 | U1 CMOS IC |
2SC1815Y | 1 | Q1 NPNトランジスタ |
2SA1015Y | 1 | Q2 PNPトランジスタ |
1K | 1 | R1 カーボン皮膜抵抗1/4W |
100K | 1 | R2 カーボン皮膜抵抗1/4W |
470 | 1 | R3 カーボン皮膜抵抗1/4W |
基板例
評価
設計した回路を実際に組み、負荷テストしてみました。データをグラフ化しました。
Vcc=5V
Vcc=9V
- 負荷電流に応じて出力電圧が下がっていくことがわかります。
- 9V の AC アダプタを入力にすれば、PIC の書き込みに必要な 12.5V 以上を得られます。
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