ダイナミック・ノイズ・リダクション
- 2012-05-24 初版
- 2012-11-07 第2版 レベルメータ
(温故知新)故きを温ねて新しきを知るコーナー
はじめに
- 昔製作したDNRを現代技術でよみがえらせました。
- テキサス・インスツルメンツ(旧ナショナル・セミコンダクタ)のLM1894を使ったダイナミック・ノイズ・リダクション・システムです。
- アナログ時代、ホワイトノイズ、ヒスノイズに悩まされた方も多いと思います。
- デジタル時代であれば、DSPを使ってノイズを除去したりできますが、それをアナログで行います。
- 原理はシグナルが強いときにフィルタをあまりかけず、シグナルが弱いときにフィルタをかけて耳触りなノイズを除去します。
- 音量が大きいときノイズは聞こえにくく(マスキング効果)、音量が小さいときノイズが目立ちます。この原理を応用しています。
- 簡単にいうと、音量が大きいときはボリュームを大きくし、音量が小さいときにボリュームを小さくするように自動制御します。
- それまで不可能であったノイズを除去、低減する画期的なシステムです。
外見
シャーシ内部
電源ユニット
レベルメータ・ユニット
DNRユニット
著作権と免責事項
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
- 仕様は予告なく変更されることがあります。
回路図
- レベル表示にはLM3915を使います。
- LM3915は対数表示のため、前段に絶対値回路(整流回路)を追加してレベル変換します。
- 時定数はC3とR11、C4とR12で決まります。
- 無調整です。デジタル音量の0dBを基準にしています。
- 以外に入手困難なのが、電源トランスです。DC±5V、DC±12Vを生成するためのトランスがなかなかありません。
- やっと見つけたのが東栄変成器のJ-15052です。この電源トランスの出力はAC±10V、AC±12V、AC±15Vで最適です。
レベルメータ
- 一般的にVU(Volume Unit)レベルメータとPEAKレベルメータがあります。
- アナログ時代にはVUレベルメータを基準にしていました。
- VUレベルメータの反応速度は300msであり、人の感覚に近いためです。
- 一方デジタル時代では0dBを一瞬でも越えると音がクリップしてしまうので、PEAKレベルメータを基準にする必要があります。
- PEAKメータの反応速度は10ms以下です。
- デジタル時代に合わせてPEAKレベルメータとするため、時定数t=CR=10msにしています。
- さらにアナログとデジタルでは0dBの定義が異なります。
- アナログでは0dB=1Vrmsです。(業務用は0dB=0.775Vrms)
- デジタルでは0dB=2Vrmsです。
- つまり2倍=6dBの差があります。
- DNRはアナログ入力を対象にしているため、0dB=1Vrmsで設計しています。
DNRの周波数特性
- 上記は入力信号の周波数特性です。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- スイープの上限20KHzまでフラット状態を確認できます。
- 入力音量により、フィルタ特性が変わります。
- 上記はDNRのノイズ周波数特性です。
- 入力なしの特性です。
- SN比は100dB以上あります。
- 上記は0dB入力時のDNR出力周波数特性です。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- 上記は-3dB入力時のDNR出力周波数特性です。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- 上記は-6dB入力時のDNR出力周波数特性です。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- 上記は-10dB入力時のDNR出力周波数特性です。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- 入力音量が小さくなるにつれ、高音のフィルタリングがきつくなります。
レベルメータ特性
- DNRは音量によってノイズを除去する仕組みのため、適切な入力音量管理が必要です。
- そもそも入力音量が低いと必要な信号まで除去してしまいます。
- そこで入力音量を監視するレベルメータを搭載しています。
- -27dBから0dBまで3dB間隔で10点表示します。
- デジタル時代にあわせて0dBまでとします。デジタル音量では0dBを超えることはありません。
- レベル表示用LM3915を利用します。
- 設計どおり、3dBごとにレベルを表示します。
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