オーディオの知識
- 2018-04-25 初版
- 2018-09-09 第2版、大幅に加筆、補足。
- 2019-01-25 第3版、細かい補足。「性能の良し悪し」と「音の良し悪し」を追加
- 2019-06-16 第4版、「マルチウェイのスピーカー」など大幅に追加
- 2020-04-18 第5版、大幅に加筆
- 2021-04-20 第6版、ダンピングファクターの正体、金メッキ、接触抵抗
- 2021-06-20 第7版、インピーダンスを測定しよう
- 2022-06-10 第8版、見ているようで見ていない
- 2022-06-20 第9版、良い音の定義とは何?他人と共有できる判断基準の確認
- 2022-07-20 第10版、振幅、位相、インピーダンス、電力の話
- 2022-08-20 第11版、何が正しいのか、何をよりどころにすべきか
- 2022-12-20 第12版、物理的な(距離の)位相
- 2023-02-28 第13版、ハイレゾの真相
はじめに
- 気が付いたときに追記します。
- たまに大改訂するため、一度読んだ方も、もう一度読み返すと理解度が上がるでしょう。
- そういうことだったのかと。
- 科学、数学を基礎にします。
- 基本中の基本を解説します。これを理解して、やっとオーディオの世界で何が語られているかわかるでしょう。
- いかに「むちゃくちゃ」なこと(噂や嘘も含む)が語られているか、やっとわかるでしょう。
- もちろん時には正しく、有益な話もあります。すべてを否定しているわけではありません。
- 不思議なことに、オーディオの目的さえ解説を見かけません。だから話が混乱します。根拠のない不毛な議論に陥ります。
- 何が正しくて何が間違っているのか、ご自身で判断してください。
- 大人になると、誰も間違いを指摘してくれません。すべて自己責任です。
- なぜなのか常に疑問を持ち、客観的(科学や数学)な根拠を確かめる習慣を身につけましょう。
- どこかで聞きかじってきた情報ではなく、自分で確認しましょう。
- 音に迷ったら、基本に戻ろう。
- ※無茶苦茶:滅茶苦茶なこと。あまりにも道理(物事の筋道)にあわないこと。
- ※出鱈目:筋道が通らないこと。
議論の前提
- オーディオの世界では一部の熱狂的なファンがおり、何の根拠もなく「うんちく」を語ります。
- 科学的な根拠がなかったり、そもそも根拠を聞くと答えられません。
- 音を聞きもしないで批判、批評する方がおります。食べもしないで上手いとかまずいとか言います。むちゃくちゃです。
- 調べたり確認もしないで、それは間違いだといいます。むちゃくちゃです。
- どこかで聞きかじった(拾ってきた)あやふやな情報を元に語ります。むちゃくちゃです。その情報の真相を確かめましたか。
- あてにならない情報で間違いだと指摘されても困ります。なんの根拠にもなりません。
- 努力もしないで、努力した人を批判します。勉強しないで、勉強した人を批判します。
- ※中島みゆきの「ファイト」より「闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう」この理不尽を理解できるだろうか。
- そして、知識のない方は何となく噂で誘導され、誤った常識が蔓延します。
- どこかで聞きかじった情報が蔓延します。噂話が広がります。
- 音の良し悪しは本人にしか、わからないのでこうしたことがまかり通ってしまいます。
- 例えが悪いが、洗脳されてしまう。
- 信じる信じないは個人の自由です。
- そして一度信じてしまうと頑として変えません。たとえ間違いであっても。
- 一度、自分の常識を疑ってみたほうがよいでしょう。自己修正能力がないと、間違いを正せません。どんどん間違った道にハマります。
- 私は間違っていないという自信家ほど間違っているのはそのためです。
- 一度、先入観、思い込みを捨てよう。
- これを防止するためには、正しい知識(科学的な知識)を身に着ける必要があります。
- 言われたままを信じていると、オレオレ詐欺に引っかかります。
- 応用知識の前に、しっかりした基礎知識が必要です。
- 1+1=2を理解していなければ、その応用である1+2を理解できません。
- 基礎工事を手抜きすれば、その応用である建物は倒壊します。当たり前です。
- 基礎工事を手抜きして、マンションが傾いてしまい、建て替える事件がありましたね。
- ※どの分野も専門性が高く、電気の世界も例外ではありません。
- ※そのためオーディオを語るには専門的な電気の知識が必要です。残念ながら一部の方しか専門知識を有しません。
- ※一般の方全員がオーディオの専門知識を習得することは不可能です。
- ※一般の方全員が高度な医学知識を習得できないのと同様です。
- そもそも基本中の基本である「オーディオ」の意味、語源を答えられますか?答えられないなら、基礎をおろそかにしています。
- 科学的な知識は「客観的な根拠のある事実」であり、誰も否定できません。
- 誰かが否定できたとき、それは科学ではなくなります。
- 「主観的な」こう思うとかこう感じるとかの余地がありません。
- 例えば、私は天動説(地球は動かない、動くのは天体)を信じるといっても、客観的な事実である地動説(地球が動く)には逆らえません。
- 私は地球上で動いていないと言い張っても、地球は太陽の周りをまわり、従わなければなりません。
- 客観的な事実は有無を言わせません。私の考えでもありません。勘違いもありません。
- ※常識は事実を排除してしまう側面があります。集団心理とも言えます。
- ※天動説が常識の世界で、地動説を唱えても排除されてしまいます。ガリレオは排除されました。
- ※常識に反する新たな事実が出てくると、人は反射的に拒絶します。
- ※人は常識を疑うことを嫌います。自分の信じていた常識が間違いだと発覚することを恐れます。
- ※都合の悪い事実を隠そうとします。認めたくありません。
- ※これを「センメルヴェイス反射」と呼びます。
- 音の感じ方は人それぞれであり、私があなたの頭の中に入り込んであなたの感じ方を判断することはできません。
- あなたの主観的な意見は他人に当てはまりません。
- 音に迫力があるとか、音の輪郭がはっきりするとか、感覚的な尺度は他人と比較できません。それは個人の感想にすぎません。
- そうした共感や自慢をしたいだけかもしれないが、あなたの主観的な意見は他人に当てはまりません。
- ここでは「客観的な根拠のある事実」を基に解説します。
- 「主観的な思い」をすべて排除します。感覚的な物言いを排除します。
- こう思う、こう感じるは議論の対象から外します。
- その代わり、なぜそうなのか科学的な根拠を必ず問うようにします。根拠を答えられないような議論をしません。
- 当然のことながら、「はず」などの憶測や噂も排除します。根拠がないからです。
- こうしないと混乱します。議論が成立しません。
- もちろん、現代科学でも証明できないことがあります。後で誤りだったと証明されることもあります。
- 科学とは現時点において正しいとしか言えません。
- 将来、証明されたり、誤りが訂正されたときに、対応すればよいだけです。固執せずに柔軟に対応します。
- あまりにも根拠がなく、間違いが多く、むちゃくちゃなため、正しい考え方、アプローチ方法を解説します。
- 本来は自分で勉強すべきことで、誰かに教えてもらうものではありません。
議論の前提
- 音の良し悪しは本人の感覚でしか判断できません。ゆえに議論の対象にできません。(主観は議論の対象にならない)
- 科学的な根拠のある仕組み、性能や特性などは議論の対象になります。(客観は議論の対象になる)
- 主観的な側面は本人がそう思ったり、感じたりするのだから、仕方がありません。思うな感じるなと言っても無理です。他人の入り込む余地がなく、そもそも議論の対象になりません。
- 客観的な側面は本人以外も確認できる事項であり、議論の対象になります。
根拠のない議論の例(オーディオの不思議な都市伝説、不毛な話)
- オーディオの世界では信じられないような「むちゃくちゃな」ことが行われてきました。
- いくつか紹介しよう。
「お金をかければよい音を得られる。」必ずしも正しくはない。お金をかければよいという話ではない。根拠がない。
- ※笑い話がある。英国製の高級CDプレイヤーを大枚はたいて購入したら、なんと市販されている安価な日本製の中身がそのまま入っていた。
- ※外枠だけ取り換えて、ぼったくられていた。日本人がカモにされていた。
- ※あまりにも高価なのであなたにその価値はわかるはずもないとか、わけのわからないことを言い出す。むちゃくちゃだ。
- ※お金をかければよいという例でF1を持ち出す。確かに「性能は良い」かもしれないが、「音が良い」わけではない。
- ※「性能の良し悪し」と「音の良し悪し」を混同してはいけない。これも後述する。
- ※F1は速く走る(性能が良い)が、決して乗り心地の良いものではない(心地は悪い)。
- ※さらに付け加えるなら、F1の技術が市販車に活かされるわけではない。そんな時代は終わった。
- ※今は逆だ。市販車の技術がF1に活かされる。何万台も製造して不具合がないことが証明されてからF1に使われる。
「耳が悪いんじゃないの。」こうした罵倒を耳にするが根拠がない。
- ※耳の能力は個人差があり、他人と同じではない。同じと思っていることが誤り。
- ※体調によっても感度が変わる。体調の悪い時にキンキンする高音は嫌いだ。
- ※加齢によって高音の感度が劣化する。若者とご年配で耳の能力は異なる。
- ※爆音を聞き続けると、難聴になる。耳の能力が低下する。
- ※更に好みとしての好き嫌いもある。高音を好きな人、嫌いな人がいる。低音を好きな人、嫌いな人がいる。
- ※味覚として、ピーマンを好きな人もいれば嫌いな人もいる。同様に聴覚としても好き嫌いがある。
- ※同じ絵を見ても好きな人もいれば嫌いな人もいる。
- ※クラッシック音楽を好きな人もいれば嫌いな人もいる。ロックを好きな人もいれば嫌いな人もいる。
- ※人の好みはさまざまであり、同じこともあれば異なることもある。
- ※ピーマンを嫌いな人に、好きになれといっても無理な話。
- ※「背が高いんじゃないの。」とバカにしているようなもの。背の高い人に、背が低くなれといっても無理な話。
- ※いかに無意味かわかるだろう。
- ※こうした個人差、個性を認めなければならない。それを前提にしなければ不毛な議論になる。
「重いほど良い。」主にトランスの重さからくる話だが、根拠がない。
- ※「目的」と「手段」を取り違えた典型例。
- ※しっかりした大容量のトランスはどうしても重くなってしまう。仕方なしに重くなるだけ。
- ※目的を実現する手段はいくらでもある。トランスを使わない、優秀なACDCコンバータを使えば軽くなる。
- ※最新の高性能チップを使うと小型軽量化される。
- ※無意味に重い鉄板を使って、重量増しする製品まで現れた。むちゃくちゃにもほどがある。
「電源に大容量コンデンサを使っているほど良い。」平滑コンデンサの容量が大きければ電圧が安定するが、根拠がない。
- ※考えてもみてください。それは電源電圧が不安定だから、大容量にしなければならないだけ。もともと電源電圧が安定なら小容量で済む話。何か間違っている。
- ※専用アンプICには電源ノイズを取り除く仕掛けがあり、電源電圧が完全に安定である必要もない。
- ※PSRR:Power Supply Rejection RatioとかSVR:Supply voltage rejectionという指標がある。
「アンプの出力電力が大きいほど良い。」根拠がない。
- ※これは昔、メーカーが出力電力を競い合ってしまい、誤解を生んだ。
- ※スペックが良いようにユーザを誤解させた。数値が一人歩きしてしまった。
- ※自分の視聴環境に適した出力電力を選択すべきである。
- ※部屋の広さにもよるが、普段聞いている音量は0.1W程度である。パワー計で確認するとよい。
- ※まさかとは思いますが、出力電力の話をするのに、パワー計をお持ちでない方はいないでしょう。
- ※パワー計もなく、確認もしないで1Wでは小さいなんて、わかるわけもない。むちゃくちゃにもほどがある。
- ※自家用自動車の代わりに、バスを所有しても代用できるが、最適とはいえない。むしろ滑稽である。
- ※大は小を兼ねるが、最適とはいえない。
- ※「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」論語
「スペックが良く、機能が豊富なほど良い。」根拠がない。シンプルだって良いものはある。
- ※笑い話がある。これも英国製のDAC内蔵ヘッドホンアンプのスペックにPCMの384kHz対応と記述されていた。
- ※ところが搭載しているDACチップのメーカー仕様を調べるとPCMの192kHzまでしか対応していない。スペックをよく見せるために偽装していた。
- ※動作保証されていない384kHzで再生すると聞こえないが強力なノイズを発振していることが発覚した。音が出ればいいという話ではない。
- ※スペック好きの日本人がカモにされた。
- ※部品の仕様を逸脱して使っている時点でこのメーカーを信用できない。このメーカーの製品を買うことはないであろう。
- ※スペックとはメーカーに都合のよいデータだ。決してユーザ本位ではない。そのまま鵜呑みにしてはいけない。
- ※2017年、2018年と日本の多くの企業で偽装が発覚した。むちゃくちゃなことが長年行われていた。製品の信頼性どころか企業の信用を落とした。
- ※燃費偽装、検査偽装、品質偽装、データ偽装(改ざん)、あげればきりがない。その前にはリコール隠し、排ガス不正、不正会計、食品偽装なんてのもあった。
- ※世界的にも排ガス規制逃れ問題も発覚した。どこぞの政府でも公文書改ざんが発覚した。むちゃくちゃである。
- ※2022年も「国産うなぎ」「国産あさり」の偽装が発覚した。
「無酸素銅ケーブルは音質がいい」性能評価と音の評価を混同した例。
- 無酸素銅とは純度の高い銅である。工業製品としての品質が高い。ここまでは科学的に正しい。
- ところが品質が高いから、音質が良いとは限らない。論理展開を間違っている。
- 「性能評価(品質評価)」と「音の評価」を混同している。メーカーが意図的にユーザを誤解させるように誘導している。
- 銅の品質が良ければ音の評価もよくなるわけではない。科学的な関連性はない。例えどんなに性能が優れていても、嫌いな音は嫌いだ。
- ※電気の基礎知識があれば、そもそも「電気抵抗率」は「銅=1.68x10-8[Ωm]」より「銀=1.59x10-8[Ωm]」の方が低く、優れている。
- ※銀は酸化や腐食しにくいため、銅よりも電気部材に適している。銅の品質を上げるより、銀を使った方が性能がいい。
- ※銅は大気中の酸素と反応して表面に酸化銅(膜)ができる。酸化被膜は接触不良の原因になる。10円玉を見るとよい。
- ※コストが見合わないので、銀ではなく銅が使われている。
- ※銅の価格=670円/kg、銀の価格=55,000円/kg (2018年)。約80倍も差がある。
- ※コストを度返しするなら、OFCケーブルより純銀ケーブルの方が科学的に優れている。
- ※スピーカーケーブル(重さ単価、あるいはメートル単価)を単純比較してみよう。
- ※銀の密度=10.49[g/cm 3]、銅の密度=8.96[g/cm 3]。大差はない。つまり重さと長さは銀も銅もほぼ比例する。
- ※銅ケーブル=500円
- ※純銀ケーブル=40,000円(銀メッキではない)
- ※純銀ケーブルを超えるようなOFCケーブルの価格なら考えなおしたほうがよい。
- ※これだけの費用を払えば、純銀ケーブルが買えてしまうのだ。
- なお表皮効果が云々とかの話もあるが、音声帯域ではあまり意味がなく、電波の飛ぶような周波数にならないと表皮効果を考慮する意味がない。
- どこかで聞きかじってきた程度の知識(中途半端な知識)をひけらかすと恥をかく。
- 「生兵法は大怪我のもと」
- ※「あまり意味がなく」と正確に記述しました。厳密にいえば、わずかな影響はあります。それを否定しているわけではありません。
- ※厳密にいえば、オーディオケーブルがわずかでも異なれば、聞き分けられるかは別として、わずかな影響はあります。
- ※表皮効果を理解するには微分積分を使って理解する必要があります。
- ※周波数によって電流分布がどのように変化するのか考えなければなりません。
- ※表皮効果を持ち出すならこれくらいの基礎知識はお持ちでしょう。
「電力会社によって音質が違う」根拠がない。
- 最近みつけた都市伝説。〇〇電力がお勧めとか低域品質がいいとか。これはデマに近い。むちゃくちゃだ。
- どうしてこんな話がでてきたのか理解に苦しむ。全国を引っ越しまくって、検証したのだろうか。
- そもそも電力会社は近隣と電力融通するために、連携しているので、どちらが良くてどちらが悪いなんて単純区別できない。
- A電力もB電力もつながっている。A電力がお勧めなら、つながっているのでB電力もお勧めでなければならない。同じ評価でなければならない。
- 設備も規格が決まったものしか使用できないため、A電力もB電力も同じ規格に従う。設備に大差はない。
- 例えば絶縁に使うガイシに規格がある。送電線も規格がある。
- ※さらに発送電分離(電力自由化)が進み、例えば関西電力エリアで中部電力と契約できる。場所によってどこの電力会社なんていうこと自体ナンセンス。
- そしてオーディオ機器も多少の電源変動に左右されないように設計をしている。商用電源の50Hz/60Hzの違いも吸収するように設計している。
- ※むしろ同じ屋内配線に接続されている、電気機器のノイズの方を心配した方がよい。
- ※例えば大きなモーターは電気のオンオフの際に、どうしても電源ノイズを発生させる。
- ※古い冷蔵庫のコンプレッサー(モーターによる圧縮機)や洗濯機などが例だ。オンオフを繰り返すと電源ノイズを出す。
- ※よほどひどい状況でないかぎり、電力設備の影響を受けない。受けないように配電している。
- ※落雷で変圧器が壊れたとか、高圧送電線の下で暮らしているとか。
- ※デマ:デマゴギー、嘘や噂、流言飛語。
「スピーカーは電圧駆動を前提に作られている(補正、調整、設計されている)。」本当ですか?確かめましたか?科学的な証拠はありますか?
- そうである「はず」だと思い込んでいませんか。
- 複雑なカーブのインピーダンス曲線に合わせて機械的に補正できますか?
- 個体差もあるのに、補正できますか?
- エンクロージャーに入れるとインピーダンスが変動しますが、それでも補正できますか?
- 機械的な補正には限界があり無理です。
- 仮に補正しているとして、そもそもなぜ補正しなければならないのですか?なんでそんな面倒なことをしなければならないのですか?
- 理由は簡単です。本来、科学的に電力駆動すべきところ、電圧駆動しているからです。
- 電力駆動すれば、補正する必要がありません。
- 科学的に間違ったことをしたので、補正しなければならないのです。
- ※前提にしているのではなく、仕方なしに補正しなければならないのです。後付けの理由です。
- むちゃくちゃです。間違ったことをしたので辻褄をあわせようとします。わざわざ間違いを自白されても困ります。
- なんと無駄なことをしているのでしょう。なんと遠回りなことをしているのでしょう。
- 後ほど科学的に証明しますが、前提に誤りがあります。
- いつの頃かわかりませんがパワー(電力)アンプは定電圧駆動方式という刷り込み、思い込みがあります。
- 半導体アンプが登場したころに思い込みが生じました。
- 誰かが根拠なく書いてしまいそれが広まったものと思われます。いわゆる都市伝説が生まれてしまいました。
- 書いてあることが正しいとは限りません。一度信じてしまうとなかなか抜け出せません。
- 自分で矛盾に気が付いていません。パワー(電力)と言っておきながら定電圧とは矛盾しています。
- ×スピーカーは電圧を音に変換する。(電圧はエネルギーではありません。電圧と音は等価ではありません)
- 〇スピーカーは電力を音に変換する。(電力も音もエネルギーです。電力と音は等価です)
- ×スピーカーを定電圧駆動すれば音がフラットになる。(スピーカーの周波数特性はフラットではなく、明らかに誤りです)
- 〇スピーカーを定電力駆動すれば音がフラットになる。(正確にはこれだけでも駄目です。まだ足りない要素があります)
- 思い込みとは恐ろしいものです。間違いを前提とした話は科学的に成り立ちません。
- 間違いを前提とした話はすべて嘘になってしまいます。
- これは科学なので誰も反論できません。
まともなことが通用しない。正直者がバカを見る。
- 数学、科学に基づく当たり前のことを述べると、不思議なことに叩かれます。
- 自分の常識と異なるからです。その常識、科学的に確かめましたか。
- 常識が間違っていることなどよくあります。例えば「依存」の読みは「いぞん」ではありません。
- まず相手を叩く前に、事実を確認しましょう。
- まともなことが通用する世の中でなければなりません。正直者が報われる社会でなければなりません。
- 確認もせずに、確認した人を批評批判してはいけません。
- 努力もせずに、努力した人を批評批判してはいけません。
- 1+1=3と言う方に、私は1+1=2ですよと言います。当たり前ですよね。
- 山を指さしてあれは海ですという方に、私はあれは山ですとよと言います。当たり前ですよね。
- 電圧増幅器をパワーアンプという方に、私はパワーアンプとは電力増幅器ですよと言います。当たり前ですよね。
- 単に数学的、科学的な事実を述べているだけです。
基本中の基本(あるいは基本以前の話)
- 重要なのでもう一度書きます。
- あまりにも当たり前すぎて、説明を見かけません。だから説明を省いてしまいます。
- 「海」は「山」ではありません。
- 「みかん」は「リンゴ」ではありません。
- 「うどん」は「そば」ではありません。
- 「電圧増幅器」は「電力増幅器」ではありません。
- 「ボルテージ・アンプ」は「パワーアンプ」ではありません。
- ※疑問に思わないと、常識を疑わなくなり、思い込みが生まれます。
筆者の立場
- まず筆者の立場を明らかにしておきます。
- 筆者はメーカーの回し者ではありません。
- かといって熱狂的なオカルトのオーディオ・マニアでもありません。
- オーディオ評論家でもありません。
- 科学をよりどころとしたオーディオを追求する技術者です。それなりに学んだ技術者の端くれです。
- あえて「良い音」を追求するとは言いません。人によって「良い音」の定義や認識が異なるため、混乱するからです。
- 追求しているのは科学的な「理想の音」です。「正しい音」です。
- 筆者は科学をよりどころにします。科学とは現時点で誰も否定できません。誰も嘘だと証明できません。
- 科学的に間違っていることはメーカーであろうと視聴者(リスナー)であろうと「間違い」です。
- 勘違いしているや根拠のない批判を受けようと、それでも科学には逆らえません。
- 現在、ボルテージ・アンプがパワー・アンプと称されて売られています。
- 豚肉入りハンバーグが牛肉入りハンバーグとして売られていたらどう思いますか。
- ※豚肉を批判しているのではありません。豚肉入りなら正しくそう書けばよいだけです。
- 評論家のみなさん、あなたが「そば」と信じて食べているのは「うどん」かもしれません。
- 「このそばおいしいですね」と言うけど、そもそも「うどん」と見分けもついていないとしたら読者はどう思うでしょう。
- 「このパワー・アンプ(電力増幅器)いい音出すね」と言うけど、それ「ボルテージ・アンプ(電圧増幅器)」としたら恥ずかしいですね。
- もちろん、現在の科学でもわからないことがあります。わからないことはわかりません。
- 筆者は常に自分の常識を疑い、(科学的に)正しい方向に修正を続けています。自分が間違っていることを前提にしているからです。
- みなさんに科学に基づくオーディオの考え方と、理想に近い音の提供を願ってやみません。
- それでは科学によるオーディオのなぞ解きをお楽しみください。
見ているようで見ていない
- 最近、気が付いたのですが、人は見ているようで見ていません。
- 正確にいうと見てはいるのですが、気が付いていません。
- 視野には入っているのですが、認識していません。
- 例えば「電気」「電圧」「電流」「電力」という単語を見ているのですが、区別できていません。
- 全部まとめて電気に関係するなんかだろうと「一緒くたに(同一視)」してしまいます。
- あいまいにどうせ似たり寄ったりだろうと思っていませんか。
- だから「電圧増幅器」と「電力増幅器」を同じと思ってしまいます。何が違うのだろうと。
- (一部の)読者がこのように思っていることに筆者は最近まで気が付きませんでした。
- 読者は知っているものだと思っていました。筆者の思い込みでした。
- 筆者は意図を持ってこれらの単語を使い分けています。
- 筆者がいくら注意深く使い分けても、読者はそれに気が付いていないかもしれません。
- ※「以下」と「未満」の違いわかりますよね。
- ※理系であればすぐに違いをわかります。
- ※ところが文系にとっては難しいかもしれません。
- ※オーディオ・マニアのプライドから今さら知らないとは言いだせずにいる方も多いようです。
- ※だから知ったかぶりをせざるを得なくなります。
- ※プライドなんてものはいつの世も邪魔にしかなりません。
- ※「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」(江戸時代の書物「毛吹草」では「末代の恥」)
「うどん」「そば」「ラーメン」
- 日本人であるなら「うどん」「そば」「ラーメン」を間違う人はいないでしょう。
- ところが「電圧増幅器」「電流増幅器」「電力増幅器」となると、途端にわからなくなります。
- 区別できなくなります。
- みなさんは区別できるものだと筆者は勘違いしていました。
- こんなところに思い込みがあるとは思いもしませんでした。
- 当たり前のことが当たり前でなかったんですね。
- これでは話が進みません。進みようがありません。
- 一例ですが「そば」の定義を確認してみましょう。
- 「そば」の定義はそば粉を使うからです。
- うどん粉を使ったら「そば」ではありません。
- 「八割そば」とは、そば粉8に小麦粉2を混ぜて作った「そば」です。
- うどん粉とは小麦粉の一種です。
- ですから、「八割そば」とは正確には「八割そばで二割うどん」です。
- 「そば」の定義はそば粉を3割以上使っていれば「そば」と名乗ることができます。
- 羽毛布団と呼べるのは、50%以上の羽毛を使っている場合です。そういう定義だからです。
- どうしても不純物が混ざってしまうために、100%の羽毛布団は作れません。
- アンプも「電圧」「電流」「電力」と似たような言葉なので混同してしまいます。
- 「うどん」「そば」「ラーメン」に例えるとイメージがわくでしょう。
- 同じ麺類ですが違いますよね。それぞれ(感覚的に)うまいまずいがあります。好みがあります。
- どれが(感覚的に)良いとか悪いとかではありません。単に分類されているだけです。
- 電圧を出力するから電圧増幅器。
- 電流を出力するから電流増幅器。
- 電力を出力するから電力増幅器。
- 定義されており、電圧増幅器を電力増幅器と呼べません。
- 「うどん」を「そば」と呼べないのと同じ理屈です。
- 良いとか悪いとかの評価以前であり、これは定義なので逆らうことができません。
イメージ先行型の勘違い
- 筆者が電流帰還を利用したのは、流行からではありません。
- 電流帰還という何やら新しい言葉につられて、なんか良さそうと勘違いしてしまう方がいます。
- 「電流帰還」をキーワードのようにとらえ、スペックの一種と思ってしまうようです。
- スペック好きの方が陥る罠です。
- ※電流帰還を搭載しているからと言って電流出力とは限りません。最後に電流電圧変換していれば電圧出力です。
- 筆者が電力増幅を実現しようとしたら、電圧帰還と電流帰還の両方が必要だったにすぎません。
- 手段として電流帰還を利用しているだけで目的は電力増幅です。
- 別の手段で目的を実現できるなら、中身は問いません。
- たまたま電流帰還を利用しているにすぎません。
- 目的と手段を取り違えないようにしましょう。
- 目的を実現できるなら、手段にこだわっても意味がありません。
- 手段にこだわるのではなく、目的にこだわりましょう。
- 目的を実現するほうが遥かに重要です。
- むしろ重要なキーワードは「電力増幅」です。
- ところが「電圧増幅」と「電力増幅」を取り違えているためにややこしいことになっています。
- 本物の「電力増幅器」が登場すると、今までの「電力増幅器」て何?となります。
- ここで疑問に感じた方は鋭いです。メーカーの方ならヤバイと感じるでしょう。
- 今まで「電力増幅器」として販売していたものが「電圧増幅器」だったとしたら。
- 信じていたことが違うと指摘されると、人は反射的に反論します。
- 気持ちはわからなくもありません。突然裏切られたようなものですから。
- 信じたくないですし、受け入れたくありません。人は合理的な判断をするとは限りません。
- 素直に受け入れる人と反発する人に分かれます。
- 科学を受け入れる人と科学に歯向かう人です。
- イメージを先行しているとなかなか受け入れられません。感覚やイメージで物事をとらえているからです。
- 科学に逆らっても構いませんが、正しい音をえられません。
- 現時点で誰も科学を嘘だと証明できません。できるものならやって見せてください。
著作権と免責事項
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
- 記事は無保証です。修正義務や回答義務を負いません。
専門家ほど基本、基礎を大事にする。無知を知る。
- 基本中の基本を解説します。
- なぜこんなことをするのでしょうか。少し考えてみましょう。
- これは自分への戒めでもあります。専門的な話をするなら、基本に立ち返ろう。
- そんなこと知っているよと言わず、他人に説明できるか試してみてください。
- 本当に自分で理解していないと、説明できません。どこかで聞きかじった程度では説明できません。
- 知っていると理解しているは違います。
- 私はいまだに、電気の基本に戻って考えます。
- 自分の知識は不完全であると認識しています。そもそも世の中の現象は一部しか科学的に解明(証明)されていません。
- 知らないことは知りません。知らないことを自覚しています。
- 知ったかぶりをしません。知らないことは調べます。たとえ常識であっても確認します。常識などあてになりません。
- 「無知の知」ソクラテス
- 「之を知るを之を知ると爲し、知らざるを知らずと爲す。是れ知るなり。」論語
- 知らないことを確認します。確認できなければ採用しません。
- ただでさえ知らないことが多いのに(知っていることが少ないのに)、知らない理論を積み上げたら崩れます。
- だから知っていること(確実な事実)を基礎から積み上げます。
- 実力のある専門家ほど、基本、基礎を大事にします。
- 基本をおろそかにすると、根底から崩れてしまうからです。
- いくら専門的で難しい話をしようと、基本を間違っていたらすべてが無駄だからです。
- 間違った理論の上に、いくら応用理論を積み上げても崩れ去ります。
- いくら最先端であろうと根底でまちがっていたら無駄です。
- 基礎工事を手抜きした地盤に、いくら立派な建物を作ろうと、傾いて倒壊します。
- 専門家に「オーディオ」の語源を質問してみましょう。
- 基本中の基本であるこの質問に答えられないようであれば、ちょっと怪しいです。
- 「電気とは何」、「電圧とは何」という質問でもよいでしょう。あいまいにせず、ごまかしたりせず、しっかり答えられるでしょうか。
- 基本の1+1=を知らないのに、応用の1+2=を答えられるわけがありません。
- いくら数学の難しい話をしようと、1+1=を間違っていたら、全部無駄です。
- いくら最先端のオーディオ技術や難しいオーディオの議論をしようと、根底で間違っていたら、全部無駄です。
- オリンピック選手でも同じです。
- 優れた選手ほど基本を大事にしています。
- 体調管理しています。本番当日に風邪をひいていたり、ケガで出場できないなんて基本がなっていません。
- 見えないところで地道な基礎訓練をしています。
- 素人が基礎体力もないのに、オリンピック選手の真似をしたら大けがをします。
- 基本をしっかり押さえているから、素晴らしい実演ができるのです。
- 華やかな結果だけしか見ていないので、自分にもできそうな錯覚に陥りがちです。
- 最先端技術を自分でもできそうな錯覚に陥ります。
- 自分もやってみたいと思う意気込みは買いますが、たやすいことではありません。
- どの分野においても地道な努力をできないなら、専門家にはなれません。
- 基本をおろそかにしたとたん、崩れ去ります。
- 基本は地味で華やかではありません。はた目からは面白くないと思うでしょう。
- しかし、基本を積み上げていくと、その先に華やかな世界があります。
- だから、苦労とも感じません。むしろ楽しみです。
- この境地にたどり着くまでには、いくつもの壁を乗り越えなければなりません。
オーディオとは
- 音響機器をオーディオ機器と呼び、単にオーディオとも呼びます。
- 英語では Audio electronics です。そのままですね。
- audioの語源はラテン語の audire で「聞く」を意味します。つまり「聞くための装置」です。
- audience(聴衆)も同じ語源です。
×音が良くなることはない〇いかに劣化を防ぐかである
- みなさん、音をよくしようと努力するが、この考え方自体が誤りです。
- オーディオ・システムにおいては、音の劣化をいかに防ぐかしかできません。
- 決して元の音より良くなることはありません。
- そして元の音を再現できません。元の音に近づけることしかできません。
- これを証明します。
理想的なオーディオ・システム(オーディオの目的)
- そもそも理想的なオーディオ・システムとはどのようなものでしょうか。説明できますか。
- 最も基礎的な知識です。本当に理解していないと説明できません。
- オーディオ・システムの理想とはその存在を消し、あたかも元の音がそこにあるかのような状態にします。
- 視覚の再現装置がカメラであるように、音の再現装置です。
- ※音を蓄えるのですから、蓄音機とはよく考えられた名前です。
- 例えば自然界の音(鳥のさえずりや風に揺れる木の葉の音、いわゆる生音)を全く同じに再現します。
- ※「原音、音源」の解説も参照
- ブラック・ボックスとして入力と出力が同じでありさえすればよいのです。
- ここでのブラック・ボックスとは中身を問わない、つまり「手段」を問わないという意味です。
- 「目的」は入力された音を忠実に(寸分たがわず)出力すればよいのです。
- 「目的」と「手段」を取り違えないようにしましょう。
- オーディオ・システムは「目的」を実現する「手段」にすぎません。
- ※イコライザや低音ブーストなどを使う方もおり、否定はしないが、これは自分好みの音を作り出す創作(加工、アレンジ、味付け)である。
- ※どちらかというと音作りをする音楽家の立場に近く、もはや単なる聞き手(リスナー)ではない。オーケストラでいえば指揮者に口出ししている。私の方が指揮がうまいとね。
- ※音作りをするにしても、まずは基礎を知る必要がある。基礎を知らずして創作はできない。
- ※一時期、アナログ対デジタルという論争を生じたが、これも不毛な議論である。本質的ではない。
- ※理想のオーディオ・システムは中身を問わない。中身がアナログであろうとデジタルであろうとかまわない。
- ※手段はなんであろうとかまわない。そんなことに固執しても(こだわりを持っても)あまり意味はない。目的は音の再現である。
- 私自身、アナログであろうとデジタルであろうとこだわりはありません。全く別の方法でもかまいません。
- 例えば、音を出力するスピーカーの代わりに、圧電素子を使った圧電スピーカーや超音波の干渉を使ったパラメトリック・スピーカーでもかまいません。
- 現在のところ、スピーカーほどの性能を持ち合わせていないため、利用していないだけです。
- 将来、飛躍的に性能が向上したり、あるいは直接脳に聞かせる方法が発明されるかもしれません。
- 理想に近づけるなら、方法を問いません。
聴覚補正の有無
- オーディオ機器に聴覚補正が必要かとの議論があります。
- 結論からいえば、聴覚補正は必要ありません。
- 人は周波数によって異なる感度を持つことが知られています。これをグラフ化したものをラウドネス曲線と呼びます。
- ※音の大きさによっても曲線が変化します。
- 例えば警告音に2kHzから4kHzの周波数が使われます。気が付きやすい(感度が高い)音だからです。
- このラウドネス曲線に従ってオーディオ機器を補正すべきではとの考えです。
- つまり自分にとって聞こえにくい周波数を増強し、聞こえやすい周波数を低減すべきではとの考えです。
- しかし、これを行ってしまうと人間の脳に届くまでに、2段階の聴覚補正を行うことになります。
- オーディオで聴覚補正し、耳で聴覚補正します。この2つで相殺すべきではとの考えです。(脳に届くときにフラットな周波数)
- 我々は自然界の音をあるがままに聞いています。自然界の音を耳で聴覚補正して聞いています。1段階の補正しかしていません。
- オーディオで聴覚補正してしまうと、自然界の音と異なってしまいます。論理的に間違いです。
- 普段聞いている音とオーディオ機器を通して聞く音が異なってしまいます。
- (1)自然界の音->耳で聴覚補正->脳で感じる
- (2)自然界の音->オーディオで聴覚補正->耳で聴覚補正->脳で感じる
- ですから、オーディオ機器に聴覚補正は必要ありません。あくまでも基本は入力と出力が一致していればよいのです。
- ※念のためですが、自分好みの音に加工することを否定しているわけではありません。それは応用です。
- ※基本を知ったうえで応用は自由です。基本を知らずして応用はなしです。
- もともとラウドネス曲線は騒音を評価するために用いられるものであり、オーディオ機器に適用されるものではありません。
- つまり、人の感じ方(人が知らずに行っている聴覚補正)をシミュレーション(模擬実験)するためです。
- ラウドネス曲線は統計処理して感じ方を平均化したモデルです。
- 音の感じ方は人によって異なり、ラウドネス曲線に必ずしも一致しません。あくまでも平均値です。
- 騒音評価では人が平均的にどのように感じているかを評価しなければならないのでラウドネス曲線を用いるのです。
- 騒音がどの程度あるのかや、防音効果がどの程度あるのかを評価するために用います。
- 騒音計は人の感じ方を模倣しなければなりません。
- 騒音のレベルはA特性音圧レベルと呼ばれ、ラウドネス曲線を基にしたA特性補正を行います。
もし理想のオーディオ装置が登場したら
- 現状では無理ですが、もし入力=出力の理想的なオーディオ装置が登場したら、オーディオ装置による違いはなくなります。
- どの理想的なオーディオ装置でも音の違いが生じません。
- つまり理想のオーディオ装置が登場した時点で、基本機能の追求は完了します。
- 違いがないのですから、どれを選択しても同じです。
- 選択する理由がなくなります。
- ある意味楽しみがなくなります。
- 理想を追求していくと、差がどんどん縮まります。
- ※100m走は1/100秒の差を争います。
- 100%の完成度に達すると、それ以上の進化は望めません。
- 一般的に90%の完成度に達するまでは短期間ですが、そこから100%の完成度までは長期間を要します。
- オーディオ装置が100%の完成度に達することはないでしょう。
- オーディオ装置が登場して約100年になりますが、理想には程遠いです。
- 永遠に追及していかねばなりません。
視聴環境
- 正確に言えば視聴環境も含めてオーディオ機器と考えるべきです。
- 部屋の反響や遮音性も影響するからです。
- 遮音性が低ければ、救急車のサイレンや飛行機の騒音が部屋に入り込みます。
- これは音の忠実性を乱す、外来ノイズです。
- お風呂場のように音の反響が大きすぎると音を乱します。
イコライザ―
- イコライザ―:Equalizerとは周波数特性を調整する装置です。トーンコントロールもイコライザの一種です。
- 例えば低音を強調したり、高音を低減したりします。
- もともとEqualizeとは「等しくする」という意味で周波数特性をフラット(flat:平ら)にする目的で使います。
- なぜ、周波数特性がフラットでなければならないかといえば、入力と出力を同じにしなければならないからです。
- ただし、周波数特性をあらかじめ知っていないと、フラットにできません。
- 事前に周波数特性を知らないで使うと予想に反してフラットどころか、バランスを崩します。
- 補正するどころか周波数特性を壊します。
- 感覚で合わせようとしても無理です。人間の耳は計測器ではありません。
- 一般家庭に周波数特性の計測器を常備していないので、事前に周波数特性を知ることはできません。正しく設定されたか確認する方法がありません。
- そのため見かけることは少なくなり、音源作りのときに意図的な加工目的で用いられます。
- ※プリセットされたイコライズ情報を使って、ロック風にすることもあります。
- ※最近スマートホンを利用した簡易的な周波数特性の解析アプリが登場しています。
プリエンファシスとデエンファシス
- イコライザ―に関連してプリエンファシスとデエンファシスを解説します。
- プリエンファシス:pre-emphasis、事前に強調
- デエンファシス:de-emphasis、強調の解除
- これはいろいろな場面で使われています。
- 昔の工夫です。
- 忠実な音にするため、徐々に使われない傾向にあります。
- 余計な操作を加えると忠実性を損なうからです。
- 工夫が不要になった場合、やらない傾向にあります。CDなど。
- (1)LPレコードのRIAA特性
- LP=Long Play
- RIAA=Recording Industry Association of America
- イコライザーカーブとも呼ばれます。
- 当初RIAAの規格もメーカによってバラバラでした。のちに統一されました。
- 音はレコードに溝として刻まれています。直角のVの字の側面に左右の音が刻まれます。
- 一般的に低音楽器は音が大きく、高音ほど音が小さい傾向にあります。
- これは曲の周波数特性を観察すると確認できます。
- ※音量が大きいと溝の蛇行幅が大きくなる。溝同士が接触すると音飛びする。
- さらに原理上、針がこすれるためどうしてもヒスノイズ(サーという高音)を発生させSN比を悪化させます。
- レコードの回転数は一定なため、外周より内周の高音特性が劣ります。
- そこでこれらを改善するため、事前に高音を強調し、低音を低減してレコードに記録します。
- 再生時にフォノイコライザーで復元します。
- こうすることで溝の蛇行幅を狭くし、なおかつSN比を改善します。
- (2)DATやCD
- ただし古いCDに限ります。最近のCDでは採用されていません。
- レコードの名残の面があり、高音が強調されます。
- 一般的にCDプレーヤーが自動的にプリエンファシスのフラグを認識して、再生時にデエンファシスします。
- (3)FM放送
- ラジオの性質上、どうしてもサーというヒスノイズを発生させSN比を悪化させます。
- そこで放送局側で高音を強調したプリエンファシスを施します。
- 受信機側で高音を低減するデエンファシスをします。この過程でヒスノイズも低減します。
- SN比=Signal Noise比、信号とノイズの比率、通常はdB単位。
- ヒスノイズ:hiss noise、熱や磁性などに由来する電気的なノイズ。
ブロック化されたオーディオ・システム
- オーディオ・システムは録音システムと再生システムに大別されます。
- ※システムとはオーディオを実現するための組織だったまとまり。つまり機器の組み合わせ。
- 典型的なオーディオ・システムの例です。実際は複雑です。パソコン上で音を再生することもあります。
- マイク:音を電気信号に変える装置です。
- アンプ:電気信号を増幅します。
- 録音装置:電気信号を媒体に記録します。たとえば、CompactDeskであったり、フラッシュメモリにmp3形式で記録します。
- 再生装置:記録媒体から電気信号を再生します。
- アンプ:電気信号を増幅します。
- スピーカー:電気信号を音に変える装置です。
- 「原音」「音源」については後述します。
元の音を再現できない
- オーディオ・システムはさまざまな理由で元の音を再現できません。
- 途中でノイズが乗ったり、音が歪んだりします。
- マイクやスピーカーに周波数特性があり、音が歪みます。
- アンプも音が歪んだり、ノイズが乗ったりします。
- 録音時のAD変換や再生時のDA変換でも変換誤差(量子化誤差、離散化誤差)を生じます。
- 単純ですが、近くの掃除機の音が邪魔もします(外来ノイズ)。飛行機が飛んできたり、救急車が近くを通れば邪魔します。
- 厳密にいえば空気の流れがあると、ドップラー効果で音が変化します。扇風機やエアコンで音が変化します。
- リスニング環境も重要です。
- 各段階の再現精度をa,b,c,d,e,fとします。0<a,b,c,d,e,f<1です。再現の確率ではなく、精度です。
- 理想はa=b=c=d=e=f=1です。各段階で100%の再現精度なら入力=出力です。
- 入力をx、出力をyとすると y=abcdefx と表現できます。
- 複雑になればなるほど、出力の再現性が悪くなります。
- abcdefは1を超えることはなく、abcdef<1です。つまり100%の再現性はありません。
- いかに100%に近づけるかであり、いかに劣化を防ぐしかありません。
- これで証明終わりです。
- どこか1カ所でも著しく再現性が悪いと、それに引きずられて全体の性能が悪化します。
- このようなとき、問題個所をボトルネックと呼びます。
- ビンの首(=ボトルネック)は細くなっており、それが原因で流量が決定づけられることに由来します。
- ※伝言ゲームに例えるとわかりやすい。
- ※完璧な人はいない。
- ※次の人に伝言していく際に、少しずつ誤りが含まれ、最初と最後で伝言が違ってしまう。
- ※大人数ほど誤差が大きくなる。
「不可逆性」
- 覆水盆に返らず。という言葉があります。一度コップの水をこぼしてしまうと、完全に元に戻すことが不可能です。
- 同じことがオーディオ・システムにいえます。
- 一度、精度を落とすと、後で精度を戻すことは不可能です。
- 後で推測して復元しようとしても、完全には戻りません。推測も入るので加工してしまうことになります。
- アンプで精度を落としてしまったので、スピーカーで精度を取り戻そうとしても不可能です。
- 「音源」の元である「原音」を再現することは不可能です。
- 原音がどのようなものであったかは、その場にいなければわかりません。
- 聞き手にしてみれば、すでに失われた情報です。ですから「音源」を「正」とするしかないのです。
「スピーカーの精度」
- スピーカーはじゃじゃ馬でいうことを聞きません。
- ※「じゃじゃ馬」暴れ馬のこと。人の言うことに従わない例え。
- ではどの程度の精度でしょうか。考えたことありますか?
- 総合評価は難しいので、低音、中音、高音の精度を音圧レベルで比較してみましょう。
- 例としてFostex のP1000Kです。
- グラフから音圧レベルを読み取りました。
- 1kHzの音圧レベルを基準にします。
Fostex P1000Kの音圧レベル(グラフからの読み取り値)
周波数 | 音圧レベル | 精度(dB基準) |
1kHz | 88dB/W(1m) | 100% |
100Hz | 83dB/W(1m) | 94% |
7kHz | 94dB/W(1m) | 106% |
10kHz | 89dB/W(1m) | 101% |
- 精度としては94%から106%の範囲です。つまり歪率(誤差)としては±6%です。大雑把ではありますが、概ねこれくらいの精度です。
- これはdB値(対数スケール)での比較ですので、Pa値(リニアスケール)ではもっと大きいです。音量の単位は圧力20uPaを基準にしています。
- ※電力換算で94-88=6dB=4倍ですから、アンプの歪と比較するなら、スピーカーは(4-1)/1=±300%の誤差です。
- ※300%の誤差なんて嘘だと思うかもしれません。嘘ではありません。スピーカーの誤差はアンプとは比較にならないほど大きいのです。
- ※スピーカーは高調波歪率(THD)以前に基本波が変動します。それを表したグラフが周波数特性です。
- ※スピーカーの誤差はあまりにも大きいので、人間の感覚に近いdBで考えることにします。
- アンプの歪率が0.1%程度ですから、スピーカーの歪率はその60倍も大きいです。
- そもそも周波数特性(音圧レベル,SPL)グラフの縦軸目盛りは10dB間隔です。
- なんと荒い目盛りでしょう。アンプの精度と比較するなら、0.1dB間隔の目盛りでなければなりません。
- スピーカーをじゃじゃ馬と呼ぶ理由がわかったでしょう。オーディオ機器の中で最も歪が大きいです(精度が悪いです)。
- アンプの歪率を0.01%に改善するより、スピーカーの歪率を1%に改善したほうが総合的に考えて大きな効果を得られます。
- 総合精度=再生装置の精度xアンプの精度xスピーカーの精度
- 総合精度=100%x(100%-0.1%)x(100%-6%)=93.9%
- 総合精度=100%x(100%-0.01%)x(100%-6%)=93.99%、(アンプの歪率を0.01%に改善した場合)
- 総合精度=100%x(100%-0.1%)x(100%-1%)=98.9%、(スピーカーの歪率を1%に改善した場合)
- ※再生装置の精度を100%と仮定しました。実際には量子化誤差、離散化誤差(標本化誤差)があります。
アンプのブラインド・テストは無意味
- アンプの精度は0.1%程度。
- スピーカーの精度は300%程度。
- アンプの精度が1%から0.1%に改善されたとしても、スピーカーの精度が悪すぎるので埋もれてしまいます。
- だからそもそもアンプの比較テストなんて意味ありません。
- 4Kテレビの精細度をブラウン管テレビで見ている限り、ブラウン管テレビの精細度を超えることはありません。
- どんなに精度の高いテレビを宣伝されても、その良さがブラウン管テレビを通してみている限りわかりません(判別できません)。
- ※最終的に出力される画像の精度はブラウン管テレビで決まる。
- ※同様に最終的に出力される音の精度はスピーカーで決まる。
- ※最終的な結果を決定づける障害をボトルネックと呼ぶ。
- 細かさが1mmの定規しか持ち合わせていなければ、0.1mmも0.01mmも判別しようがありません。
- 逆にいえば、スピーカーのブラインド・テストは意味があります。
- 相対的にアンプの精度とスピーカーの精度は違いすぎるため、こうしたことが起こります。
- スピーカーの精度がアンプの精度より遥かに優れているなら、アンプの比較テストは意味があります。
- 被測定対象より測定器の精度がよくなければ測定できません。当たり前の原理です。
- 科学の基礎です。
- 船の揺れを10cmに保つ優れた走行性能があるとしよう。
- 波が10mの荒れた海でこの船の揺れはどうなりますか?
- 10cmの揺れなんて10mの揺れに埋もれてしまいます。
- 船の走行性能の違いは判りますか?
- 歪の大きいスピーカーで歪の小さいアンプを評価できません。評価しても意味ありません。
原音、音源
- さて元の音(基準になる音、再現すべき音)として原音と音源があります。
- 言葉の定義があいまいですが、一般的に自然界の音を原音と呼び、音楽のように作られた音を音源と呼びます。
- 音楽は自然界の音ではなく人工的に作った音なので音源と呼びます。原音から音源が作られると言ってもよいでしょう。
- CD音源やハイレゾ音源、PCM音源と呼んだりします。
- ※本来の音源(おんげん)は音の源(みなもと)なので音を出す楽器などを指します。再生装置からみればCDは音源です。
- 音源に歪んだ音が含まれている場合、歪んだまま再生することが求められます。
- 再生装置は作られた音源をそのまま再現できればよいのです。
- 原音と音源を厳密に区別する必要はなく、オーディオ・システムはどちらであっても100%の再現性が理想です。
- 理想のオーディオ・システムは存在せず、いかに理想に近づけるかしかできません。
- 言い換えるなら、原音に近づけるか、音源に近づけるかです。
- ※2000年以降、音圧優先で音作りが行われ、楽器本来の音をつぶしてでも(音をクリップさせる)音源が作られています。
- ※音源を作る過程で誤ったことが行われていますが、これは別の機会にします。
- ※例え歪んでいようが音源を元の音(これを正とする)とせざるをえません。エレキ・ギターはあえて音を歪ませます。
生音
- ライブで聞いた音、演奏会で聞いた音、自然界の音を生音とも呼びます。
- 上記では原音と表現しています。原音=生音。同じ意味です。
- これが入力の基準です。一度だけであり、二度と聞くことはできません。情報として失われてしまいます。
- そこで、これを再現しようというのがオーディオの目的であり、再現する手段がオーディオ機器です。
- ※オーディオ機器のない時代の再現方法は楽譜でした。楽譜によって演奏を再現するしか方法がありませんでした。
- 生音を再現しようとしますが、残念ながら今の技術では100%の精度で再現できません。
- いかに100%の精度に近づけるかしかできません。
- 入力と出力が完全一致しません。ノイズや歪が生じます。ひどい場合には音の欠落(レコードやCDの音飛び)さえあります。
- FM放送なら雷によるノイズも混入します。
High Fidility(Hi-Fi ハイファイ)
- 今も昔も再現に苦労していました。
- fidilityとは「忠実」でハイファイは「高い忠実性」「高い再現性」を意味します。
- 1950年代に高い再現性を目指した証としてHi-Fiという言葉が広まりました。
- 昔のHi-Fiは今ほどの再現性もありませんでした。
- 例えば、AMラジオに比べてFMラジオをHi-Fiと呼びました。
- RIAAイコライズを利用した低ノイズのLPレコードをHi-Fiと呼びました。
- モノラルに比べてステレオをHi-Fiと呼びました。
- 電話の音声やAMラジオの音声に比べて高い再現性という位置づけでした。
「性能の良し悪し」と「音の良し悪し」は別
- よく混同している方を見かけます。
- 性能が良ければ音をよいと感じるわけではありません。
- 例えどんなに性能が良くても、嫌いな音は嫌いです。黒板を爪でひっかく音、嫌いですよね。
- 性能評価と感覚評価を混同してはいけません。
- オーディオの基本目的は音の再現です。好き嫌いは別にして、元の音を再現することが目的です。
- 元の音を聞いても好き嫌いがあります。
- ※ちなみに筆者はラップが嫌いです。これは好みでありどうしようもありません。
- ※本物のピカソの絵を見ても好き嫌いがあり、コピーのピカソの絵を見ても好き嫌いがあります。
- オーディオ機器は元の音を自分好みの音にすることではありません。
- ※コピー機は元の画像を自分好みの画像にすることではありません。
- 嫌いな音をいくら料理したところで嫌いです。
- 人は自然界の音をそのままに感じています。好きな音もあれば、嫌いな音もあります。
- 自然界の音をオーディオ機器に通すと、すべて自分好みの音になるわけではありません。
- 人の好みはさまざまで、万人の好みを満足することなどできません。
- オーディオ機器は元の音を忠実に再現すればよいのです。
- 元の嫌いな音を嫌いな音として再生しなければなりません。元の好きな音を好きな音として再生しなければなりません。
- ※誤解のないように付け加えるなら、「基本目的は音の再現」であり、その後の応用は自由です。
- ※音楽家として、芸術家として「応用目的」で音を加工するのは自由です。
- ※ただし、基本を忘れて、応用は成り立ちません。基本の上に応用が成り立ちます。
- ※体操の基本もしらないで、オリンピック選手の技を真似したら大ケガをします。
- ※例えば素人がスキージャンプしたらどうなるかは想像できるでしょう。
- オーディオの性能評価---これは測定器で評価すべき内容。正しい答えがある。
- 音の評価---これは耳で評価すべき内容。正しい答えがない(個人個人で評価が異なる)。
- ここでの「正しい答えがない」とは正確には「万人の満足する正しい答えはない」という意味です。
- 「(感覚的に)自分の満足する答え」はあります。ただしそれが「他人の満足する答え」である保証はありません。
- 「自分の満足する答え」を追求することは構いませんが、他人に「自分の満足する答え」を押し付けてはいけません。
- 自分と相手では感覚が異なるからです。
良い音の定義とは何?他人と共有できる判断基準の確認
- みなさん「良い音、悪い音」とよく言いますよね。
- そもそもその定義は何でしょうか?
- 定義、基準がないことには何をもって良いのか判断のしようがありません。
- そこを抜きにして話をするから、不毛な議論になります。
- メートル基準とマイル基準で話はかみ合いません。基準の違う話をしても無駄です。
- 「感覚を基準」とした良い音の話なら、各自感覚が違うので、各自違う「良い音の基準」を持ちます。
- ※この場合「良い音=心地の良い音」と言い換えることができるでしょう。
- 感覚の全く同じ人はいません。各自違うモノサシをもっています。
- これでは何をもって良いのか共通する基準がありません。
- ですから感覚を基準とした良い音は「1個人を満足させる」ことはできますが「万人を満足させることはできません」。
- つまり「自分の良い音」が「他人の良い音」である保証はありません。
- 「感覚を基準にした良い音」つまり「自分の良い音」の基準は自分にしかあてはまりません。
- これはこれで自己満足すればよいので、追及してかまいません。それを否定しているのではありません。
- しかし「感覚を基準にした自分の良い音」を他人に押し付けてはいけません。
- もう一つ「性能を基準」とした良い音の話なら、測定機器で確認することができ、誰もが確認できます。
- 測定器をもって正しいとする共通の基準があります。
- そして、入力と出力が等しいことを正しいと判断できます。
- ※この場合「良い音=正しい音」と言い換えることができるでしょう。
- 性能評価と感覚評価を混同するとわけのわからない不毛な議論になります。
- だから単に「良い音」と言っている場合、何を基準に話しているのか、まず確認しなければなりません。
- これを怠ると泥沼の議論になります。
- 「良い音」だけに限りません。聞いたことのない「用語」がでてきたら、定義を確認しましょう。
- 定義を確認しないで語り始めるとわけのわからないことになります。
- そして自分と他人で共通の基準にならないなら、議論しても無駄です。
- 例えば、たまにアンプのトランジション特性がよいと語る方がおります。
- トランジション(Transition)とは「過渡特性」のことであり、簡単にいえば周波数特性のことです。
- トランジション特性がよいとは、言葉を換えれば周波数特性がよく、利得帯域が広く、スルーレートが高いとも言えます。
- イメージで語るのは好きではありませんが、音の反応が速いとも言えます。信号の遅れが小さいからです。
- 得意気に難しい言葉を使わないようにしましょう。
- わかっているつもり程度では、知ったかぶりがバレます。
- 理解しているほど簡単な言葉を使います。
コラム:聞いたことのない横文字
- 聞いたことのないオーディオ用語がでてきたら、気を付けましょう。
- 上記ではトランジションの例をあげました。
- これは調べれば「過渡特性」と判明しました。その定義を確認することができました。
- ところが調べても確認できないオーディオ用語がたくさんあります。
- みな理解して言葉を使っているのでしょうか。
- 確認できず定義のない言葉を使っているようでは怪しいです。知ったかぶりかもしれません。オカルト用語もあります。
- なんとなく「雰囲気」で使っていませんか?
- 経験上、得意気に横文字を使っている場合は知ってはいるが理解していない人がほとんどです。
- 自慢げに横文字を使っている場合は知ったかぶりです。
- 本当に理解している人なら、日本語を使います。
- 定義のわからない横文字が出てきたら、もう胡散臭いです。話を信用できません。
- いくつか取り上げてみましょう。
- リニアフェーズ=Linear phase
- 日本語にすると「直線位相」です。
- これだけでは何のことやらわかりません。なんのことでしょう。明確な定義がありません。
- 自分勝手に解釈して使っているようです。だから人によって意味が違います。これでは話がかみ合いません。
- ネットワーク回路によるスピーカーの位相補正を意味したり、マルチウェイのボイスコイル位置合わせ(等距離)を意味したり、
- あるいはDAWのイコライザーの一種であったりします。
- ※マルチウェイのスピーカー位置は様々な問題を引き起こします。
- ※奥行位置の差から位相差を引き起こし干渉します。上下位置の差でも干渉します。
- ※奥行位置といっても音はコーンから出力されるので、コーンの長さが違うとどこを基準に合わせればよいのかわかりません。
- ※ボイスコイル位置を合わせればよいわけではありません。
- タイムアライメント=Time alignment
- 日本語にすると「時間調整」あるいは「時間そろえ」
- これはカー・オーディオ用語として使われているようです。
- カー・オーディオの左右スピーカーは運転席に対して等距離にありません。
- そこで一方のスピーカーからの出力を時間的に遅らせて(補正して)「あたかも等距離にあるようにすること」のようです。
- タイムアライメントなんて言葉でなく、左右スピーカーの「聴覚距離調整」といえば誤解もなくわかりやすいです。
- もともと一つのメーカーが言い出した言葉です。だから明確な定義がありません。
- タイムドメイン=Time domain
- 日本語にすると「時間領域」
- これも一つのメーカーが言い出した言葉です。しかも明確な定義がありません。
- これまでの「周波数特性」を論じる「周波数領域」から別の次元(ものさし)である「時間特性」を論じる「時間領域」らしいです。
- つまり、「周波数」を論じるのはやめて「時間」を論じようという理論らしいのですが、明確な定義がなく何のことやらわかりません。
- あいまいどころか理解不能です。この言葉を使わないほうが良いでしょう。混乱するだけです。
- たとえ科学的な根拠があったとしても他人と共有できない言葉は意味がありません。
- ※どうもフーリエ級数は周波数だけを考えていると勘違いしているようです。
- ※フーリエ級数は時間を変数としています。時間軸で考えており、その先に周波数があります。
- ※フーリエ級数は振幅、位相、時間、周波数の複雑な関係を示しています。時間も考慮されています。
- ※フーリエ級数を三角関数の合成定理で書き換えると振幅と位相が出現します。よく考えられているのです。
- ※フーリエ級数は数学的にも電磁気学的にもその理解は難しく、理系であっても挫折する方が多いです。
- ※少し知っている程度では理解しているとは言えません。中途半端な知識はケガの元です。
- ※フーリエ級数は視点を変えてみる必要があり、ある時は時間の視点、あるときは周波数の視点で考えます。
- ※筆者も学生時代にフーリエ級数に悩まされました。簡単に理解できません。
- ピュアオーディオ=Pure Audio
- 日本語にすると「純粋な音響機器」
- 残念ながらどこを調べても明確な定義がありません。
- どういう意味で使っているのかわかりません。
- 人によって解釈が異なります。
- ある人は「単純な(Simple)」という意味で解釈します。コンパクトにまとまったオーディオを意味します。
- ある人は映像オーディオと区別するため「音だけのオーディオ」という意味で解釈します。
- ある人は「個別に性能を追求した」という意味で解釈します。度を越した高級オーディオを意味します。
- これでは混乱します。
- お互いになんの話をしているのかわかりません。ピュアオーディオってなんですか?
- 英語にもこんな言葉は存在しません。
- みんな理解して話をしているのですか?知ったかぶりしていませんか?
- 雰囲気で話していませんか?空気を読んで話していませんか?
- 世間という幻想が作り上げた言葉ではありませんか?
- この言葉を使っている人は世間に流されていますね。
- 調べてみると科学的な根拠のない話が多いです。感覚的な話だったりします。
- なお、筆者はわざわざ指摘しに行きません。放置あるのみです。
- 親切心で指摘すると、逆上されます。恩を仇で返されます。
- 放置し、自ら恥をさらし続ければよいだけです。それだけのことです。
- 勘違いによる間違いは恥ずかしいです。
- 聞く耳を持たないため、何を言っても無駄です。自ら気づき、自ら直すしかないのです。
- ※自己責任です。筆者は関与しません。筆者は他人の責任を負いません。
- ※ちなみに筆者は間違いに気が付いたら修正します。固執しません。人は間違うことを前提にしているからです。
コラム:科学を疑ってみた
- みなさんは当たり前のことを疑ったことがあるだろうか。
- 私は常識どころか、たとえ科学的な事実であっても疑ったりする。一度は本当か、確かめずにはいられない。
- これは幼少期の話である。
- 電気はプラスからマイナスにしか流れないと知った。本当か疑ったのだ。
- 電池、モーター、電球などを使って、回路の組み合わせをとことん試した。何日もああでもないこうでもないと戦った。
- 何とかして反対に流れないかと実験した。
- ショートするようないじわるな回路も試したが、どんなことをしても電気はプラスからマイナスにしか流れないことを思い知らされた。
- それ以来、今に至るまで、覆すことはできていない。
- 科学とは誰が確かめてもそうなる。こうして歴史的に耐え抜いてきた科学理論が正しいものとして存続する。
- ただし、未来永劫、正しいかどうかはわからない。わずかな例外でも見つけたら、理論を打ち破ることができる。
- 例え無駄とわかっていても、一度確かめてみるとよい。
- 確かめもせずに、ああだこうだいっても説得力がない。
- ※たまにお前はどうして強気なんだ、どうして言い切れるのかと指摘を受けます。
- ※それは科学を根拠としているからです。科学をよりどころにしているからです。
- ※強気でもありません。単に科学な事実を述べているにすぎません。
- ※現時点で誰も科学を否定できません。誰も嘘だと証明できません。
- ※悔しかったら科学を否定するしかありません。やれるものならやってみなというのが科学です。
- ※科学に感情論は通用しません。
- ※ちなみにですが、科学が否定され新たな科学的な事実がでてきたら、筆者は新たな科学に従うだけです。
- ※否定された科学にしがみつく(固執する)つもりはありません。柔軟に対応するだけです。
- ※素直に従うだけです。こだわりはありません。
コラム:数学や科学は信用の積み上げで成り立っている
- オーディオ機器において部品の仕様を逸脱(偽装)してはいけないのはなぜでしょうか。少し考えてみましょう。
- これは数学や科学の根幹に関わります。
- 数学や科学は、小さな「根拠」の積み上げで成り立っています。
- 1+1=2だから1+2=1+1+1=3であるわけです。すべて前提が正しくなければなりません。
- 科学も同様に小さな「正しい理論」の積み上げです。
- GPSも数学や科学の小さな根拠の積み重ねで成り立っています。もしどこかに間違いがあったら正しい位置を求められません。
- すべて正しいこと、つまりは「信用の積み重ね」で成り立っています。
- どこかで「信用を裏切る嘘」が紛れ込むと、それ以降の議論や理論は成り立ちません。
- このように信用(根拠、正しいこと)の積み上げで成り立っています。
- 間違った理論や嘘が紛れ込むと、それ以降の話はすべて信用できません。
- オーディオの世界も同じです。
- どこかに間違った理論や嘘が紛れ込むと正しい音が出ません。
- だから部品の仕様をごまかして使ったら、そのオーディオ機器をもはや信用できません。嘘は裏切り行為です。
- ※故意にごまかしていた場合は特に悪質です。
- ※部品に対して妥協はあるでしょう。過度の品質ではなく、そこそこの品質で妥協します。妥協と偽装(嘘)は違います。
- ※例えば、コストの関係から銀線ではなく銅線で妥協しています。導体として銅を使うことは偽装(嘘)ではありません。
- 地道ではありますが、コツコツと小さな根拠(信用)を積み上げなければなりません。
- 心無い誰かが嘘を紛れ込ませた瞬間に信用は崩壊します。
- ※広い意味で社会も信用の上に成り立っています。騙し合いの社会になったら何も信用できません。何が正しいのかなんてわからなくなります。
手間や苦労を惜しんではいけない
- 最近は努力せずに結果を求める傾向がますます強い。
- 特に企業ではすぐに結果を求める。四半期ごとの成果を求める。
- すぐに結果を求めることは悪いことではないが、すべてにおいて適用できない。
- 地道な努力も必要である。
- 米を収穫するためには田んぼを整理し、苗を植え、草取りをし、水を管理し、時間をかけなければならない。すぐに結果を得られない。
- ではオーディオの世界ではどうかといえば、今の技術ではどんなに頑張っても理想のオーディオ・システムを実現できない。
- オーディオの世界でもお金で即解決できない。
- オーディオの世界では正解に近づく方法はいくつもあり、どれも近似解でしかない。
- 答えをわかっているが、限りなく近づくことはできても、結果を得られない。
- そもそも結果を得られないので、すぐに結果を求めることは不可能。
- 地道な努力が必要だ。
- 手間も苦労も、時間もかかる。しかも理想の結果を得られない。この認識、覚悟が必要である。
- この覚悟がないから、あきらめや挫折をする。
答えありきの偽りの手段
- 同様に地道な努力でしかオーディオ・システムを改善できない。小さな努力を積み重ねるしかない。
- 魔法もなければ手品もない。ましてお手軽な方法はない。
- 答えありきで、変なことをするから余計ややこしくなる。これを偽りの手段と呼ぶことにする。
- 私のパソコンにはとあるサウンド・システムがインストールされている。
- そしてデフォルトでイコライズされており、低音と高音が持ち上げられている。
- 電圧アンプでスピーカーを駆動すると低音と高音が不足するため、それを見込んであらかじめ補正しているのだ。
- まさに答えありきで偽りの補正をしている。
- スピーカーはモデルが異なれば特性も異なる。個体差もある。
- にも関わらず、答えを事前に予想して補正している。だから予想が外れて答えを間違う。
- そんな小手先で補正するからおかしなことになる。
- そもそもスピーカーを正しく駆動できれば、低音と高音が不足することなく、余計な補正は不要である。
- スピーカーを正しく駆動するには電圧アンプ(=ボルテージ・アンプ)ではなく電力アンプ(=パワーアンプ)が必要だ。これは科学的な事実である。
- 不思議なことにそれを知っていながら、電圧アンプを使っている。皆さんパワーアンプを買いに行くが、売っているのは電圧アンプである。おかしな話である。
- リンゴを買いに行くがミカンしか売っていない。しかもミカンをリンゴだという。なんか狐につままれる(騙される)としか思えない。言っていることがむちゃくちゃだ。
- ※電圧アンプと電力アンプの違いは▼アンプの見分け方をご覧ください。
- 余計なサウンド・システムを無効にしている。
- こうした答えありきの偽りの手段は一見よさそうに見えるが、誤った道へミスリード(誘導)する。
- 答えを知ったつもりで、辻褄(つじつま)を合わせようとする。ズルをする。
- そんなことをせずとも正しいことを積み重ねていけば、自ずと正しい音に近づく。邪魔だから余計なことをするなと言いたい。
- 「むちゃくちゃ」なことも行われているため、なかなか正しい音に近づけず、あきらめて(挫折して)自分好みの味付けに走ってしまう。
音とは
- 音とは空気の振動現象(圧縮と膨張)であり、疎密波です。空気の縦波です。音は水中も伝わりますが、オーディオでは対象にしません。
- 空気を媒体にしているため、媒体が変化(気温、気圧、湿度、移動など)すれば音も変化します。
- 空気の組成は約8割が窒素、約2割が酸素です。音とは窒素と酸素の混合気体中(水蒸気も含む)の振動です。
- 音は空気中を約340m/sで伝わります。瞬間的ではないため、直接波と反射波に時差があります。
- 音は波の性質を持ちます。重ねあったり、広がったり、反射したりとさまざな性質があります。
- 物理学的に音は力学的エネルギーです。
- ※ガス爆発によって周囲のビルの窓ガラスが割れることがあります。音がエネルギーである証拠です。
- ※破片が窓ガラスに当たったわけではなく、音が窓ガラスを破壊します。
- ※物を壊すためにエネルギーが必要です。
パワーアンプ
- スピーカーの駆動にパワーアンプが必要です。なぜでしょうか。考えたことありますか。
- そもそもパワーアンプと呼ぶのはなぜでしょうか。
- ※Amplifierとは増幅器で略してアンプと呼びます。
- スピーカーは電気エネルギーを音のエネルギーに変換します。電気で空気を振動させます。エネルギー変換装置です。
- 電気のエネルギーとは「電力(パワー)」です。「電圧(ボルテージ)」のことではありません。
- だからパワーアンプを必要とします。言葉として正しいのです。
- これが科学的な根拠です。
- ※正確にいうと、瞬間的な電気エネルギーを電力、電気エネルギーの積算を電力量と呼びます。
- ※たまにスピーカー・ユニットをトランスデューサ(transducer)と呼ぶメーカーもあります。
- ※transducerとはエネルギーの変換装置という意味です。
- これまでは仕方なしに電圧アンプで電力アンプを代用してきました。技術力がなく電力駆動する方法がわからなかったからです。
- 冷蔵庫のなかった時代に、脱脂粉乳で牛乳を代用していました。同じことです。
- 科学が進歩していますが、まだまだオーディオの世界は遅れています。
- まさかアンプの駆動方法が時代遅れだったなんて。衝撃の事実です。
- ※現在パワーアンプと称してボルテージ・アンプが販売されています。
- ※パワーアンプ=電力アンプ=電力増幅器=Power Amplifier
- ※ボルテージ・アンプ=電圧アンプ=電圧増幅器=Voltage Amplifier
- ※パワーアンプを辞書で調べると、電力増幅器や電力増幅用アンプと説明されています。電圧増幅器ではありません。
- ※辞書が間違えているのでしょうか。科学的な事実と一致しており、辞書は正しいです。
増幅器は電源装置の親戚
- 増幅器がどのように誕生したのか電気回路の視点から解説します。基本に戻って考えてみましょう。
- 増幅器は電源装置と親戚関係にあります。
- 電源装置の応用例が増幅器です。
- といわれても何のことやらわからないですよね。
- 実験などでよく使う、直流電源装置(定電圧源)があります。
- 直流電源装置とは可変ボリュームで出力電圧を設定します。
- 例えば、0Vから12Vの間で設定します。
- そして負荷に影響されず、同じ電圧、つまり定電圧です。
- 5Vに設定したら、負荷抵抗が8Ωでも16Ωでも、5Vを出力します。
- これを定電圧源と呼びます。乾電池は1.5Vの定電圧源です。USB電源は5Vの定電圧源です。
- ※あまり見かけませんが、定電流源もあります。負荷に影響されず定電流です。
- さて、この定電圧源を改良し、可変ボリュームの代わりに入力電圧に応じて可変出力電圧にすると電圧増幅器になります。
- ※イメージとしては手で可変ボリュームを回す代わりに、入力電圧で可変します。
- ※もし入力電圧に合わせて手でボリュームを変化させることができれば、手動電圧増幅器になります。
- ※手で高速に可変することは不可能ですが、入力電圧なら可能です。
- ※固定出力の電源装置を可変出力に変更して増幅器が誕生しました。
- もちろん出力範囲をプラスだけでなくマイナスにも拡張します。
- これが電圧増幅器の原型です。こうした原理で電圧増幅器は動作します。
- つまり電圧増幅器は定電圧源の応用例です。増幅器は電源装置の親戚という理由がここにあります。
- ※ここでは電圧増幅器を取り上げましたが、電流増幅器も同じです。
- ※電流増幅器は定電流源の応用例です。
- ※定電圧源は負荷に影響されず、一定の電圧を出力します。負荷に影響されないのは電圧です。
- ※定電流源は負荷に影響されず、一定の電流を出力します。負荷に影響されないのは電流です。
増幅器の種類
- 増幅器の種類を解説します。
- 増幅器は電源装置の親戚であり、可変出力します。
- 何を出力するのかが異なります。
- 増幅器は可変出力しますが、入力を固定して違いを確認してみましょう。
- 入力を固定とは、電源装置の可変ボリュームを固定と同じです。
- すると違いが明確になります。
- 今までなんとなくぼやけていて、よくわからなった増幅器の違いが見えたでしょう。
- どれも負荷抵抗によらず、(入力が固定なら)一定の出力をします。
- このとき出力の種類が違います。
- 逆にいうなら、「何に対して」なら負荷に影響されず、一定の出力をするかです。
- 電圧、電流、電力、どれが負荷に影響されないかの違いです。
- (1)電圧が負荷に影響されないなら電圧増幅器です。
- (2)電流が負荷に影響されないなら電流増幅器です。
- (3)電力が負荷に影響されないなら電力増幅器です。
出力「電力」特性
- 音はエネルギーです。
- 音エネルギーを出力するために、電気エネルギーである電力を入力してあげる必要があります。
- エネルギーは等価です。入力エネルギー=出力エネルギーです。
- そのためスピーカーの駆動に電力増幅器(パワーアンプ)を必要とします。
- これは科学的な事実です。
- ですから「電力」を議論する必要があります。
- 「電圧」を議論しても意味がありません。電圧増幅器を議論しても意味がありません。
- 科学的な観点から注目すべきは「電力」です。
- スピーカーに正しい電力を入力しなければ、正しい音を出力しません。当たり前です。
- 間違った電力を入力したら、間違った音を出力します。
- 増幅器の違いが与える出力「電力」特性を確認してみましょう。
- これはイメージ図です。
- 横軸は負荷(インピーダンス)、縦軸は電力(dB)です。
- 黄=電流増幅器、赤=電力増幅器、青=電圧増幅器
- 電力増幅器は負荷に影響されず、電力を出力します。
- 科学的に電力増幅器を必要とする理由を解説しました。
- 電力増幅器の代用として電圧増幅器を使うと副作用が発生します。
- 負荷であるスピーカーのインピーダンスは固定ではなく可変だからです。
- スピーカーのインピーダンスがどのように変化するのかは後述します。
- スピーカーの指標である公称インピーダンスとは代表値であり、実際には大きく変動します。
- インピーダンスは固定ではありません。
スピーカー
- スピーカーは音を出力する装置です。
- ※Loud Speakerとは拡声器で略してスピーカーと呼びます。
- その動作原理は電磁石です。ボイスコイルと呼ばれる筒状に巻いた可動性のコイルに電気を流します。
- すると永久磁石と引き合ったり反発します。動くのはコイル側です。
- ※レコード針でいえば、MM方式ではなくMC方式です。MM:Moving Magnet、MC:Moving Coil
- ※磁界中に電気を流すと力が働きます。これがフレミングの左手の法則です。
- ボイスコイルに固定されたコーン(cone:円錐の振動板)を動かします。
- 振動板が空気を動かし、音がでます。空気が逃げてしまうので100%伝わるわけではありません。
- スピーカーはじゃじゃ馬で、オーディオの中でもっとも言うことを聞きません。
- 音の出口であり重要な要素であるにも関わらずです。
- スピーカーの再現精度が悪ければ、どんなに精度のよい再生装置やアンプを使ってもすべて台無しです。
- コーンは質量ゼロで、限りなく固い(剛性が高い)ことが理想です。
- コーンが重いと動きにくく止まりにくいため、電気信号に追従しにくくなります。
- コーンが柔らかいと基本振動の他に倍振動が発生し、音が歪みます。
- ※これを分割振動と呼んだりします。
- 軽くて高い剛性という相反する特性が必要なため、なんとか両立した円錐形の紙を使います。
- 紙は軽く、円錐構造で剛性を高めます。
- もっと軽い素材、高い剛性の構造が見つかれば、理想に近づきます。
- 例えばカーボン・プラスチック(炭素繊維強化プラスチック)は理想に近いです。
- ※紙も炭素でカーボンですが、柔らかいので壊れにくい性質があります。構造を工夫して剛性を高めています。
- 振動板は前後に動くため、音は前と後ろに伝わります。
- 音は広がる性質があります。厄介なことに低音ほど広がり、高音ほど広がりにくい性質もあります。
- 前と後ろの音は位相が逆のため、後ろの音が前に回り込むと打ち消します。
- そこで後ろの音を箱に閉じ込めて、消し去ることを考えました。
- 箱が大きいほど、音を消し去る空間をとれ、振動板の動きを妨げる副作用も少ないため、理想に近いです。
- 昔、バックロードホーン型が流行りました。
- バックロードホーンは後ろの音を何とか位相反転させて、後ろの音も利用し、効率を改善するために考えだされました。
- 真空管時代は出力電力を大きくすることができなかったため、少しでも音を大きくするための策です。
- ホーンの形状で位相反転させようとしましたが、設計方法が確立しておらず、むしろ前の音を打ち消してしまうため、いびつな周波数特性です。
- 半導体アンプの登場により、簡単に大きな音を出せるようになったことから、バックロードホーン型は衰退しました。
- いまだにバックロードホーン型の(科学的、数学的)設計方法は確立していません。
- ※もし後ろの音を利用する設計方法を確立したら、それはすごいことになるでしょう。
- 昔のスピーカーの公称インピーダンスは大きいものがほとんどでした。
- 真空管時代はアンプの出力インピーダンスが高かったため、インピーダンスの低いスピーカーを駆動するのが苦手だったからです。
- それゆえ、スピーカーに電力が伝わらず、音量も大きくできませんでした。これは電力の数式が証明しています。
- ※電力=電圧×電圧÷インピーダンス
- ※電力が大きければ音も大きくなります。
- ※ところがインピーダンスが大きいと電力は小さくなります。分母が大きくなれば、電力は小さくなります。
- トランジスタの登場によって、アンプの出力インピーダンスが下がり、インピーダンスの低いスピーカーでも駆動できるようになりました。
- スピーカーのインピーダンスが低いと大きな電力を伝えることができ、大きな音を出力できるようになりました。
- こうして、一般的に公称インピーダンスは8Ωに落ち着きました。
- インピーダンスの大きいスピーカーはコイルをたくさん巻かなければならず、物理的に形状が大きく、細い線を使わなければならないため切れやすいという欠点がありました。
- スピーカーの公称インピーダンスを低くできたことにより、太い線を使うことができ、断線や焼き切れに対して、耐久性を持たせました。耐電力も上がりました。
- カーオーディオ用のスピーカーの公称インピーダンスが4Ωと低いのは、ドアに内蔵するために薄く作らなければならないからです。巻き線数を減らすことで、少しでも薄くしているのです。
- イヤホンやヘッドホンを大きな電力で駆動する必要がないため、16Ωや32Ωに落ち着きました。
- スピーカーの構造や仕組みを解説すると一冊の本になるので、このくらいにしておきます。
音像、臨場感
- 音像定位ともいう。
- 人には左右2つの耳が備わっている。これは紛れもない事実である。
- そして、音のする方向を判断している。声のする方向を判断している。
- 例えば、雷の鳴る方向や大雑把な距離感さえも判断できる。遠くの雷か近くの雷か判断している。
- これは人類の進化の過程で獲得した能力である。
- もしこの能力がないと、雷に打たれる。
- 森の中で音による距離感がわからないと熊に襲われる。
- この能力を身に着けたものが生き延びてきた。
- ※個人差はあるだろう。
- 音楽も当初はモノラルであった。それでは音のする方向を表現できない。
- そこでステレオが登場した。オーケストラ(クラッシック音楽)であれば、バイオリン奏者の位置やトランペット奏者の位置を判断できる。
- これを音像定位という。簡単にいえば、目には見えないが音のする方向からわかる全体像である。画像の音版である。
- 音像定位があることで自然界の音に近づく。自然界の音はあらゆる方向から発せられる。
- ※オーケストラとはギリシャ語で半円形の「踊り場」という意味。演奏者と観客の間に配置されていた。
- ※オーケストラでは大まかな楽器の配置が決まっている。一般的にバイオリンは左側から聞こえる。
- ※モノラル(monaural,monophony)の語源はmonoで「単独の」という意味。
- ※ステレオ(stereo,stereophony)とは「立体音響」のことであり、左右や奥行の3次元空間を音で表現する手法である。
- 救急車のサイレンが右から左に流れていけば、移動方向を判断できる。つまり臨場感(その場にいるような体験=再現性)がある。
- 左右から出力される音の大きさや、わずかな音のずれなどから音像定位を判断している。
- 音のする方向だけでなく、距離感、つまりは音の奥行も判断している。
- 音の大小を正確に再現できなければ、正しい音像を判断できない。例えば低音や高音を正しく再現できなればならない。
- 電圧アンプでは低音や高音が不足する。つまり音像定位があやふやになる。
- 電力アンプでは低音や高音を正しく再現するので、音像定位がはっきりする。
- 音像定位は2つの耳を必要とする。
- もし音像定位が必要ないというのであれば、我々の耳も2つ必要ないということになり事実に矛盾する。
- よって音像定位は必要である。背理法による証明終わり。
- ステレオが登場した当初は音像を理解しておらず、左右別々の音を録音していた。単に2トラックとしか認識していなかった。
- ビートルズでモノラルからステレオに切り替わったときの音楽を比較してみるとよい。
- その後、音像定位により、臨場感を得られることがわかり、音楽作りに活かされるようになった。
- 現在の音源作りでは、トラックダウンの際に、(個別に録音された)それぞれの楽器の位置を決めて、疑似的に臨場感を出す工夫(演出)をしている。
- ※音源は人工的に作られるため、自然界の音とは少し異なる。
- ※最近はDAW(Digital Audio Workstation、いわるゆる「打ち込み」)を使って音源作りをするため、各楽器の位置決めが簡単に行える。
- ※DAWソフトを使えば、簡単に音楽を作れる。もともと電子楽器の音源としてMIDIが誕生した。その発展としてDAWが登場した。
- オーケストラの録音ではマイクの位置を工夫して、臨場感あふれる録音をする。
- ※音像定位ありきで、オーディオ・システムを補正する(いじる)のは偽りの手段である。
- ※答えありきで補正すると間違う。
- ※正しいことを積み重ねていけば、自ずと音像定位も正しくなる。
- ※なお、ステレオが正解とは限らない。最低限2つのスピーカーが必要なだけである。現時点における正解としかいえない。
- ※ではマルチチャネルが答えかといえば、それも絶対ではない。マルチチャネルは音のバランスをとることが難しくなる。
マルチウェイのスピーカー
- 2ウェイや3ウェイのスピーカーがあります。なぜでしょうか。
- その誕生背景を科学的に解説します。
- これを理解するためには、「スピーカーの特性」と「アンプの特性」の理解が必要です。
- 2ウェイは低音用のウーファー(woofer)と高音用のツィーター(tweeter)でユニット構成されます。
- 3ウェイは低音用のウーファーと中音用のスコーカー(squawker)、高音用のツィーター(tweeter)でユニット構成されます。
- ウェイ(way)とは「方法」という意味です。例えば高音と低音に分割して、それぞれ専用のユニットに任せる方法です。
- 当初、スピーカーは1つのユニットしかありませんでした。これをフルレンジ・スピーカーと呼びます。
- フルレンジ・スピーカーに対して2ウェイや3ウェイをマルチウェイ(multi-way)・スピーカーと呼びます。multiとは複数という意味です。
- ここまでは知っているでしょう。
- ではなぜマルチウェイが登場してきたのでしょうか?
- 科学的な理由を考えてみましょう。知るとその誕生理由がわかります。
- ※原理を理解するために大雑把に解説します。厳密ではありません。実際にはもう少し複雑です。
スピーカーに特性がある
- 1つのスピーカーで広い帯域の周波数を再現できるなら、マルチウェイなど必要ありません。
- ところが実際にはスピーカーに「特性」があります。得意な領域があります。
- 特性がなく、どの周波数も同じく再生できるなら理想ですが、現実にはそうもいきません。
- 音は空気の振動です。
- 「うちわ」を振ると空気が動きます。スピーカーも同じ原理です。振動板で空気を動かします(振動させます)。振動板が「うちわ」の代わりです。
- 手で「うちわ」を振っても高速に振動させることはできません。せいぜい1秒間に1、2回が限度でしょう。周波数にして1、2Hzです。だから音として聞こえません。
- もし「うちわ」を一秒間に100回振ることができれば100Hzの音を発生します。
- ここで「うちわ」の大きさについて考えます。スピーカーでいえば口径の大きさです。
- お祭りで使うような直径1mの大きい「うちわ」をゆっくり振ることはできるでしょう。しかし速く振ることは難しいでしょう。
- 逆に小さい「うちわ」であれば速く振ることができます。
- このように「うちわ」の大きさによって、得意不得意があります。原因は重さや空気抵抗などです。物理的な現象です。
- 大きな「口径」ほど空気の動きが大きいですが(音が大きい)、高音を発生しにくいです。
- 小さい「口径」ほど空気の動きが小さいですが(音が小さい)、高音を発生しやすいです。
- 口径の大きさによってこのような特性があります。
- ※口径の小さいスピーカーでもストローク(振動範囲)を大きくとれば低音を出力できます。ただし、口径が小さいので動かせる空気が小さいため、音が小さいです。
- ※口径が大きいほど音量が大きく一方で高音が苦手、口径が小さいほど高音が得意な一方で音量が小さい。
- 低音用のウーファー(woofer)は大きく、高音用のツィーター(tweeter)が小さいのはこうした理由です。
- 「帯に短し襷に長し」「あちらを立てればこちらが立たず」というわけで、音量と周波数帯域の両立(バランス)が大切になります。
- フルレンジ・スピーカーの口径が10cm前後であるのはこうした理由からです。
アンプの特性と電力
- さて現在、パワーアンプ(電力増幅器)の代わりにボルテージアンプ(電圧増幅器)が使われています。
- スピーカーの音は振動板の仕事量に比例します。仕事量は電力に比例します。だから科学的にスピーカーの駆動にパワーアンプを必要とします。
- ところが、ボルテージアンプ(電圧増幅器)で代用しているために、副作用が発生します。具体的には高音と低音が低下します。
- ただでさえスピーカーに特性があるのに、ボルテージアンプ(電圧増幅器)を使うと悪化させます。
- パワーアンプ(電力増幅器)を使えば、この副作用は発生しません。
- これから解説しますが、その前に大事な公式があります。
- (1)オームの法則:電圧V=電流I×抵抗R
- (2)電力の式:電力P=電圧V×電流I
- この2つの式から電力P=電圧V×電圧V÷抵抗Rを導きだします。
- 直流の時に抵抗Rを使いますが、交流の時はインピーダンスZを使います。
- ※ここでは話を簡単にするために、抵抗R=インピーダンスZとします。どちらも同じΩという単位です。
- さて、インピーダンスという言葉をどこかで聞いたことがあるでしょう。
- スピーカーの仕様に「公称インピーダンス」の項目があります。公称=nominalとは代表的な値という意味です。
- 代表的な値であって、周波数によって変動します。まずはフルレンジ・スピーカーをみてみましょう。
- 例えば、100Hzで32Ω、1kHzで8Ω、20kHzで20Ωと変動します。低音と高音でインピーダンスが上昇します。中間は緩やかに変動します。
- ボルテージアンプ(電圧増幅器)は入力が一定なら、出力電圧が一定です。つまりスピーカーにかかる電圧が一定です。
- 仮に電圧を2.83Vrmsとして、スピーカーにかかる電力を計算してみましょう。
- 100Hzでの電力P=2.83×2.83÷32=0.25W
- 1kHzでの電力P=2.83×2.83÷8=1W
- 20kHzでの電力P=2.83×2.83÷20=0.4W
- このように入力を固定しているにも関わらず、周波数によって電力が大きく変動します。これは音量が変動することを意味します。
- スピーカーに加えられる電力が変わるのですから、音量が変わります。
- これは困った話です。
- これがボルテージアンプ(電圧増幅器)の弊害、副作用であり、フルレンジ・スピーカーの周波数特性を狭くします。
- ※アンプとスピーカーに相性があると言われるのもこのためです。もともと科学的に間違った組み合わせをしているからです。
- そこで、再生周波数範囲が狭いなら、つなぎ合わせて広くすればよいのではと考えたわけです。
- 具体的には、周波数特性の異なる複数のスピーカーをつなぎ合わせればよいのではと考えたわけです。
- ※得意な部分を組み合わせようと考えたわけです。工夫としては正しいです。正しく実現できるかは別として。
- ※ボルテージアンプ(電圧増幅器)を前提にした場合の苦肉の策です。仕方なしの工夫でした。
- このとき周波数フィルタ(ネットワーク回路)でつなぎ目を合わせます。
- こうしてマルチウェイのスピーカーが誕生したのです。
- マルチウェイのスピーカーはある程度の効果はありますが、完全に副作用を取り除くことはできません。
- そもそも複数の特性の異なるスピーカー・ユニットを合わせこむのは至難の業です。周波数のつなぎ目は上手くつながりません。
- ※今のところスピーカーの周波数特性は粗いため、周波数のつなぎ目が目立ちにくいだけです。
- ※もともと凸凹があるところに新たに凸凹を追加しても目立ちにくいです。
- 匠の技で組み合わせたマルチウェイ・スピーカーは素晴らしいですが、実はあまり見かけません。
- 見た目だけマルチウェイ・スピーカーが多いです。
2ウェイの例です。
- まずはウーファーとツィーターの大雑把な周波数特性をみてみましょう。
- ウーファーの再生周波数帯域は130Hzから10kHzです。
- ツィーターの再生周波数帯域は1kHzから20kHzです。
- 1kHzから10kHzまで重なっています。この範囲でクロスオーバー周波数を決めます。
- クロスオーバー周波数を3kHzとします。スピーカーをフィルターで切り替える周波数です。
- ※このときインピーダンス変動もみており、影響の少ない周波数を選択します。
- ※インピーダンス変動の大きい部分は位相変動も大きく、クロスオーバー部分でウーファーとツィーターの位相がずれて正しい特性になりません。
- 一般的にウーファーの音量が大きく、ツィーターの音量が小さいです。一般的に異なります。同じことが稀です。特性が異なるのですから当たり前です。
- ※ツィーターの音量を大きくするために、強力な磁石を開発してきました。
- 大雑把に音量を平坦にしていますが、実際にはそれぞれ凸凹があります。
- 次にネットワーク回路としてのフィルター特性(LCフィルター、12dB/oct=40dB/dec)をみてみましょう。
- ウーファー側にローパス・フィルタ―(低域通過)を、ツィーター側にハイパス・フィルター(高域通過)を使います。
- この切替周波数がクロスオーバー周波数です。
- 3kHz以下ならウーファーで鳴らし、3kHz以上ならツィーターを鳴らします。
- ただしフィルタの特性上すっぱりと切ることはできません。少しずつ重なります(クロスします)。
- 周波数の切替にのりしろがあり、徐々に切り替わります。
- LCフィルタの減衰量は-12dB/oct=-40dB/decです。簡単に言えば周波数が10倍で40dB減衰します。
- のりしろが広かったり、狭かったりすると、つなぎ目が凸凹になります。
- 2ウェイの周波数特性は「ローパス・フィルタ―の特性×ウーファーの特性+ハイパス・フィルターの特性×ツィーターの特性」になります。
- ※一般的にインダクターLやコンデンサーCの誤差は10%くらいです。よってクロスオーバー周波数も同様の誤差があります。
- ※アンプの精度で1%を追及したり、DACの精度で0.1%を追及したりするのがバカバカしくなります。
- ※スピーカーの精度が他に比べて突出して悪いために、すべてを台無しにします。
- ※「頭隠して尻隠さず」一部だけ隠して全部を隠したつもりでいること。
- ※スピーカーはまだ粗い部分が多く、もっと改善しなければなりません。周波数特性のグラフが10dBの目盛りなんて粗すぎます。
- ※早く1dB単位に追い込めることを期待しています。
- ※スピーカーを間違った電圧駆動ではなく正しく電力駆動することも改善につながります。
- こうして並列合成したときのインピーダンス特性をみてみましょう。
- ※これでも2ウェイとしては良い例です。クロスオーバー周波数を絶妙の3kHzにしているからです。
- 高域のインピーダンス変動をある程度抑え込めていますが、低域の変動を抑え込めていません。補正しきれません。
- 確かに2ウェイにすることで再生周波数範囲の拡大に成功しています。
- マルチウェイの副作用としてクロスオーバー周波数のつなぎ目はどうしても残ります。
- 特性の異なるスピーカー・ユニットを合わせるは現実的に難しいです。
- ※科学的にアンプとスピーカーの組み合わせ間違いから、マルチウェイにしたのですが、更に副作用が発生します。
- ※このように前提を間違うとどんどん間違った道にハマります。泥沼にはまります。
- ※一度ズルをすると、辻褄を合わせるために、さらにズルをしなければならなくなります。
- ※一度嘘をつくと、それを繕うために、さらに嘘を重ねることになります。
マルチウェイのデメリット
- 音のつなぎ目で音量の凸凹ができます。これは避けられません。ネットワーク回路の精度は10%くらいの誤差があります。
- さらに音のつなぎ目で位相が異なり、音が濁ります。
- 例えば、音のつなぎ目でウーハーの位相が20度、ツィーターの位相が10度なら、空間中で混ざり合います。
- 混ざってから出力されるのではなく、空間中で混ざります(干渉)。
- 元の音色から離れてしまいます。
- 各スピーカーの位置が離れている(奥行、上下左右)ため、音が干渉します。フルレンジのように同じコーンから出力しないからです。
- マルチウェイにはメリットだけでなくデメリットもあります。良いことだけではありません。
ではどうすればよいのでしょう
- 本来のあるべき姿(科学的に正しい組み合わせ)にすればよいだけです。当たり前といえば当たり前で、まともな答えです。
- ※単純な答えをわざわざ複雑にする必要はありません。簡単な答えを難しい答えにする必要はありません。
- それはパワーアンプ(電力増幅器)を使えばよいだけです。
- パワーアンプを使えば、マルチウェイのスピーカーにする必要もありません。
- ※誤解のないように付け加えるなら(正しく作られた)マルチウェイであってもかまいません。パワーアンプを使えば、フルレンジやマルチウェイを問いません。
- ※もちろん正しく作られていないマルチウェイではだめですよ。
- スピーカーを科学的に間違って駆動したので、スピーカーを補正しなければならなくなったのです。
- スピーカーを科学的に正しく駆動すれば、スピーカーを補正する必要はありません。
- 科学的な理由をしると、なぜそうしたのかわかります。
- ※現在、パワーアンプ(電力増幅器)と称してボルテージアンプ(電圧増幅器)が販売されています。これが話をややこしくしてしまいました。
- ※賢いメーカーはアンプ(増幅器)と表記しています。どうしてかはわかりますよね。
10dBの目盛り
- 一般的にスピーカーの再生周波数特性で使われる目盛りは10dBです。
- 変動が10dBの間に収まったからフラットといいますが、それってどういう意味でしょうか。
- 筆者に言わせれば、それはデコボコです。とてもフラットな特性とは言えません。
- 10dBを電力換算してみましょう。電力変動に置き換えてみましょう。
- 10dBとは例えば、0dB=1Wとするなら、-10dB=0.1Wです。10dB=10Wです。
- つまり10倍も電力が違います。10倍の電力範囲に収まったというだけです。
- 10倍も電力を可変しないと、本当のフラットになりません。
- アンプの出力が10倍も違うのに誤差の範囲とみなすことはできません。
- とても許容範囲とはいえません。
- 10dBの違いは聞き分けることができます。一般的に3dB(=2倍)の違いから聞き分けられます。
- アンプの誤差が0.1%にも関わらず、スピーカーの誤差が10倍(=1000%の誤差)を許せるとしたら、どうかしています。
- はやく1dBの誤差に収まることを期待しています。少なくとも聞き分けられなくなるまで抑え込まねばなりません。
- 10dBの目盛りが何を意味するのか、理解できたでしょう。
- さらにインピーダンス変動による電圧増幅器の出力電力変動は6dBにもなります。
- 電力増幅器を使えば、これを抑え込めます。どれほど効果的かわかるでしょう。
2.83V
- 最近、スピーカーの仕様を見ていると「感度」あるいは「音圧レベル」の測定条件に2.83Vが出てきます。
- この中途半端な2.83Vとは何でしょうか?不思議に思った方も多いでしょう。
- キリのいい1Vではだめなのでしょうか?
- ※正確には実効値を示すVrmsが正しい単位です。省略しています。
- 仕様上の表記としては正しいですが、ユーザは誤解しないように注意しなければなりません。
- 実はこれもスピーカーの特性を測定するとき、電力を基準(1W)にしているからです。
- スピーカーの公称インピーダンスは一般的に8Ωでした。
- 電力は電圧×電圧÷インピーダンスで求められます。この式の導出方法は「マルチウェイのスピーカー」の項目をご覧ください。
- 計算してみましょう。2.83×2.83÷8=1W
- 見えてきましたね。電力を基準にしているから、2.83Vなのです。
- さて、ではなぜ1Wとは書かず、2.83Vが多くなったのでしょうか。
- それは、「感度」あるいは「音圧レベル」の値を大きく見せるためです。
- 大きい方がいいように思っていませんか?昔のアンプの出力電力と同じです。数値だけが一人歩きしています。
- カラクリがあります。
- アンプの性能向上に伴い、スピーカーの公称インピーダンスを低く(6Ω)しても大丈夫になりました。
- 公称インピーダンスを低くすると、同じ電圧でも電力は2.83×2.83÷6=1.335Wとなり、大きな音を出力します。
- つまり、「感度」あるいは「音圧レベル」の値が大きくなります。
- 測定条件が同じように見えますが、実は異なるのです。電力が大きければ音も大きくなります。当たり前です。
- 1Wに換算してスピーカーを比較しなければ意味がありません。
- このように条件をしっかりと見極めないとユーザは誤解します。
- 勝手に誤解したのはユーザ側の責任でしょと言われます。
実効値
- 電気に詳しい方にとっては当たり前ですが、一般の方にとっては何のことやらわからないでしょう。
- 電気には大きくわけて直流と交流があります。
- 直流=DC:Direct Current
- 交流=AC:Alternate Current
- Currentとは電流です。directとは「まっすぐな」という意味です。alternateとは「交互に」という意味です。
- 直流とはまっすぐな電流波形です。代表例は乾電池です。
- 交流とは交互に入れ替わる電流波形です。代表例は商用電源です。
- 乾電池の電圧は1.5Vで、電気がプラス端子からマイナス端子に流れます。
- 商用電源の電圧は100Vrmsで、2つの端子で定期的にプラスとマイナスが入れ替わります。
- この違いは発電方法と送電方法に由来するのですが、それは別の機会にします。昔、直流対交流の戦いがありました。
- ※RMS:Root Mean Square、数学的には二乗平均平方根を意味し、電気の世界では「実効値」を意味します。
- ※「実効」とは実際の効力を意味し、「実質的に相当」するという意味です。
- 音は波であり、マイクで電気に変換すると交流です。オーディオでは交流を扱わなければなりません。
- さて、電気には様々な法則があります。例えばオームの法則があります。
- 直流においてオームの法則は成り立つが、交流において成り立たないとなると、ややこしいことになります。
- そこで直流に相当する交流を「実効値」として定めることで、同じく扱えるようにしました。
- 例えば、交流の実効値100Vrmsは直流の100Vに相当し、どちらもオームの法則を適用できます。
- 交流の実効値100Vrmsの例としては最大最小値±141Vの正弦波です。波形が変わると実効値も変わります。
- ※複雑な交流波形の実効値は積分して求めます。
- このようにして交流においても実効値を利用すれば、直流と同じに扱えます。
- 直流も交流も分け隔てなく扱えます。
- わかりきっているため(暗黙の了解として)、交流でもVと表記しrmsを省略します。
- たかが2.83Vであっても、なぜそうなのかは実効値やオームの法則を理解していなければなりません。
スピーカーとアンプの組み合わせ条件(公称インピーダンス表示の意味)
- スピーカーとアンプの組み合わせ条件から公称インピーダンスの意味を考えてみましょう。
- なぜ公称インピーダンスを仕様として公表しているのでしょうか。
- いくつかの理由があります。
- その前に、スピーカーの公称インピーダンス(定格インピーダンスとも呼ぶ)の定義をみてみましょう。
- スピーカーのインピーダンスは周波数によって変動します。
- 通常、最低値を公称インピーダンスとメーカーが定めます。
- なぜ最低値なのかは理由があります。
- 正確には、最低値の80%を下回らない範囲で、メーカーが定めることができます。
- 例えば最低値が10Ωなら、10Ωから8Ω(=10Ωの80%)の範囲で決めることができます。
- 「定格」とは正常な使用方法でメーカーが指定する値(保証する値)です。
- つまり正常な使用方法をしている限りにおいて、インピーダンスは公称インピーダンスを下回ることがありませんよと表示しています。
- ※製造時に発生する誤差を考えてメーカーは「定格」を定めます。
- ※当然、異常な使用方法をしているなら、公称インピーダンスは保証されません。
- ひとつ目の理由がアンプの駆動能力を確認するためです。
- 一般的にアンプは駆動能力の関係で、重い負荷(低いインピーダンス)を苦手にしています。
- インピーダンスが低いとアンプは大きな電流を流さなければなりません。しかし、アンプにも電流限界があります。
- どこまでも大きな電流を出力できません。
- そこで、どこまでの負荷なら大丈夫ですよという目安として、適合インピーダンスを表示しています。
- 「アンプの適合インピーダンス」<=「スピーカーの公称インピーダンス」・・・駆動条件
- スピーカーの公称インピーダンスは最低値ですから、スピーカーとしてこれを下回らないことが保証されています。
- だから、この不等式が成り立ちます。
- この不等式が成り立つ条件のスピーカーとアンプの組み合わせを選択すればよいのです。
- これを誤ると、アンプの駆動能力不足で正しい音はでません。
- 二つ目の理由は電力条件を確認するためです。
- 一般的にアンプは最大出力電力、スピーカーは最大許容電力を表示しています。
- 「アンプの最大出力電力」<=「スピーカーの最大許容電力」・・・電力条件
- これを誤ると、スピーカーを壊します。ボイスコイルを焼き切ったりします。まあ当然の話です。
- スピーカーの最大許容電力を超えたら、異常な使用方法です。
- もちろん、アンプのボリュームを絞って、スピーカーの最大許容電力を超えないようにユーザが保証するなら、この不等式を無視することができます。
- ただし、ユーザの責任において守らなければなりません。不注意で壊す可能性があります。
- だから、一般的にこの不等式の条件を満足しなければなりません。
- さて、アンプとスピーカーが1対1の組み合わせなら、上記の話で済みます。
- ところが、アンプとスピーカーが1対2の組み合わせになると、そうもいきません。(ステレオではなく、片チャンネルに2つのスピーカーを接続)
- 例えば、映画館など大音量を必要とする場合、複数のスピーカーを組み合わせます。
- このとき、スピーカーの接続方法(直列接続、並列接続)によって、合成インピーダンスが変わり、最大許容電力の考え方も変わります。
- 公称インピーダンスが不明なら、適切な組み合わせ(安全な組み合わせ)であるか判断できません。
- 接続方法に応じて、駆動条件を満足しているか、電力条件を満足しているか計算しなければなりません。
- そのために公称インピーダンスの値が必要です。
- ※一般的にアンプの最大出力電力はある条件(例えばひずみ率10%以内)の下に、規定しています。
- ※そのため、条件を無視すれば(条件を悪化させれば)、最大出力電力以上の可能性もあります。
- ※実際には、出力電圧がクリップ(頭打ち)するため(つまりこれがひずみの原因)、大きく超えることはありません。
- このように、公称インピーダンスが最低値を保証していることに意味があります。
リスニング・ポジション
- 音は波であり広がる性質があります。池に落とした石の波紋は広がっていきます。
- しかも周波数によって広がり具合が異なります。低い周波数ほど広がり、高い周波数ほどあまり広がりません。
- 周波数が高くなると、直進性が強くなります。逆に周波数が低いと音が広がることからどこから音がしているかわからなくなります。
- スピーカーの周波数特性を見ると、正面からの角度(0度、30度、60度)に応じて高音域が激減するのはこのためです。
- 低音を増強する専用ウーハーは1つしかなくても良い理由は音の方向性にあまり影響しないからです。
- さらに音の方向を再現するためにステレオを導入しました。
- 左右2つのスピーカーで音を出力します。
- ここで、音の広がりとリスニング・ポジションに密接な関係を生じます。理論的な話のため、無限大に広い部屋を仮定します(反響を無視)。
- 音の広がりを再現するために左右2つのスピーカーを離して配置せざるをえません。
- もし左右2つのスピーカーを一カ所に配置したら、左右の音を表現できません。モノラルになります。
- 物理的に左右のスピーカーと人は三角形の配置にならざるをえません。
- ※2つのスピーカーを部屋に対して正面に向けることを前提にすれば
- 物理的に人は2つのスピーカーの正面に同時に立つことができません。
- スピーカーの高音は正面からの角度に影響されるため、人に聞こえる高音の音量は左右のスピーカーを離すほど小さくなります。
- つまり高音不足を生じます。
- ※これを防止するためには、スピーカーを人に対して正面に向ける必要があります。極端な例としては人の真横にスピーカーを配置します。
- ※イヤホンやヘッドホンはまさに真横です。
- ※あるいは高音不足になることを想定して、スピーカーの高音周波数特性をあらかじめ高くなるように補正しなければなりません。
- 左右のスピーカーの音は別々ではなく、空間で重ね合わさって人の耳に届くため、この合成される影響も考慮しなければなりません。
- 何が正しい(理想的な)リスニング・ポジションかは非常に悩ましく、永遠の課題です。
- ※2つのスピーカーでさえ理想(正解)を見いだせないのに、マルチチャネルならなおさら理想を見出せません。
エージング
- 人為的なエージング(aging,老化)とはいわゆる「慣らし運転」を意味します。
- エージングを否定はしませんが、そもそもエージングを必要するオーディオ機器は品質的に問題があります。
- ※冷蔵庫、洗濯機、掃除機に慣らし運転はありません。
- モノは必ず経年劣化します。製造した瞬間から劣化が始まります。劣化する一方です。新品に戻ることはありません。時間は戻りません。
- これは自然の摂理です。壊れないモノはありません。
- ですから、モノは何もしなくても自然にエージング(経年劣化,老化)が始まります。
- ※ちょっと話がそれます。昔の人も経年劣化を知っており、さまざまな工夫をしてきました。
- ※日光東照宮の陽明門に一部未完成の逆柱があります。建物は完成と同時に崩壊が始まるため、わざと未完成にしています。永遠に作り続けます。
- ※伊勢神社は20年に一度、社殿を建て替える「式年遷宮(しきねんせんぐう)」を行います。永遠に繰り返すことで老朽化を防止する工夫です。
- ※さらに宮大工の技術を継承する狙いもあります。20年サイクルであれば使われる木材も維持できます。40年物あるいは60年物の木が成長します。
- 強制的なエージング(慣らし運転)で「はじめの急激な劣化期間を免れ」、劣化速度が一定に落ち着くようなら、品質的に問題です。
- はじめから劣化速度が一定になるような品質にすべきです。不安定な期間を作るべきではありません。
- 特に電子機器であって可動部分がないなら、なおさら問題です。
- 内燃機関のように機械的な可動部分がある場合は、ある程度のエージングは仕方がないでしょう。適度な摩耗(角が取れる)により安定するでしょう。
- つまり人為的な(意図的な)エージングとは初期の不安定を取り除き、安定を得るための行為です。
- ※現在の自動車は高度な電子制御により、はじめから安定するように制御します。慣らし運転をあまり必要としません。
- 可動部分がないのにエージングが必要なら、必要のないように改善すべきです。
- ※スピーカーに可動部分がありますが、アンプに可動部分はありません。
- ※物理的に動く可動部分があるなら、まだエージングの必要性はわかります。
- ※物理的に動くことで、伸縮したり、こすれたりするため、慣らし運転が必要かもしれません。
- ※スピーカーの慣らし運転は理解できますが、アンプの慣らし運転は理解できません。
- ※ましてケーブルの慣らし運転は無意味です。
- 昔の部品は品質が悪く、すぐに寿命を迎えてしまうことがありました。
- エージングしようものなら、寿命を短くします。
- 例えば真空管を長期間エージングしようものなら、寿命を迎えます。白熱電球を1000時間もエージングしたら寿命を迎えます。
- このように可動部分がないにも関わらず、エージングしなければならないなら、品質的に問題があります。
- 可動部分があるならわかります。
- スピーカーはエッジにゴムやウレタンを使用しているため、経年劣化します。
- ゴムは空気中の酸素と反応してボロボロになります。
- ウレタンは加水分解してベトベトになります。
- 結論として、何もしなくても経年劣化は免れません。時間とともにエージングは進みます。
- 可動部分のない機器を意図的にエージング(慣らし運転)するというのはナンセンス(無駄、不毛、無意味)です。
- もし人為的なエージングを必要とするなら品質的に問題です。
- ※誤解のないように付け加えるなら、真空管のフィラメントが温まるまで待つ必要はあります。これは慣らし運転ではありません。暖機運転です。
電源を切って配線する
- これは鉄則です。
- オーディオ・システムを配線する場合、必ずすべての電源を切ります。理由を知っておくとよいでしょう。
- オーディオ・システムはただでさえノイズの影響を受けやすいです。
- 電源を入れたまま、配線を接続したり、抜いたりする行為はノイズを発生させます。
- アンプに過大な(想定外の)ノイズが入ると、増幅して回路を破壊したり、スピーカーにダメージを与えます。
- 瞬間的なノイズであっても、壊します。あっと思った時には時すでに遅しです。
- もっとも厄介なのが、中途半端な故障です。
- スピーカーから音が出ないなどの完全な故障なら、すぐに気づきますが、中途半端な故障は気が付きにくく、なんかちょっと変になり本来の性能を発揮できません。
- 中途半端な故障ですから、原因の特定も困難です。未練が残るのでますます厄介です。捨てるに捨てられません。完全なる故障ならあきらめがつきます。
- スピーカーのボイスコイルが半分焼けるなど、外見からは判断できません。
- こうした被害を防止するために電源を切りましょう。少しの手間を惜しむと壊します。
- 電源を入れる際はボリュームを絞っておくなど、できるだけリスク回避します。
古い機器の管理
- 真空管アンプなどビンテージ物で楽しむ方もいるでしょう。
- 音の追及とは別に機器そのものや、あえて時代(古い音)を再現すべく、古い機器を利用するのもよいでしょう。
- 古い音を知ることは比較して新しい音を知ることでもあります。
- ※温故知新という言葉があります。なぜ現在に行きついたのか、その歴史を知ることに意味があります。
- ※私自身、真空管アンプも好きです。扱いやすさや精度という面では劣っていますが、電力伝達という点では現代のアンプより優れています。
- モノは必ず経年劣化します。これはモノの宿命です。いつかは必ず壊れます。壊れないモノはありません。
- 昔は部品の品質も悪く、経年劣化が激しいことがあります。
- 真空管は電球のようなものですから寿命があります。
- 古い、抵抗器、オイルコンデンサ、セレン整流器は、劣化が激しいことがあります。
- 焦げたり、オイル漏れしていないか点検が必要です。
- 修理や交換など適切な管理が必要です。
- 内部の掃除も重要です。ホコリまみれになっていると湿気を吸ってショートすることもあります。
- 機械式ボリュームは経年劣化でガリ(抵抗部の接触不良)を発生します。接点復活材で回復することもあります。
- 半導体アンプも劣化は免れません。
- 古いアンプの電解コンデンサは特に要注意です。
- 液漏れして基板の侵食をよく見ます。基板のパターンやハンダ部分を巻き添えにし、二次被害を引き起こします。
- 長期間の使用で電解コンデンサは次第に容量抜けし、機能を果たさなくなります。
- あまりにも古い電解コンデンサは予防も含めてすべて交換するとよいでしょう。
金メッキ
- オーディオ端子に金メッキが使われることがあります。なぜでしょう。
- 無酸素銅ケーブルでも触れましたが、導体の銅は空気中の酸素と結びついて酸化銅に変化します。いわゆる銅が錆びます。
- 錆が発生すると接触抵抗が大きくなり、接触不良を起こしたり、オーディオの性能が劣化します。これは困った話です。
- 銀を使えば電気抵抗を減らし、錆も発生しにくいので最適ですが、コストが見合いません。
- ※実は銀も長期間では錆びます。黒みがかった銀のスプーンを見たことがあるかもしれません。とはいえ銅に比べたら圧倒的に錆びにくいです。
- そこで銅に金メッキを施すことを考えました。金も銀同様に錆びにくいです。
- 薄いメッキにすることで、コストダウンもします。金も高いですからね。
- これで錆びることもなく、安心と思ってはいけません。
- 確かに、裸の銅よりは錆びにくくなりました。
- ところが金メッキの端子でも錆は発生します。年単位でみると錆を防げません。
- メッキとは非常に薄い膜であり、原子のレベルでみると、実は小さな穴(ピンホール)があいています。
- この小さな穴から空気が侵入し、下の銅を酸化させ、表面のメッキを浮かせて剥がれ落ちます。
- 金メッキもクロームメッキも長い時間では錆びに勝てません。
- メッキはいつか剥がれ落ちます。
- メッキではなく、純銀や純金の端子でない限り、錆はなくなりません。
- ※銀や金の純度が高ければよいわけでもありません。
- ※24K(ほぼ純度100%)は金属として柔らかすぎるため、傷がつきやすいです。
- ※18K(純度75%)くらいが傷つきにくく、変形しにくいため宝石によく用いられます。
- ※24Kで作ったオーディオ端子は変形しやすいため、端子がゆるゆるになります。
- 金メッキ端子であっても過信してはいけないというお話でした。
接触抵抗
- オーディオでは機器を接続するために、たくさんの端子があります。
- 電源端子、RCA端子、スピーカーケーブル、ヘッドホン端子など。
- 金属が接触するとは原子のレベルでみると、でこぼこにつながっている状態です。
- がっちりと原子同士で結合しているわけではないので、どうしても接触抵抗が発生します。
- ※はんだ付けは金属を合金状態として一体化させ接合する手段です。このため接触抵抗は低いです。
- ※物理的な力をかけてはんだを破損させたり、電解コンデンサの液漏れによる腐食でもなければはんだ付けは強力です。
- ※はんだ表面は酸化しても内部まで酸化することはありません。
- 接触抵抗は一般的に0.1オーム以下です。普段はほとんど問題になりません。
- ところが経年劣化とともに問題を発生する場合があります。
- 端子が錆びることで接触抵抗が増えます。
- ニッケル水素電池の充電の際にも問題になります。
- 端子表面が酸化して接触抵抗が増えると、充電器からみるとすぐに充電満了電圧に達するため、正しい充電ができません。
- 電池の端子を磨くことで接触抵抗を減らす必要があります。
- ※昔のテレビは映りが悪くなると叩いて接触不良を直していたものです。
- ※昔は部品点数が多く、接触不良を起こす箇所が多くありました。
- ※今のテレビはモジュール化され部品点数が少ないために叩いても直りません。
- 同様のことがオーディオ端子でも起こります。
- 新品の際には問題がなくても時間経過とともに接触抵抗が増えます。
- 接触抵抗によってダンピングファクターも悪化します。
- 完全に接触しなくなれば、断線ですから問題に気付きますが、中途半端に接触していると気付きにくいです。
- 接触不良の観点からすれば端子をはんだ付けするのが理想ですが、利便性を犠牲にします。
- このため、オーディオ機器のメンテナンス(手入れ)が重要になります。
- 端子を定期的に磨くことで錆を取り除いたり、防止します。
- 機器内部にホコリがたまり、湿度が上昇すると予期せぬ電気的な接続が発生します。
- 日頃の手入れが大切です。
むちゃくちゃな「評論家はいらない、実践あるのみ」
- 評論家を批判する評論家がいます。
- そして「評論家はいらない、実践あるのみ」と偉そうに「評論家である自分」が言います。自分は批評、批判をしています。
- この自己矛盾、気が付きましたか。
- そう、「自分=評論家」なので、自分で自分はいらないと言っているのです。
- 代数のように「評論家」を「自分」に置き換えるとわかります。
- ブーメランです。
- 相手をやり込めたつもりが、自分がやり込められています。自爆です。
- ※だから私はこの言葉を使いません。
- さらに不思議なことに、こうした評論家は自分自身で何も生みだしません。自分でやらず他人にやらせます。自分で解決しません。
- 自分では何もできないくせに、他人の作ったモノを集めて実践します。
- それって「人の褌(ふんどし)で相撲を取る」だけですよね。
- ※人の褌(ふんどし)で相撲を取る:他人のモノを利用して自分の利益を得ること。
- 例えば、(他人の作った)メーカーのオーディオ機器を買ってきますよね。自分で作らずに。
- 結局、何も自分では創造しません。すべて他人の創造したものです。
- 他人の創造物を集めて、あたかも自分が創造したかのように実践あるのみと言います。
- それってあなたの功績ですか。他人の功績ですよね。
- 他人の功績の横取りですよね。それを自慢されてもね。
- ※原則論として、他人を批判する前に、まず自分でやりましょう。自分でやりもしないで、他人を批判してはいけません。
- そして自分でできないときは、他人に対して妬みではなく敬意を払いましょう。
- 誰しも自分にできることとできないことがあります。自分にできないことは他人にお願いするしかありません。
- 例えば、みなさん脳外科手術をできますか。
- 自分でできもしないのに、無茶苦茶な批評、批判はいけません。「じゃあ自分でやってみろ」と言われます。まずはやってみせてからです。
- こうした最低限の認識を持つことは基本中の基本です。
- ※「言うが易し行うが難し」、「之これを言うは易くして、之を行うは難ければなり(塩鉄論)」
- 自分にはできない他人の功績に対し、尊重し、敬意を払いましょう。
- ご年配になるほど、地位が高くなるほど、傍若無人になりがちです。
- 謙虚でありましょう。「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」
- ※傍若無人(ぼうじゃくぶじん):思いあがって自分勝手にふるまうこと。
- 私は音に対する不平不満から、電力アンプを生み出しました。自分でやりました。やってみせました。
- 不平不満をぶちまけるのではなく、ではどうすればよいのかを科学的に考え、解決策として電力アンプを生み出しました。
- そう、単に文句を言って(問題提起して)終わりではなく、解決策も提示しました。
- 解決策を提示できなかったら、何も言わないし、何も書かなかったでしょう。実際、解決できるまで何十年も、書きませんでした。
- 世の中、問題提起するばかりの人多いですよね。解決策を他人任せにして。
- 批評、批判は大いに結構ですが、むちゃくちゃはいけません。
- 自己矛盾することを言ったり、根拠のない批評、批判はいけません。それはもはや「批評、批判」ではなく自己中心的な「わがまま」や「いじめ」です。
- ネット上で「憂さ晴らし」してはいけません。
- ※インターネットの発達に伴い、誰もが情報発信できるようになりました。しかし情報リテラシーが低いです。
- ※世の中には「騒ぐこと」「反対すること」「文句をいうこと」「批判すること」を目的にしている人が一定数います。ですから中身がありません。
- ※要は「構ってもらいたい」「自己の存在を認めてもらいたい(承認要求)」「ストレス発散」「自己満足」だけです。そんなことでしか主張できません。
- ※こうした方とは関わりません。どうでもいいので放置、無視します。関わったところで時間の無駄です。
- 「人の振り見て我が振り直せ」身に沁みます。
オーディオ機器に自分勝手な解釈、判断は許されない
- 人は都合のよい生き物です。
- 自分勝手な解釈を好みます。
- 例えば、自分に都合のよい、記事ばかりを読み、都合の悪い記事を読みません。
- 自分に都合のよい情報(批評批判)を集めて納得しようとします。自分に都合の悪い情報は見なかった、なかったことにします。
- 法律を自分勝手に解釈したり、オーディオ機器の仕様を自分勝手に解釈します。
- メーカーはそこに付け込み、誤解の誘導を仕掛けるときがあります。
- ※無意味なワット競争がいい例です。
- それがバレたとき、勝手に誤解したのはユーザ側の責任でしょと言います。
- 残念ながら、客観的な事実(科学や数学)は自分勝手な解釈を許しません。
- 特に電気の世界は自分の都合ではなく、科学的な理由に従います。
- 嫌だといっても、科学的な理由に従います。
- 電気的な問題が発生したとき、電気が間違っているか、自分が間違っているかと問われれば、自分の考えが間違っています。
- 電気は正直で、嘘をつきません。例外はありません。
- 電気回路が動かないとき、「ごめんなさい、間違っていたのは私です」と心の中でつぶやきます。
- そして自己否定して、自分の間違いを見つけ、正します。
- そうしなければ、電気回路は動いてくれません。
- 自分勝手な解釈をした途端に、電気回路から嫌われます。
- 電気と戯(たわむ)れていると、常に自己否定の連続です。
- 都合がよかろうが悪かろうが、関係ありません。
- 電気を扱っていると、自分勝手な解釈は許されません。それどころか電気にお前が間違っていると指摘されます。
- ※みなさん、あなたが間違っていると指摘されたことありますか。しかも言い訳を許されません。謙虚に従えますか、耐えられますか。
- ※私は、電気に向かい合うとき、謙虚さ、自己否定を常に強いられます。
- 人には感情があり、必ずしも合理的な判断をしません。
- ダメと言われるとやりたくなるのが心情です。天邪鬼(あまのじゃく)です。
- 人間ですから、それはそれでよいでしょう。これを理解した上の話です。
- ところが、感情のない電気や科学には通用しません。
- 自分に都合の良い解釈が通用しません。
- オーディオ機器もです。オーディオに感情はないので通用しません。
- 自分勝手な解釈をしてはいけないのではなく、そもそも許されません。
- これも基本中の基本です。
- こうした精神的に過酷な世界で設計しています。
- オーディオ機器に自分勝手な解釈、判断は許されないことを前提に付き合う必要があります。
がなり立てない
- マニアの中には、がなり立ててくる方がおります。
- 冷静に議論するならよいのですが、感情的になっており議論どころではありません。そもそも議論が成立しません。
- 人は事実を突きつけられ、今まで自分の信じていたことが誤りとわかり、認めざるをえないとき、大きく2つの方向に分かれます。
- 一つ目は素直に事実を受け入れ、自分の誤りを正し、正しい方向に進む方です。
- 二つ目は自分のプライドが傷つけられたと誤解し、感情的になり、怒鳴り散らします。個人攻撃を始めます。
- 科学的な事実にプライドはありません。完全に勘違いしています。
- 人は本当の事実を突きつけられたとき、自分の考えと異なると動揺します。それが感情として現れます。
- そして個人攻撃を始めますが、それも攻撃対象を誤っています。あなたが攻撃している本当の相手は「科学的な事実」です。
- 科学的な事実を間違いだと攻撃しているのです。であるなら、その科学を間違いと証明する必要があります。
- ※例えば、パワーアンプは電力増幅器です。電圧増幅器ではありません。これは科学的な事実です。
- 個人を攻撃しても科学的な事実は曲がりません。ガリレオを裁判にかけても、科学的な事実は曲がりません。
- 私にその科学的な事実は間違っているから訂正しろといわれても困ります。私が科学的な事実を決めているわけではありません。
- 信じる信じないは個人の自由ですが、科学的な事実には逆らえません。
- 科学に感情はありません。だから信じようと信じまいと関係がありません。
- 単に科学的な事実があるだけです。
- 科学に逆らってもかまいませんが、科学に自分の誤りを指摘されるだけです。自分の思い通りになりません。
- 私も科学に何度も反抗したことがありますが、その度に間違っているのはお前だと指摘され、素直に従わざるをえませんでした。
- 科学的な事実に対して腹を立てても、何も解決しません。
- 科学的な事実に感情論は通用しません。
- オーディオ機器にも感情論は通用しません。
- 「いやがらせ」は受け付けません。
- ※こうした問い合わせを受けても、お答えすることはありません。
- ※答えないからといって、認めているわけではありません。都合が悪いから答えないのではありません。自分勝手な解釈ですね。
- ※根拠がないから答えられないのではなく、根拠があっても答えるつもりはありません。
- ※単に時間の無駄だからです。不毛だからです。不毛な議論はしません。
- 子供の「いじめ」どころか、大人の「いじめ」さえなくならないですね。
- ※理不尽なパワハラやあおり運転、なくならないですね。
- ※私はわざわざ他人の掲示板に出向いて文句を言いません。そんな面倒で不毛なことしません。どうかしているとしか思えません。
- ※わざわざ出向いて喧嘩を売ってどういうつもりでしょう。
- ※わざわざ出向いて気に入らないから文句を言うなら、出向かなければよいだけです。
- ※読まなければよいだけです。放置しておけばよいだけです。それだけのことです。
- ※読むことを強制していません。あなたの自由意志によって読んでいるだけです。あなたには読まない選択肢があります。
- ※これに対しても横柄な態度だと、またバッシングを始めます。なんでもかんでも叩きます。
- ※発言できる武器を持ってしまったがために、正義感を振りかざしたくなるのでしょう。何か言いたくなるのでしょう。
- ※害がないならわざわざハチの巣を突っつく必要はありません。放置あるのみです。触らぬ神に祟りなし。
- ※わざわざクマのいる山に入り、クマを威嚇して楽しいですか。どうかしているとしか思えません。
- ※たまに炎上騒ぎをみかけると悲惨です。心が粉々に砕け、うつ病(あるいはPTSD)に追い込むような言葉が並びます。
- ※みな良かれと思って「正義感を振りかざし」文句を言います。ほとんどが感情的な発言です。論理的ではありません。
- ※しかも自分に直接的な被害がないにも関わらず。無関係なら(部外者なら、他人なら)そこまで言える立場にあるのか考えましょう。
- ※※他人なら黙っていろと言っているのではありません。
- ※※論理的な(冷静な)話ならよいでしょう。しかし感情的な悪口や傷つける話(嘘、虚偽、謝罪要求、意地悪、罵倒、罵声)はいけません。
- ※正義感を武器に、これは誹謗中傷じゃない、助言だと正当化します。客観的にみるとそれが「いじめ」です。
- ※なぜ集団リンチのようなことをするのでしょう。よってたかって「いじめ」ていることに気付いていません。
- ※顔を出せとか、謝罪しろとか、わかっていないとか集団心理(同調圧力)は恐ろしいものです。
- ※自分が逆の立場になり、突然見ず知らずの他人から悪口を言われたらどう思うでしょう。
- ※判断材料にした情報が間違っていたら、その正義感は悪になります。情報が間違っていたからではすみません。
- ※単なる見たり聞いたりした噂話で判断していませんか?それ間違っていることよくありますよ。
- ※誹謗中傷する方は一時的に感情的になっていることが多く、あとで捕まるとそんなつもりではなかったといいます。
- ※なぜ、そっと立ち去ることができないのでしょうね。もっと成熟した大人になりましょう。
- ※無言の態度を示せばよいだけです。フラストレーションをここぞとばかりに吐き出すのは場違いです。
- ※取り返しのつかない間違いは別として、ちょっとした小さな間違いをここぞとばかりに責め立てたら、自分も同じ目にあうことを覚悟しましょう。
- ※当然、ご自身は一切間違いをしないのでしょう。
- ※人は間違います。私も間違います。私は間違う前提で話をします。たまに間違って足の小指をドアにぶつけます。
- ※まさかとは思いますが、他人の間違いには厳しく、自分の間違いには甘いなんてことはないですよね。
- 勘違いしているようですが、そもそも答える義務はありません。こんなこともわからないようでは無駄です。
- なんでも教えてもらえると勘違いしている人が多いです。
- ※答えてもらいたいなら、どうすればよいか考えましょう。
- ※みなさんに情報を提供した対価は何もありません。
- ※一般的に教育の対価が発生します。学校教育(無償化になったとはいえ税金がつぎ込まれている)や学習塾は無料ではありません。
- ※当然、教えてという方は有益な情報を無償提供しているでしょう。
- ※まさかとは思いますが、自分は何も提供せずに、相手には情報提供させるなんてしないですよね。
- ※「自分のものは自分のもの、相手のものも自分のもの」なんてご都合主義なわけないですよね。
- 論理的な判断をできない人にいくら説明しても時間の無駄です。門前払いです。
- 議論する以前の問題です。
- よく「話せばわかる」といいますが、それは同じ土俵(理解力)にいるときだけです。
- 一般的には「話してもわかりません」。時間の無駄です。
- 議論しても、説得しても人は変わりません。自ら変えるしかないのです。
- 論破できる、説得できるなんて思ってはいけません。時間の無駄です。
- ※五・一五事件では「話せばわかる」といって、悲惨な結果となった。五・一五事件を知らなければ調べてくださいよ。
- ※ちょっと厳しい言い方ですが、あなたが何を信じようと、何を主張しようと、勘違いしていようと、間違っていようと、どうでもいいです。当方は一切関知しません。正すつもりもありません。
- ※そんなことに関係なく、科学的な事実に従わなければなりません。
先入観、偏見、思い込み
- 普段、私たちは多くの先入観、偏見、思い込みをもっています。
- 多くの先入観、偏見、思い込みから、ネット上に誤った情報、嘘、噂話が蔓延しています。
- だからネット上の情報が正しいとは限りません。
- ※人間の可聴周波数は20Hzから20kHzと言われています。
- ※だから自分の可聴周波数も20Hzから20kHzと思い込んでいませんか。
- ※これも思い込みです。子供のときで最良の場合です。
- ※一般的に大人はこんなに特性がよくありません。測定してみるとわかります。
- 人間ですから仕方がありませんが、幸いにして自己修正能力、自己否定能力を持ち合わせています。
- 間違いをしない人間はおりません。完璧な人間はおりません。
- 私も未だに、間違って思い込んでいたことが発覚します。
- だから間違いを修正し、訂正します。
- 間違いを完全に取り除くことは不可能ですが、少なくすることはできます。
- これが人間に与えられた能力です。
- この能力を放棄すると、どんどん間違った道にハマります。
- 自分は間違っていないと言い張る人ほど間違っているのはそのためです。
- (本人は正しいと思い込んでいる)間違った情報を基に正義感を振りかざすと間違いを犯します。
- 正義感を振りかざす前に、石橋を叩いて、確認をしましょう。確固たる証拠が必要です。
- 正しいかわからないなら正義感を振りかざしてはいけません。
- ※自分で自分の行いを否定するのは難しいです。
- ※たとえ嘘情報であっても一度信じてしまうと自己修正するのはかなり難しいです。
- ※しかも自分は正しいと思い込んでいるから厄介です。
- ※思い込みとは恐ろしいものです。
- ※最近も思い込みによる捜査で、誤認逮捕がありました。
- ※アクセルとブレーキの踏み間違いも本人は正しいと思い込んでいるから厄介です。
- ※焦っているから仕方ありませんが、踏み間違えた場合、ギアをニュートラルにすべきです。
- ※そもそも停止して別の作業(料金を払うなど)をするときは、ニュートラルに入れておくべきです。
- ※最近のシフトレバーは凝ったデザインになり、ニュートラルがわかりにくいのも原因です。
- ※バイクのようにキルスイッチ(エンジン停止スイッチ)を設けるのも方法です。
- ※パワースイッチを2秒以上押すなんていうのはダメな設計です。
- ※筆者は正義感を振りかざないようにしています。
- ※自分に不利益が及ばない限り(危害が及ばない限り)、たとえ相手が間違っていようと正すことはしません。
- 「正しい」経験を積み上げていけばよいのですが、時には「間違った」経験を積み上げてしまうことがあります。
- ※「天動説」もそうでしたね。経験的に地球が動くわけがないと間違っていました。
- 経験豊富でもメリットとデメリットがあります。
- 経験を積んでいればよいという話ではありません。
- 間違った経験に基づく知識(思い込み)はなかなか修正できません。
- 自分では正しいと思い込んでいるのですから、これを修正するのはたやすいことではありません。
- 特に年齢を重ねると(経験を重ねると)こうしたことが多くなります。
- ※私の若いころにはなんて言い出したら、もう思い込んでいます。
- これを防止するためには、自分が正しいと思い込んでいることを、時に疑ってみる必要があります。
- 自分の常識を疑います。そんな馬鹿なと思う人ほど疑ってみましょう。
- そして事実確認をして、正しければ良しとし、間違っていたら修正します。
- この永遠の修正活動を続けていかなければなりません。
- これを続けていくことで、確かさの精度が向上します。
- AIのように、ディープラーニング(自己学習)を続けます。
- 思考を停止した途端、間違いを修正できません。
- 正しいと思い込んでいると危険な理由は、基準そのものが変更されたときに対応できないからです。
- 正しいと思っていた法律(根拠)が、実は改定されていたなんてことがあります。
- 今まで1kgはキログラム原器を基準にしていましたが、2019年にエネルギーを基準に変更しました。
- このように今まで正しいと思っていた基準(根拠)そのものが変更されてしまうことがあります。
- ※学習の教師データ、つまりは判断基準(ルール)そのものが変更されます。
- ※戦後教育では180度教え方が変わりました。
- ※今まで正しいことが間違いになりました。
- ※思い込みとは脳の負担を減らして楽をしようとすることから始まります。
- ※要は考えなくてもよい。朝から晩までさまざまな事柄にすべて脳を使っていたら疲れてしまう。
- ※歩くときに右足を出して、次に左足を出してなんて考えていたら、脳が疲れます。
- ※正しい思い込みなら効果的です。問題は間違った思い込みです。
- このように人間にとって最大の敵は「自分の思い込み」です。
- 敵は外ではなく、自分の中にあります。
- 自分の行いを否定することは難しいです。
- 何十年も正しいと思い込んでいるわけですから、よもや間違いだなんて信じたくないわけです。
- 今まで信じて行動してきたことが、否定されるわけです。
- それは受け入れがたいです。場合によっては自分が全否定されたと勘違いすることもあります。
- 基準(根拠)が変更されたからといって自分が全否定されるわけではありません。
- オリンピックでは採点基準(ルール)が変更されることがあります。
- それに不満を言っても何も解決しません。すべての選手に変更が適用されます。条件は同じです。
- 基準が変更されたからといって、選手が全否定されるわけではありません。
- 人は必ずしも合理的な判断をしません。
- 明らかに自分の間違いだとわかっても、信じようとしません。
- 間違いだとわかっていても、間違いだと認めたくない、ジレンマを抱えます。
- 場合によっては外に、はけ口を見つけようとして、責任転嫁することもあります。
- しかし、それでは解決しません。
- たとえ基準(根拠)が変更されても柔軟に対応して生きていける人材でなければなりません。
- 世の中、変化が必ずあります。
- 変化のない社会なんてありません。
- もちろん変わらないこともあるでしょう。
- 変わらないもの、変わるものを適確にとらえ、柔軟に対応しなければなりません。
- 自分の常識を思い込みではないかと疑い、間違っていたら正すことを繰り返します。
- 固執せず、柔軟に対応しましょう。
- ※私は電気と付き合うなかで、常に自分の思い込みを修正してきました。
「ほならね理論」と「ジャイアンの理論」
- これも本来は暗黙の了解ですが解説します。
- 最近は「ほならね理論」と呼ばれているようです。どこかで炎上したらしいですが、昔からある考え方です。
- 「文句を言うなら自分で作ってみろ」
- 「ならおまえがやってみろ」
- 「それなら、おまえがやってみろ」
- 「わかりました、ではご自身でやってください」
- すべて同じです。
- つまり「手本を示せ」ということです。
- 後で紹介しますが、無理難題を押し付けられたときの対策になります。
- 先生が手本を示せないにも関わらず、生徒にやってみろと言っているようなものです。
- 上司が手本を示せないにも関わらず、部下にやってみろと言っているようなものです。
- こんな理不尽な話はありません。パワハラです。
- 先生が先生である所以は、手本を示せるからです。
- 言い出した人が手本も示せないのに、それを他人に要求してはなりません。
- 自分ができもしないのに、理不尽な要求をしてはなりません。
- 自分でできないのに、相手に無理難題を要求してはいけません。
- ※手本を示せるなら、信用してもよいでしょう。
- ※手本を示せない人を信用してはいけません。
- にも拘わらず理不尽な要求を通そうとすることを「ジャイアンの理論」といいます。
- 相手のものは自分のもの、自分のものは自分のもの。
- いわゆる「ご都合主義」です。論理矛盾しており、社会的に通用しない論理です。
- 自分の都合は通せ、あなたの都合はしらない。こんな論理は通用しません。
- 言い出した人が、まず行動すべきです。つまり自分がまず行動すべきです。
- こうやればできるからという手本を示し、だから相手にもできるはずだと順番を踏まねばなりません。
- 自分でできもしないのに、相手にやらせるのはなしです。
- 失敗することが分かっていて、相手にやらせるのは悪質な罠です。
- 相手を陥れる(おとしいれる)嫌がらせです。
- かつて、上司からこうした無理難題が来たとき、「では、手本を示してください」とやり返しました。
- これは非常に効果的でした。実際、上司にやらせてみたところ失敗しました。
- 面目丸つぶれです。
- それ以降、上司からの嫌がらせはなくなりました。
- ネット上では揶揄した「ほならね理論」を論破とかささやかれていますが、長い歴史上で論破されたことはありません。
- 何千年も議論されているからです。今でも通用します。
- ※上司の嫌がらせに悩んでいる方はぜひお試しください。
- ※たったこんなことですが、これを思いつけるか否かで、人生が大きく変わります。
- ※一休さんのとんち話があります。
- ※将軍様から屏風の中の虎をとらえてみよと無理難題を出されました。
- ※こう切り返しました。
- ※ではとらえるので屏風の中の虎を追い出してください。
- ※自分のできもしないことを相手に要求するなという教えです。
- ※そしてその対処方法です。
- 批評をするなと言っているのではありません。
- 「正当な意見ならよい」「根拠のある批評ならよい」
- 「手本を示す」というのは「根拠を示す」一例です。実際にやって見せ、こうすればできるとね。
- 問題は「理不尽な要求」です。いわゆる無茶苦茶な要求です。できもしない要求です。不景気に売り上げを上げろとかね。
- つまり批評ではなく、いちゃもんをつけるクレーマーのケースです。むちゃくちゃな上司です。
- 資産家が宇宙旅行にお金を投じました。
- これに対して一般人が「もっとお金を有効に使うべきでは」と意見が出ました。
- もっとものような気もしますが、この批評に「根拠」が示されていません。
- じゃあ自分が資産家になって、手本を示せばよいだけです。
- 自分でできもしないのに(手本を示せないのに)、根拠のない批評はいけません。
- 他人をうならせるような根拠のある批評ならかまいません。
- この資産家は単に自分の楽しみだけにお金を投じたのではありません。
- 投資家として宇宙ビジネスを促進するために投じています。
- ※なおこの資産家は難病への寄付も行っています。
- こうした事実を知った上で、根拠を示しましょう。
- これを覆せるような理由を提示できなければ、批評批判とはいえません。
- ※私はなんでもかんでも、「じゃあお前がやってみろ」とは言いません。
- ※正当な理由、根拠のある批評批判に対しては、言いません。むしろ耳を傾けます。
- ※しかし理不尽な要求(無茶苦茶な要求)に対しては言わせてもらいます。
- ※その「できもしない要求(無理難題)」を自分でやってみろとね。
権威は科学ではない、多数決は科学ではない
- こうした議論をしていると、「偉い先生が言っているから」という理由が持ち出されます。
- あるいは「多くの人(学者を含む)が言っているから」という理由を持ち出します。
- 残念ながら、どんなに偉い先生が言っていても科学的な理由になりません。
- 残念ながら、多くの人が言っているからは、科学的な根拠になりません。
- 人は間違います。間違いをしない人はいません。これを前提にしなければなりません。
- さらに厄介なことに、大衆が間違っていることは、よくあります。
- 例をあげましょう。
- 文部科学省の調査によれば「姑息」の意味を誤用する人は8割以上います。正解者はわずか15%でした。
- 「声を荒らげる」の読みも正解者はわずか11.4%でした。
- 同様に「情けは人のためならず」「憮然」「確信犯」も5割以上の方が意味を間違えています。
- 大多数の人が間違っており、「みんなが言っているから」は科学的な理由になりません。
- 「みんなが言っているから」を科学的な根拠にしたら、間違いだらけの科学になり、世の中大混乱します。
- 科学は多数決で決まりません。
- 科学とは間違いのない根拠の積み重ねです。
- ※困ったことにマスコミによる刷り込みで間違った科学が広まることがあります。
- ※例えば地球温暖化(世界的には気候変動と呼ぶ)の原因は二酸化炭素と刷り込まれています。
- ※残念ながらこの認識は誤りで、まだ科学的に証明されていません。
- ※研究中であり、まだ疑いの段階でしかありません。それをあたかも証明されたがのごとく語る人が多いです。
- ※例えば二酸化炭素が増えるから温暖化するのか、温暖化するから二酸化炭素が増えるのか証明されていません。
- ※地球規模の気象は複雑に絡み合っており、原因を1つに絞り込むことが不可能なためです。
- ※そもそも原因が1つなわけありません。そんな単純な話ではありません。
- ※原因を1つに絞った時点で、もはや科学的ではなくなり、占いです。科学者ではなく占い師です。あるいは新興宗教です。
- ※筆者は決して二酸化炭素をむやみに放出してよいとは考えていません。地球を汚してはいけません。
- ※しかし証明されていない科学(だから科学ではない)を信じてしまうと、ほかに本当の原因があったら、大きな間違いをします。
- ※二酸化炭素を削減しても地球温暖化を防止できないかもしれません。そんな保証はありません。
- ※二酸化炭素が原因だと思い込んで、ほかの可能性を排除してしまうほうが危険です。
- ※だから、科学的に証明されていない、わからないことはわからないと、正しい認識を持つ必要があります。
- ※地球温暖化の原因は二酸化炭素と、知ったかぶりをしないようにしています。
- ※※地球の気候をいくつかのモデルでシミュレーションしています。
- ※※そして長期的に見て、人間活動による二酸化炭素を考慮に入れると辻褄が合うという主張です。
- ※※つまり太陽活動(他の原因)ではなく、人間活動の疑いが高いと主張しています。
- ※※残念ながらシミュレーションは科学的な根拠になりません。それは証明ではありません。
- ※※都合のよいシミュレーションをしたら、辻褄があってしまいます。科学的な証明になりません。
- ※※相関係数(数値計算)は必ずしも因果関係を示すものではないのと同様です。
- ※※シミュレーションは原因探しの手助けになりますが、証明ではありません。
- ※※しかもこのところシミュレーション結果と実際に大きなズレを生じ始めており、理論と現実が合いません。
- ※※一時的(短期的)や誤差の範囲とはいえない大きなズレです。都合が悪くなるとモデルを修正します。
- ※※気象予報にもシミュレーションが使われていますが、正確な予報はできません。
スピーカー・ケーブル交換の議論
- 科学を語るので、少しだけ厳密な話をします。
- 代表例としてよく語られるのは、スピーカー・ケーブルを交換しただけで、次の2つの議論が行われます。
- (Q1)音が変わるのか
- (Q2)聞き分けられるのか
- それぞれを見ていきましょう。
- (A1)科学的に変わる
- 条件がわずかでも変化すれば科学的に変わります。むしろ同じになることはありません。
- 極端な小さな変化の例を挙げれば、ケーブルを直線配置にするか、丸めて配置するかでも変わります。
- ※配線を丸めるとインダクター成分が生まれます。
- この違いは測定器を使えばわかります。
- 極端な大きな変化の例を挙げれば、ケーブルを5mから5km(1000倍)に変更すれば、音が小さくなります。
- (A2)個人差がある。
- 変化が大きければ聞き分けられるでしょう。
- しかし、変化が小さい場合、聞き分けられないでしょう。
- 答えとしては聞き分けられるときもあれば、聞き分けられないときもあります。バラツキます。
- 人の聴覚は個人差があり、絶対的な評価はできません。
- 個人差があることを、認めなければなりません。これを無視すると不毛な議論になります。
- 背の高い人もいれば、背の低い人もいます。
- 同様に聴覚能力の優れた人もいれば、劣る人もいます。
- これは個性であって、個人ではどうしようもない事実です。
- 耳を鍛えろいっても鍛えられません。むしろ加齢によって低下する一方です。
- 背の低い人に、背を高くしろといっても無理です。
- 無茶苦茶な話ですよね。
- 耳を鍛えられるというなら、ぜひ手本を示してください。
- ぜひ聴覚障害者に音を聞かせてあげてください。
- ※※誤解のないように付け加えますが障害者を差別するつもりはありません。
- ※※むしろ公平に、音を聞かせてあげたいです。
- ※※障害とは少し異なりますが、日本人男性の約5%は色覚異常です。決して珍しいことではありません。
- ※※一見、普通の人のように見えても遺伝子でみるとみな何がしらかの異常を持ち合わせています。表面化していないだけです。
- ※※ですから、むしろ個性ととらえたほうが良いでしょう。
- ※極端な例を持ち出すなというかもしれませんが、科学は極端な例であっても例外はありません。
- ※科学は極端な例でも成り立ちます。そうでなければ科学と呼びません。
- ※一方で非科学は極端な例で成り立ちません。必ず成り立つという保証がありません。
- ※これが科学と非科学の違いです。
- ※科学的評価と感覚的評価の違いです。
- ※科学的評価に例外がありません。どんなときも成り立ちます。
- ※感覚的評価に例外があります。どんなときも成り立つとは限りません。
- ここで議論している内容は既出です。
- 「性能評価」と「音の評価」そのものです。
- 「音が変わるのか」と問われれば、測定器で測れば変わります。
- 「聞き分けられるのか」と問われれば、耳で聞き分けられるときもあれば、聞き分けられないときもあります。
- 性能評価は測定器で行うべきであり、正しい答えがあります。
- 一方で音の評価は耳で行うべきであり、正しい答えがありません。人それぞれです。
- これを同じ土俵で語るから混乱します。だから話がかみ合いません。
- 「数学」と「国語」を同じ土俵(授業)で語るからおかしなことになります。
- 例えば「数学の授業中に国語の話」をしたり、「国語の授業中に数学の話」をしているようなものです。
- お互いの主張がかみ合わず、話が混乱するのは当たり前です。
- お互いにまず土俵を確認しましょう。
- そこを抜きにして議論を開始するから混乱します。
- 基本中の基本を理解していないから混乱します。
- ※参考情報です。人の能力には幅があります。同一ではありません。
- ※世の中にはまれに飛びぬけた視覚能力を持つ方がおります。
- ※どうしてなのか医学的に解明されています。
- ※人は光の三原色に反応する3色型色覚(赤錐体、緑錐体、青錐体の三種類の細胞)です。
- ※ところが非常にまれに、黄錐体を持つ4色型色覚の女性がおります。
- ※この方は、わずかな色の違いさえも区別できます。超人的な能力を持っています。
- ※本人にしてみればそれが当たり前ですが、一般人からしたら比べものになりません。
- ※遺伝学的に女性に現れることも分かっています。
- ※同様に飛びぬけた聴覚能力をもっている方がいても不思議ではありません。
- ※実際、音を色として感じる方がおります。音が様々な色として見えるようです。
- ※経験したことがないので伝えようがありません。
- ※どうしてなのかはまだ科学的にわかりません。
- ※このように個人差があります。
- ※非常にまれに超人的な能力を持つ方がいます。
- ※特別な遺伝子を持つ方がおります。キメラもその一種です。
- ※ただし、その確率は非常に低いです。
何が正しいのか、何をよりどころにすべきか
- 「性能評価」と「音の評価」は異なることを述べてきました。
- これは「科学的評価」と「感覚的評価」の違いであることも述べました。
- では、どちらをよりどころとすべきでしょうか?これは対象によります。
- 「感覚的評価」で小さな違いを聞き分けられませんが、大きな違いを聞き分けられます。
- 例えば小さな音の位相の違いを聞き分けられませんが、大きな位相の違いを聞き分けられます。
- ノイズキャンセル・イヤホンは大きな位相変化(反対の位相)を利用しています。
- 小さな違いの例を持ち出して、聞き分けられないから無視してよいのでしょうか?
- それでは大きな違いを見落としてしまいます。
- 同じ440Hzのピアノとギターの音色を聞き分けられます。複雑な高調波の組み合わせが違うからです。
- 440Hzと880Hzの正弦波を位相を変えて組み合わせたくらいで聞き分けられません。
- ところが、もっと複数の正弦波(高調波)を組み合わせると違いが大きいので聞き分けられるのです。
- 振幅(音量)が同じ440Hzのピアノとギターを聞き比べてみるとよいでしょう。
- ※音楽は2つ周波数で構成されていません。無数の周波数で構成されています。
- ※2つの周波数だけで判断することが間違いです。
- ※2つの周波数だけで聞き分けられないから、無数の周波数でも聞き分けられないとはなりません。
- ※この程度の位相を聞き分けられないから、「よし」とするなら、アンプのひずみ率1%も0.1%も聞き分けられないので「よし」としなければなりません。
- ※こっちの評価は厳密にするけど、あっちの評価は甘くするでは一貫系がありません。
- ※だから性能評価を感覚評価してはいけません。感覚で評価をすると迷走します。
- ※聞き分けられないからを理由にすると、迷走します。何がどの程度、良いのか悪いのかわからなくなります。
- ※機器の性能評価は定量的に行わねばなりません。
- スピーカー・ケーブル、1mと2mでは小さな違いなので聞き分けられません。
- ところが、1mと1kmなら大きな違いなので聞き分けられます。
- ※そんなのは極端だというかもしれない。しかし最悪ケースを考えると問題点が浮き彫りになる。問題点を発見できる。
- スピーカーの精度はとびぬけて悪いにも関わらず、小さな違いを聞き分けられないことがあります。
- 聞き分けられないならスピーカーの精度を放置(無視)してよいのでしょうか。位相の歪を無視してよいのでしょうか。
- 「感覚的評価」に頼ると見逃しが起こります。聞き分けられるかは条件次第であり、頼れません。
- 「科学的評価」に頼れば見逃しが起こりません。聞き分けられるかに関わらず、頼ることができます。
- 音は物理現象であり、オーディオ機器の発展は科学で追求すべきです。正しい方向に導いてくれます。感覚に頼ると迷走します。
- 一方で「音楽(心地よさ、楽しさ)」は感覚で追求すべきです。
- 個人で正しい答えが異なるので(見逃しがあることを前提に)感覚に頼らざるを得ません。人間の感覚なんてあいまいです。
- ※少し補足します。
- ※音の要素として振幅と位相があります。
- ※これは複雑に関係しており、位相が変化すると振幅にも影響します。干渉して強め合ったり、弱めあったりするからです。
- ※位相が変化すると音色も変化します。
- ※たまに「オームの音響法則(オーム・ヘルムホルツの法則)1843年」を持ち出す方がおります。
- ※これ科学的に証明されていません。ですから法則ではありません。
- ※「音響の認識」に関し、位相は音色に関係しないという説を提唱したに過ぎません。「らしい」「傾向がある」程度の話です。
- ※つまり「感覚的評価」であり、「科学的評価」ではありません。1843年といえばまだオーディオ機器が存在しません。スピーカーの発明以前です。
- ※しかも説でありいまだに証明されていません。当初から疑問視されていました。
- ※これは程度の問題です。この法則に当てはまる場合と当てはまらない場合があります。感覚的評価だからです。
- ※当てはまらない場合があるということは科学的に誤りです。科学的法則に例外があってはいけません。
- ※位相ずれ(ひずみ)が小さければ認識できず、位相ずれ(ひずみ)が大きいと認識できます。
- ※一方で科学的(数学的)に波(音)はフーリエ級数で表現できることが証明されています。
- ※フーリエ級数は振幅と位相を含んでおり、どちらも音(音色)に関係することがわかっています。
- ※式にsinとcosがあるということは位相が関係しています。オイラーの公式を使い複素数に拡張するともっとわかります。
- ※三角関数を合成すると位相αが出現します。フーリエ級数に位相が隠れており見えないだけです。
- ※三角関数の加法定理を理解していれば証明できます。
- ※この式とフーリエ級数を見比べてください。位相の重要性が見えてきます。
- ※厳密にいうとフーリエ級数の収束条件があります。発散する場合は成立しません。
- ※一般的に音の波形は連続で滑らかなため収束します。収束条件を満たします。
- ※フーリエ級数があるから、デジタル音源があります。フーリエ級数が成り立たないなら、デジタル音源も成り立ちません。
「位相は音に関係しない」の間違いを証明
- フーリエ級数の三角関数を合成すると位相αが出現します。
- これにより位相が音に関係することは自明ですが、数学的に証明します。
- この間違いを証明するには「例外が一つでもあること」を提示すればよい。
- なぜなら科学とはどんな時も成り立たなくてはならない。一つでも例外があれば科学とは呼べない。つまり理論は間違いとなる。
- 位相の異なる2つの波がある。
- Aの波はsin(θ)、Bの波はsin(θ+180)。
- ここで波の合成を考える。音は重ね合わせの原理により、波の合成だからである。
- 理論が正しいなら、どんな波の合成であっても、位相が関係してはいけいない。
- Cの波はAとAの合成。C=A+A=2sin(θ)。
- Dの波はAとBの合成。D=A+B=2sin(θ)+sin(θ+180)=0。
- Cは振幅があり明らかに聞こえる。
- Dは振幅がなく明らかに聞こえない。
- よって位相は音に影響する。
- 証明終わり。
- たとえ「合成した波の振幅が変わらないなら」なんて条件を持ち出してきても、そんな条件を満足することはめったにない。
- むしろ一般的に「合成した波の振幅は変わるもの」である。持ち出してきた条件が例外である。
- 例外があるなら、科学と呼べない。例外を科学と呼んではいけない。
専門家向けの知識
- ここから先は一般の方、初心者はご遠慮ください。
- 電圧と電力を混同している状態で、専門的な話を聞いてもさらに混乱するだけです。
- 何を話しているのかさえわからないでしょう。
- 大学で電気を専攻したり、電気関係の資格を有している方のみ対象にします。
- 高度な数学の知識も必要です。
- 数学の発展と電気は切っても切れない関係にあります。微分積分、複素数は電気のためにあると言っても過言ではありません。
インピーダンス整合
- インピーダンス・マッチングともいいます。
- 高周波の伝送を専門にしているなら、この必要性を理解しているでしょう。
- アマチュア無線のSWR計が何を意味しているか分かるでしょう。SWRが1.0に近いほど理想です。
- 少し時代をさかのぼり、真空管時代のオーディオの話をします。
- 真空管アンプの出力トランスとは何でしょうか。何のためにあるのでしょうか。
- これを理解するには真空管の構造と特性を知る必要があります。
- 真空管はフィラメントから放出される熱電子を利用して、増幅する仕組みです。
- 動作電圧(200Vなど)は高いものの大きな電流を流せません。
- 入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスも高いため、低いインピーダンスのスピーカーを駆動できません。
- もし直接接続すると、出力電圧が低下してスピーカーから音が出ません。
- 大きな抵抗に小さな抵抗を直列接続すると、分圧されて電圧が低下します。
- そこでこの影響を避けるために、用いるのが出力トランスです。
- トランスの入力側を高いインピーダンスで受け、出力側を低いインピーダンスにすることで、相互の影響を調整します。
- 例えば、入力インピーダンス5kΩ、出力インピーダンス8Ωの出力トランスを使います。
- トランスは電力をそのままに、巻き数に応じて電圧と電流を変換します。N:1なら1/Nの電圧とN倍の電流に変換します。
- こうすることで、真空管の出力電圧を低下させることなく、スピーカー側に電力を伝えることができます。
- つまりトランスでインピーダンス変換を行っています。これをインピーダンス整合と呼びます。
- 真空管側とトランスでインピーダンスを合わせ、スピーカー側のトランスでインピーダンスを合わせます。
- 電力を伝えるためにインピーダンス整合します。これが出力トランスの役目です。
- これが先人の知恵です。
- さて時代が進み、増幅素子が真空管から半導体に切り替わりました。
- トランジスタを用いたアンプの出力インピーダンスは、スピーカーのインピーダンスよりも小さくなりました。
- さあ、このときインピーダンス整合をどのように考えたらよいでしょうか。
- インピーダンス整合とは効率よく電力を伝えるための手段です。
- 一つの解としては従来の考え方があります。
- インピーダンス整合することで、(正しい電力かつ)最大電力が伝わることが、数学的に証明されています。(複数ある解の一つです。)
- つまり、アンプの出力インピーダンスをスピーカーのインピーダンスと同じにします。
- 出力トランスを使ってインピーダンス整合してもよいのですが、実はトランスにも周波数特性があります。
- トランスはすべての周波数でフラットな特性ではありません。電源トランスは固定周波数(50/60Hz)であるため、その周波数だけ効率よく作られています。
- 幸いにして出力インピーダンスが小さいので、トランスを使わなくとも、単純に出力抵抗を追加するだけでインピーダンス整合できます。
- ※これではダンピングファクターが1で低いのでは考えるでしょう。これについてはまた別の機会にします。
- ※そもそも電力アンプにダンピングファクターという指標はありません。あるのは電力効率です。電圧アンプだから出てきた考え方です。後付けです。
- ※電力と電圧を取り違えています。科学的な根拠を確かめましょう。
- ※伝送で信号のオーバーシュートを抑える目的としてダンピング抵抗があります。
- ※dampingとは振動や衝撃を抑制することです。車のダンパーと同じです。
- ※経済用語のdumping不当販売ではありません。
- これは出力トランスと同じ考え方を当てはめた場合の解答です。
- スピーカーのインピーダンスが固定の場合の解答です。
- スピーカーはじゃじゃ馬です。
- 実際にはスピーカーのインピーダンスは大きく変動するので、最適解ではありません。
- ではどうすれば最適解になるのか、おいおい説明します。
- その前に知識が必要です。
ダンピングファクター(damping factor)の正体
- ダンピングファクターと呼ばれる指標があります。
- 電圧増幅器の指標です。電力増幅器にはありません。
- 次のように定義されています。
- ダンピングファクター=スピーカーの公称インピーダンス÷アンプの出力インピーダンス
- ※スピーカーのインピーダンスは周波数によって変動するため、周波数によってダンピングファクターは変動します。
- ※それでは指標にならないので、代表的な公称インピーダンスを用います。
- ※もともとdampingとは衝撃を和らげることを意味します。車のdamper(衝撃吸収)と同じです。
- ※伝送用語で信号の反射を緩和するためにダンピング抵抗があります。
- ※スピーカーからの逆起電力をアンプ側の出力インピーダンスで受けることから、出力インピーダンスが低いことが理想です。
- ※抵抗が小さければ、起電力を小さく抑え込めます。
- ※ここからスピーカーを制動する、つまりスピーカーの反動を弱める、緩和するという意味でダンピング要因と呼ぶようになったのでしょう。
- ※電気の世界ではスピーカーからの反動は「位相」として現れるため、本来は位相を議論しなければなりません。
- ※専門知識が必要になるためここでは扱いません。
- ダンピングファクターの意味を考えてみましょう。
- その前におさらいです。
- 抵抗による分圧という現象があります。
- 直列抵抗(R1とR2)に電圧Vを加えると、抵抗に応じた電圧(V1とV2)に分割されます。
- V1=R1/(R1+R2)*V
- V2=R2/(R1+R2)*V
- 電圧増幅器は電圧源であり、内部抵抗があります。
- 内部抵抗のないことが理想ですが、現実にはあります。
- 内部抵抗とスピーカーが直列接続されています。
- そのため、スピーカーのインピーダンスと内部抵抗で分圧が起こります。
- アンプの電圧がそのままスピーカーに伝わりません。
- つまり内部抵抗があるために、スピーカーへの電圧が低下します。
- この割合(内部抵抗の電圧:スピーカーの電圧)の指標がダンピングファクターです。
- ダンピングファクターが大きいほど電圧効率がよいわけです。
- 例えばダンピングファクターが9ならアンプから供給した電圧の9割がスピーカーに伝わります。
- では10なら10割が伝わるかというとそうではなく、91%です。
- ダンピングファクター=9、電圧効率=90%
- ダンピングファクター=10、電圧効率=91%
- ダンピングファクター=19、電圧効率=95%
- ダンピングファクター=29、電圧効率=96.6%
- ダンピングファクター=39、電圧効率=97.5%
- ダンピングファクター=49、電圧効率=98%
- ダンピングファクター=59、電圧効率=98.3%
- ダンピングファクター=69、電圧効率=98.6%
- ダンピングファクター=79、電圧効率=98.8%
- ダンピングファクター=89、電圧効率=98.9%
- ダンピングファクター=99、電圧効率=99%
- ダンピングファクターが20を超えると電圧効率はほとんど変わりません。
- 電圧効率がよいということは逆起電力を抑え込めているわけです。
- ダンピングファクターなんて言葉を使わずに電圧効率といえば済むのです。わかりやすいですよね。
- わざとわかりにくい言葉を使って(言葉を作って)、ユーザを混乱させているわけです。
- これがダンピングファクターの正体です。
- 業界が電圧効率を使わない(使えない)理由はもうわかりますよね。
- ※ここでは電力ではなく電圧の話をしています。
- ※本来はスピーカーに電力を供給しなければなりません。
- ※正しい電力を供給しなければなりません。電圧ではありません。
- ※電圧の話をされても意味がありません。意味のない指標です。
- ※ここを勘違いしないようにしましょう。メーカーの指標に誘導されないようにしましょう。
- みなさん測定したことがあるように、半導体アンプの内部抵抗は小さいです。
- ダンピングファクターを語るのにまさか内部抵抗の測定方法を知らないなんて方はいないでしょう。
- 当然、内部抵抗が小さいことを確認しているでしょう。
- 確認もしないで、内部抵抗が小さいなんて語れませんからね。
- まさかとは思いますが、どこかで聞きかじって、他人の受け売りで話をしているわけないですよね。
- 筆者は何度となく、内部抵抗を測定して確認しています。
- なお、スピーカーケーブル自体の抵抗、スピーカー端子の接触抵抗、出力保護のリレー抵抗などもダンピングファクターに影響します。
- このように電圧増幅器であるがゆえに、ダンピングファクターという指標が登場しました。
- 真空管時代には聞いたことがなく、半導体時代になり、出現した指標です。後付けです。
- 半導体アンプの優位性を示すために登場しました。
- つまりメーカーがユーザへのアピールとして使います。
- 誘導するわけです。
- ※真空管から半導体への移行時期に誕生した指標で、その名残といってもよいでしょう。
- ※今となってはメーカーの意図してか意図せずかはもうわかりません。
- そもそも電力増幅器を必要としているのに、電圧増幅器を販売し、その優位性をアピールしているわけです。
- こうしてユーザを間違った方向に誘導します。
- メーカーにしてみれば、理由はなんでもよく、買ってもらえばよいのです。
- 根本的な問題として、「電力」と「電圧」を取り違えています。
- 賢いユーザである皆さんはこれに気が付いています。
- メーカーに誘導されることなく、科学的な理由を理解しています。
最大供給電力、最大電力効率
- 電圧源による最大電力効率の条件を数学的に証明します。
- ※これは電圧源での解説です。電力源ではないので注意してください。電圧源とは電圧アンプ(電圧駆動)です。
- 供給側から見たときは最大供給電力であり、消費側から見たときは最大電力効率です。
- 答えを先に書いてしまうと、出力インピーダンスが負荷インピーダンスと等しいときです。だからインピーダンス整合します。
- ※公式「2つの数(aとb)の積が一定なら(ab=一定)、2つの数が等しいとき(a=b)、2つの数の和(a+b)は最小になる。」
- ※この公式を知っていると、直観が働きます。
- 単純化して電池(内部抵抗r)と抵抗Rを考えます。上記の図です。
- 直流で考えますが、交流でも同じです。
- 電圧アンプの出力インピーダンスが電池の内部抵抗に相当し、負荷抵抗がスピーカーのインピーダンスに相当します。
- さて内部抵抗rがある場合、負荷抵抗Rの消費電力Pを最大にする条件を求めてみましょう。
- 電圧源Vと内部抵抗rを固定とし、Rを変数と考えます。
- 電流I=V÷(r+R)です。
- 消費電力P=I 2xRです。
- 消費電力に電流Iを代入します。
- 消費電力P=V 2xR÷(r+R) 2
- Rを変数として関数P(R)を考えます。
- 分母に(r+R) 2があることから、これが最小のときP(R)が最大になると見通します。
- P(R)の関数を明らかにするため、グラフの傾きを知るため、P(R)をRで微分します。
- P'(R)=V 2x(r-R)÷(r+R) 3
- R=rのとき極値(P'(R)=0つまりグラフの傾きがゼロ)を取ります。
- さらに微分すると
- P''(R)=-3V 2÷(r+R) 4x(r-R)-V 2÷(r+R) 3
- R=rのときP''(R)<0であるから、上に凸のグラフであり、P(R)が最大値をとることがわかります。
- これで証明終わりです。
- グラフのイメージをつかむため、V=4,r=8として負荷抵抗Rの消費電力Pを描いてみました。
- r=Rのとき消費電力が最大です。
- 真空管アンプの出力トランスでスピーカーのインピーダンス8Ωに整合すると最大電力を供給できます。
- 半導体アンプの出力インピーダンスは低いため(例えば0.1Ω以下)、インピーダンス整合に直列抵抗を接続します。
- ※現在販売されているパワーアンプと称されている電圧アンプはインピーダンス整合していないことがほとんどです。
- ※出力インピーダンスの低い電圧アンプの場合、スピーカーのインピーダンスを低くすれば消費電力が増えます(スピーカー側をアンプに近づける)。
- ※ヘッドホンアンプはインピーダンス整合していることがあります。
- ※ただしヘッドホンアンプの出力に使われるオペアンプの出力インピーダンスは数10Ωあることが知られています。これも考慮する必要があります。
- ※どの程度の出力インピーダンスがあるか測定してみるとよいでしょう。これも測定方法があります。
- これでインピーダンス整合と電力の関係を理解できたことでしょう。
交流と電力
- 交流とは交番電流(AC:alternative currenct)です。
- 電流の向きが行ったり来たりします。
- アンプは交流を出力するので、正確には電気を「吐き出したり」(ソース:source)「吸い込んだり」(シンク:sink)します。
- 出ていくだけなく、入ってきます。アンプの駆動回路にpush-pullがあるのはそのためです。
- 音は複雑な交流の波として記録されています。プラスマイナスの電気です。
- ※ひとまず正弦波を想定します。音は複雑な波形ですが正弦波を考えればよい理由があるからです。
- プラス側のとき出ていき、マイナス側のとき入ってきます。
- 出ていくだけと思っていたら間違いです。
- だから電力も出ていくだけでなく入ってきます。
- さあ、ややこしくなってきましたね。電気の世界は難しいのです。
- 交流はさまざまな考え方をしなければなりません。
- 瞬間的な考え方と平均的な考え方であったり、位相が進んだり遅れたりといった考えが必要です。
- スピーカーのボイスコイルに電気を供給します。
- 理想のコイル(インダクタ)に抵抗成分がありませんが、実際にはあります。
- そこで簡易的なスピーカーの等価回路はインダクタと抵抗の直列回路で表現します。
- ※実際にはもっと複雑な等価回路です。機械的な低音共振周波数などがあります。
- スピーカーは抵抗成分のみ電力を消費します。これを有効電力と呼びます。
- アンプ側からみた「出ていく電力」と「入ってくる電力」の関係のイメージです。
- 有効電力=「出ていく電力」-「入ってくる電力」
- 無効電力=「入ってくる電力」
- 皮相電力=「出ていく電力」=有効電力+無効電力
- ただし、ベクトルの関係にあります。単純に加減算できません。
- そして、無効電力を平均するとゼロです。無効電力とはコイル成分です。コイルは電気を消費しません。
- コイルは一時的に電気エネルギーを蓄積し、放出します。
- 無効電力は電気を消費しませんが、交流を伝達するために一時的に必要です。
- 化学反応でいうなら、触媒のような存在です。
- 無効電力がないと正しく伝わりません。
- そのため、パワーアンプは瞬間的に皮相電力を供給しなければなりません。
- 瞬間的に皮相電力(有効電力と無効電力)を供給し、無効電力を平均して回収します。
- スピーカーの公称インピーダンスとは抵抗成分のみを意味し、コイル成分は含まれていません。
- そのため実際のインピーダンスはコイルがあることにより、周波数で変動します。
- リアクタンスは複素数でjωLと表現します。ω=2πfです。ω(オメガ)は角速度です。fは周波数です。jは虚数単位です。
- 虚数成分は電力を消費しません。実数成分のRのみ消費します。
- Z=R+jωL
- インピーダンスが変動しないことを前提にアンプの出力を考えると正しく電力が伝わりません。
- 有効電力だけを考えていることになり、無効電力を無視しているからです。
- 誤った供給電力が皮相電力として扱われ、無効電力が差し引かれるので、有効電力が本来よりも小さくなります。
- これをベクトルで示すと次のようになります。
- 正しい有効電力が伝わっていないことがわかります。
- 本来必要とされる皮相電力Sの有効電力P分しか供給しないと、Pが皮相電力S' になり、結果的に有効電力がPからP' に減少します。
- 公称インピーダンス(有効電力のみ)を前提とした電圧アンプで駆動するとこのようになります。
- 無効電力も考慮し、皮相電力を前提とした電力アンプで駆動する必要があります。
- こうして電圧アンプでは正しい電力が伝わらず、低音不足や高音不足を起こします。
- なお、有効電力と皮相電力の角度を位相角θと呼びます。cosθを力率と呼びます。
- ※ちなみにアンプの出力部に取り付けられるZobelフィルタは、この力率を改善することで(高周波の)発振を防止します。
- インダクタは位相が遅れ、虚数の下向きに表記します。
- コイルに電気エネルギーを蓄積したり、放出したりするタイムラグ(時差)が位相の遅れの正体です。
パワーアンプは皮相電力駆動
- さあ、ついてきているかな。
- 少し整理します。
- パワーアンプはインピーダンスを考慮した皮相電力で駆動しなければなりません。
- パワーアンプは電力増幅器ですが、この電力とは正確には皮相電力です。
- ※交流モーターの駆動には皮相電力が必要ですよね。同じことです。
- 交流における電力を考えます。
- P=有効電力=抵抗が消費する電力[W]
- Q=無効電力=本来インダクタやコンデンサは電力を消費しないが、位相の関係で瞬間的に消費する電力[Var]
- S=皮相電力=見かけ上、瞬間的に消費する電力[VA]
- 大きさは長さです。
- S 2 = P 2 + Q 2
- 本来、インダクタやコンデンサは電力を消費しないが、交流の電圧と電流に位相ずれを起こすため、瞬間的な電力に影響します。
- 皮相電力からインダクタやコンデンサによる(リアクタンスによる)無効電力を差し引くと有効電力です。
- 純粋な抵抗とインダクタやコンデンサによる交流の抵抗成分の合成をインピーダンスと呼びます。
- 皮相電力=インピーダンス×電流の2乗=電圧の2乗÷インピーダンス
- ※簡単にいうと瞬間的には純粋な抵抗による有効電力に加えて無効電力を消費する。
- ※平均的にみると有効電力のみであるが、瞬間的には皮相電力で考えなければならない。
- 音は複雑な交流であり、瞬間的な波形を実現するにはインピーダンスを考慮した皮相電力で考えなければなりません。
- 一時的(瞬間的)に余分な無効電力も供給しなければなりません。
- 皮相電力で駆動しないとスピーカーに正しい電力が伝わりません。
周波数特性と線形性
- 周波数特性を測定するときに正弦波を用います。それで複雑な音の波形でも特性が保証されるのか疑問に思ったことはないでしょうか。
- これも数学で証明されており、正弦波で測定すればよいことが保証されています。
- 音である複雑な交流波形はフーリエの無限級数(正弦波と余弦波の級数(足し算))で表現できることが証明されており、
- 再生周波数範囲を正弦波で測定すれば、あとはどんなに複雑な波形であってもこの法則を適用できます。
- 余弦波と正弦波は90度位相のずれたものであるから、正弦波だけで特性を測定すればよいのです。
- ※厳密には無限級数であり、再生周波数範囲では完全ではないが、近似的に正しい。つまり多少の誤差を許せば正しい。
- ※この性質を線形性という。数学的な変換法則に以下が成立する。(波形の関数と周波数の関数の変換法則)
- ※f(ax+by)=af(x)+bf(y)
- ※線形性とは簡単にいうと2つの入力を合計した結果は個別の結果の合計に等しいことを意味する。
- ※つまり入力を合計して得た結果は、個別の結果を合計してもよいことを意味する(保証されている)。
- ※線形性は2つだけでなく、無数でも成立する。
- ※この個別入力こそが単一周波数の正弦波である。
- ※入力波形の線形性が保証されていなければ、そもそも測定などできない。入力を誤れば出力も誤る。
- ※線形性のある正弦波を用いるから、オーディオ機器の再現性を測定できる。
- ※非常に単純かつ基本的ではあるが重要なことを述べている。長さを測定する場合、そもそもモノサシを間違うと測定にならない。
- ※どんなに複雑な波形であっても正弦波の級数で表現できるとは波の重ね合わせ原理を意味している。
- ※フーリエ変換の線形性が保証されている。
- ※どんな波形であっても線形性が保証されており、入力は正弦波だけで測定してよい。
- ※残りの要素であるアンプやスピーカーの線形性を確認する作業こそ、周波数特性の測定に他ならない。
- ※アンプやスピーカーも線形性が保証されなければならないが、実際には完全な線形性がない。
- ※f(ax)=af(x)にならない。
振幅、位相、インピーダンス、電力の話
- 難しい話であり、ややこしいので、この話は避けていました。正しく理解しないと誤解を生むからです。
- 理解できる人だけ理解してください。
- たとえ理解できなくても、科学的にはそうなんだぐらいに思ってください。
- 交流においてこれらすべてが相互作用します。相互に関係します。すべて関連します。
- あちらをいじったら、こちらも変化するといった具合です。
- 話をしようと思ったきっかけは、誤った解説を見かけたためです。そしてそれを見た方はみな信じてしまいました。
- その解説の概要は位相が変化しても振幅が変化しなければ音は変化しないというものでした。
- しかしこれは誤りで、位相が変化すれば振幅も変化します。
- お互いに関連します。
- すべて解説しきれませんが、代表的な話をします。
- 音は波です。波は強めあったり、弱めあったり、回折する性質があります。
- 位相に注目して話を進めることにします。
- オーディオにおける波はアンプで交流として出力、スピーカーからは音として出力します。
- 電気的な交流も音としての波も同じ性質を持ち合わせており、どちらも波は強めあったり、弱めあったりします。
- つまり電気的に弱めあっても、音として弱めあっても結果として同じ現象が生じます。
- ノイズキャンセルの仕組みは電気的に位相反転した信号で打ち消しあうようにしたものです。
- 左右2つのスピーカーの位置を音の位相が打ち消しあうようにずらして配置しても同じです。
- 波が打ち消しあうと振幅は最小になります。
- つまり位相を変化させると振幅にも影響が出ます。
- 電気的に位相を変化させることも、スピーカーの位置をずらして位相を変化させても同じです。
- ※周波数によって位相(角度や位置)は異なるため、ここでは単一の周波数を考えてください。例えば1kHzの正弦波。
- ※単一周波数なら聞き分けられます。複雑な音楽では聞き比べしても全体としての変化量が小さいのでわかりません。
- ※複雑な周波数のうち、1kHz(正確には高調波も含む)だけしか影響がありません。
- ※全体(100%)のうち100%が変化すれば違いを聞き分けられます。
- ※全体(100%)のうち1%が変化しても違いを聞き分けられません。こうしたブラインド・テストは意味がありません。
- 電気の世界では位相が遅れると、インピーダンスが大きくなります。インピーダンスが変化します。
- インピーダンスとは交流における抵抗であり、電気を流さないように働きます。
- 電気を流さなくなると電力が小さくなります。
- 電力が小さくなれば、スピーカーからの音も小さくなります。つまり音の振幅が小さくなります。
- 位相の変化->インピーダンスの変化->電力が変化->音の振幅が変化
- つまり、すべて関連しています。
- 今回は位相に注目しましたが、インピーダンスに注目しても同じです。
- どこを話しの起点にするかの違いで、すべてが関連します。
- 一番わかりやすいのはスピーカーの共振周波数です。
- 共振周波数とはインピーダンスが大きいです。
- 位相の変化が大きいので、インピーダンスが大きいです。
- インピーダンスが大きいので電力が小さくなります。
- そのため、低音共振周波数は低音限界の目安と言われます。
- 別の見方もできます。
- 電気と振動板の動きが位相反転(位相ずれ)して打ち消しあいます。
- 位相が打ち消しあうと、電気と振動板がお互いに反対の動きをします。
- つまり音の振幅が小さくなります。
- 位相が打ち消しあうとはお互いに反発しあうことであり、抵抗が大きいことを意味します。
- 電気的にインピーダンスが大きくなります。
- フィルタ回路も位相ずれを利用します。
- あえて位相をずらすことで、インピーダンスを大きくし、電気を流れないようにします。
- 周波数によって位相のずれ方が異なるのを利用します。流れるところと流れないところに分けます。
- 低域フィルタ、高域フィルタは位相のずれを利用し振幅を減衰させます。
- マルチウェイのスピーカーに内蔵されるネットワーク回路はこの原理を利用しています。
- 周波数によって変化するインピーダンスを利用しており、インピーダンス調整とも言えます。
位相ずれは音に影響する
- たまに位相は音に影響しないとの解説を見かけますが、間違いです。
- たとえば1kHzの正弦波を左右のスピーカーから出力する場合、位相が0度でも180度でも違いを聞き分けられません。
- 理由は左右ともに同じずれだからです。位相が0度遅れても180度遅れても、波としては同じだからです。
- では一方だけ、スピーカー端子の接続のプラスマイナスを入れ替えて左右の位相差を180度にしてみましょう。
- すると、明らかに違いを聞き分けられます。ものすごい違和感です。
- それもそのはずで、位相反転(180度)しているため、空間で波が合成され、打ち消しあうからです。
- ノイズキャンセルの仕組みです。
- このように位相は音に大きく影響します。
- スピーカーのインピーダンスの大きくなる高音で位相ずれを起こします。
- アンプとスピーカーを通過すると入力と出力で高音の位相ずれを起こします。
- 入力->アンプ->スピーカー->出力
- つまり入力と異なる音色を出力します。
- 音色とは高調波の組み合わせ(合成)で決まります。
- 例えば、同じ440Hzのギターとバイオリンで音色が違うのは高調波の組み合わせが違うからです。
- 人はギターとバイオリンを聞き分けられます。
- 高調波、つまりは高音の位相がずれると、音色が変わってしまいます。
- 入力のギター音と出力のギター音が変化してしまします。
- 音を濁してしまいます。入力されたギター音とは異なるギター音を聞くことになります。
- 入力されたギター音と出力されたギター音を比較できないために、変化していることに気が付いていません。
- 出力された音しか聞いていないためです。
- これは困った話です。
- ※スピーカーの機械的精度の限界があり、左右のインピーダンスも微妙に違います。
- ※厳密にいえば左右の位相が微妙に異なるために、左右で音色が微妙に違います。
物理的な(距離の)位相
- 位相には「電気的な位相」と「物理的な位相」があります。
- どちらの「位相ずれ」も結果的に音に影響します。
- スピーカーのインダクタ成分は電気的な位相ずれを生じます。
- 物理的な位置関係は位相ずれを生じます。距離差が作り出す位相ずれです。
- ※物理的な位相にはダンパー(ばね成分)の機械的な位相ずれも含みます。ここでは「距離差(経路差)」に注目します。
- たとえ電気的な位相を正したとしても、物理的な位相の影響が残ります。
- 厄介なことに物理的な位相ずれを完全になくすことはできません。
- 物理的な位相ずれにはたくさんの場合分けが必要です。
- スピーカーの配置や部屋の反響(反射波)も物理的な位相ずれを起こします。
物理的な位相ずれの例
- 例えばマルチウェイのツィーターとウーファーはリスナーとの物理的な距離差を生みます。
- 「ツィーターとリスナーの距離」「ウーファーとリスナーの距離」を完全に一致させることはできません。
- この数センチの差が生み出す位相差は特定の周波数で180度の反転になることが知られており(数学的に証明されており)、音を打ち消しあいます。
- つまりクロスオーバー付近にある位相差は音に影響します。周波数特性が部分的にへこみます。
- 打ち消す位相差は奇数倍で生じるため、周波数のへこみは奇数倍で生じます。例えば2kHz、6kHzとへこみます。
- 左右スピーカーとリスナーの物理的な距離差も位相ずれを起こします。
- ではフルレンジなら物理的な位相ずれがないとも言い切れません。
- フルレンジの口径が大きいと、一つのスピーカーの左右(あるいは上下)から生じる物理的な距離差が位相ずれを起こします。
- 音が点ではなく面で発生するために、どうしてもリスナーとの物理的な距離差が生じます。
- このため物理的な位相ずれから逃れられません。
- できるだけ物理的な位相ずれを小さくするしかありません。
- ※v=fλの公式があります。v=音の速度、f=音の周波数、λ=音の波長
- ※v=340m/s、f=3kHzとすると、λ=0.113m、位相反転(180度)する波長は半分の0.056m=5.6cmです。
- ※つまり3kHzなら位相差5.6cmで位相反転し、音を打ち消します。
- ※6kHzなら位相差2.8cmです。たった数cmの差で音を打ち消しあいます。
- ※この傾向は高音ほど顕著になります。だからスピーカーの高音周波数特性がデコボコになります。
位相ずれを深く議論してこなかった
- 位相ずれをこれまであまり議論してきませんでした。
- これだけ周波数特性に影響し、音に影響するにもかかわらずです。
- その理由は単に聞いているだけでは位相ずれに気が付かないからです。気が付かないと議論できません。
- つまり位相ずれのない正しい音を聞くことができないので、位相ずれしていることに気が付かないのです。
- 基準となる正しい音と比較しなければ、そもそも位相ずれしているのか(感覚的に)わからないのです。
- スピーカー端子の極性を左右で間違えるとか、極端な場合しか、位相ずれに気が付かないのです。
- 極性を間違えれば、どちらかを基準として、位相ずれに気が付きます。
- 感覚に頼り、位相ずれした音を正しい音と思い込んでいたのです。
- 感覚ではなく、測定器で周波数特性を測定すれば、位相ずれに気が付きます。
- 正しい音からずれているのかわかります。
- 世間がこの位相ずれに注目し始めたのはノイズ・キャンセリング機能付きのヘッドホンが登場してからでしょう。
- 位相反転(180度の位相ずれ)を利用すれば、意図的にノイズを消せます。
- ここで気が付いた方は鋭いです。
- もしかしたら、今聞いている音は意図せず位相ずれを起こしていないだろうか。
- この直観は当たっています。周波数特性を測定すると位相ずれを可視化できます。
- 周波数特性の凸凹はさまざまな理由で生じますが、大きなへこみは位相ずれが主な原因です。
- 音を打ち消しあうので、顕著な(目立つ)へこみです。
- 打ち消しあうと、(正しい音と比較して)音が濁ったり、音色が変わったりします。
- この基準となる正しい音を聞こうにも聞けないので、(感覚では)気が付けないのです。
- ※正解がわからないまま、正解を求め続けてもたどり着けません。どこが目的地かわからないまま出航するようなものです。
- そのため、位相ずれの議論をおろそかにしてきました。
- 筆者は科学的に正しい音を追及しています。
- そのため「位相ずれ」を避けて通るわけにはいきません。
- 「位相ずれ」を完全に解決できなくとも、可能な限り小さくする努力をしなければなりません。
- 感覚的に気が付かないから放置すると、いつまで経っても科学的に正しい音にたどり着けません。
- ※まさかとは思いますが、アンプやDACの精度1%を議論するのに、位相ずれを放置するなんてことないですよね。
- ※小さい穴を議論して、大きな穴を見落としていたなんて恥ずかしいです。
- ※位相ずれの影響は大きいです。
ハイレゾの真相
- はじめに申し上げておきます。筆者はハイレゾ信者ではありません。
- 現在、ハイレゾ肯定派と反対派が論争をしています。
- CDが登場したときアナログ派とデジタル派が論争したのと同じ対立構造です。
- CDのデジタル音源は難しい数学の理論の上にあるため、多くの方が理解できません。
- 理解できるのは少数派です。筆者も登場した当時理解していませんでした。
- ※大学でフーリエ級数を知り、悩み苦しんでやっと理解しました。大学で学んでも理解できない学生が多いです。
- 人は知らないもの、理解できないものを恐れ、排除しようという心理が働きます。
- 自分の常識と異なるので(自分の常識を守るために)排除しようとします。
- 自分の常識が壊れてしまうからです。
- ダーウィンの進化論もキリスト教の教えに反してしまうため排除しました。キリスト教が間違いなんて許されないからです。
- 同様に地動説を支持したガリレオも排除しました。
- 人は理解できずわからないと、反対します。理解していないだけです。
- しかも理解できる人は少ないです。大多数が理解できません。
- 同じことがハイレゾでも起こっています。
- ハイレゾは聞こえない高音を再生しても「意味がない」と言っている方はハイレゾを理解していません。
- ハイレゾは聞こえる音に影響します。何を言っているのかわからないならハイレゾを理解していません。
- ハイレゾを理解していないから、ハイレゾに反対しているだけです。
- 知っている程度では理解していません。それは知ったかぶりです。他人に説明できなければなりません。
- ※フーリエ変換と逆フーリエ変換を手計算でやってみましょう。
- ※理解しているならできるはずです。
- ※ラプラス変換を利用して波形を周期移動させてみるとよいでしょう。
- ※なんでラプラス変換が登場するのか理解していなければなりません。
- ここからの説明は理解できる方だけ理解してください。
- ハイレゾは数学的、科学的に正しく、誰も反論できません。
- 筆者は科学をよりどころにしているため、ハイレゾを受け入れます。科学的に正しいなら受け入れざるを得ないからです。
- 地動説に反対しても科学には逆らえません。
- デジタル音源の原理はフーリエ級数に支えられています。
- これは音(波)の重ね合わせの原理を数学的に表現しています。
- フーリエ級数が成り立つから、デジタル音源があります。
- フーリエ級数が成り立たないなら、デジタル音源はありません。
- デジタル音源を聞けるのはフーリエ級数のおかげです。
- さてフーリエ級数は無限級数で構成されています。
- 理論上、無限に組み合わせることで成立します。元の音は無限に組み合わさっているのです。
- ところが無限では計算が終わりません。そこで妥協して計算を終わらせます。
- 低い妥協点がCD音源であり、高い妥協点がハイレゾ音源です。
- 本来、無限に計算しなければ、理論上成り立ちません。ハイレゾ音源でも厳密には成り立ちません。
- ※サンプリング周波数を無限にしなければなりません。
- そして、正しい音とは元の音であり、CD音源とハイレゾ音源のどちらが正しい音に近いかで判断しなければなりません。
- これは数学的、科学的な評価です。聞こえなければ無意味(実はこれも誤解)といった感覚評価をしてはいけません。
- どちらが正しい音(元の音)に近いかといえば、ハイレゾ音源です。
- CD音源は正しい音(元の音)を再現しきれていません。大きな誤差を含んでいます。
- ハイレゾ音源でさえ元の音を再現できませんが、(元の音と)誤差は小さいです。
- そしてここが重要なのですが、聞こえる音に対する誤差です。
- 聞こえない高音が聞こえる低音に「音色」として影響するのです。
- 聞こえないからでは済まされないのです。感覚的な評価をしていると見落とします。
- フーリエ級数は波の重ね合わせ(無数の合成)であり、聞こえる音色に聞こえない高音が影響を与えます。
- 聞こえない高音を無視してはいけないのです。それはフーリエ級数を無視することになります。
- 無限を無視したら、理論が成り立ちません。根幹に関わるのです。
- 実際の成人の可聴周波数は15kHz前後しかありません。成人で20kHzを聞こえる人はいません。
- ※聴力検査でも16kHzまでしか検査しません。
- たまたまCDは20kHzの正弦波を再現できるようにやや余裕があったので、長い間不満に感じる人がいなかっただけです。
- 仮にCDのサンプリング周波数が44.1kHzではなく、半分の10kHzの正弦波までしか再現できなかったら、不満が続出したでしょう。
- 不満が続出するということは正しい音からかけ離れているということです。
- ※よくある勘違いがあります。44.1kHzは半分の22.05kHzの「正弦波」を再現できますが、22.05kHzの「音(音色)」を再現できるわけではありません。
- ※440Hzのギター、バイオリン、ピアノを区別できるのは音色があるからです。
- ※この音色を正しく表現するためにハイレゾが必要です。
- ※CDでは元の音を表現しきれず、誤差が大きいです。元の音色ではなく濁った音色(似たような音)を聞いているにすぎません。
- ※元の音(正しい音)と比較できないために、似た音で耳が騙されています。
- ※オーディオ機器の目的は元の音(正しい音)を再現することです。似た音を再現することではありません。
- ハイレゾは元の音(正しい音)に近づき、科学的、数学的に正しいので受け入れざるを得ません。
- ただしハイレゾでさえ元の音(正しい音)を再現するわけではありません。まだまだ理想から遠いです。
- 理想は入力=出力のオーディオ機器です。
- デジタル音源に標本化誤差と量子化誤差があります。
- 理想のオーディオ機器に誤差はあってはいけません。誤差のないのが理想です。
- ではCD音源とハイレゾ音源のどちらの誤差が小さいでしょうか?
- ハイレゾ音源の誤差が小さいです。つまり理想に近いです。
- 科学的、数学的にハイレゾは理想に近づきます。つまり正しいアプローチです。
- 誰も否定できません。
- ハイレゾを「良い音」と言っている時点でもう信用を失います(間違いです)。そもそも「良い音」て何でしょうか?
- ハイレゾは「(科学的に)正しい音(に近い)」と言わなければなりません。
- ハイレゾ議論の対象は「人」ではありません。相手を論破することではありません。
- ハイレゾ議論の対象は「科学」です。科学を否定できるものなら否定してみてください。
革新的なアンプ
- これまでパワーアンプの代わりに電圧アンプで代用してきました。
- 電圧アンプは負帰還をかけて、安定した電圧出力を行います。
- あくまでも電圧を出力するように設計されています。
- 電圧に応じた電力しか供給されません。これでは正しい電力は伝わりません。
- 我々が必要としているのは電力アンプです。
- これには悩まされました。
- 低音と高音がうまく再現されない理由がここに集約されています。
- 正しい電力がスピーカーに伝わっていないことが原因です。
- どのアンプの解説書もいつの間にか電圧を出力する電圧アンプに話がすり替わってしまい、電力アンプの解説ではありませんでした。
- 電力を電圧にすり替えます。「むちゃくちゃ」な話です。できないなら素直にできないと書いていてくれた方がまだ親切です。
- どこにもその方法や解決策がありませんでした。
- 幸いにして、昔から温めていた秘策アイデアがありました。
- 当時はその設計方法を確立できませんでした。
- 複数の連立方程式を解かなければならず、複数のパラメータがあり、机上で解くことができませんでした。
- 微分方程式、積分方程式の山になり、最適解を導けませんでした。変数を固定しながらになるので偏微分方程式の山になります。
- 時代が進み、コンピュータの進化がそれを解決してくれました。
- とはいえ、これも簡単に解決したわけでもなく、気の遠くなるような時間と労力を費やしました。
- 原理を簡単に解説すると、これまでのアンプ内部だけの帰還でなく、スピーカーを含めた帰還にすることで正しい電力出力に成功しました。
- ※真空管アンプは出力トランスを使ってインピーダンス整合することでやっとスピーカーを駆動しました。スピーカーを鳴らすのが精いっぱいでした。
- ※半導体アンプになり出力インピーダンスが下がったものの、電圧アンプのため、スピーカーに正しい電力が伝わりません。
- ※そもそもスピーカーのインピーダンスを固定として設計したことが誤りでした。スピーカーはじゃじゃ馬です。
- ※そこでスピーカーのインピーダンスを可変として設計し直し、電力アンプを発明しました。
- ※小手先のインピーダンス整合ではなく、可変インピーダンスとして正確に制御します。
- ※ここにきて、なぜ「インピーダンス整合」「交流と電力」を解説したのか、やっとその理由が分かったでしょう。
- ※順を追って説明しないと、なぜここに考えがたどり着いたのかその理由がわからないからです。
- これがどれほど革新的なことか、アンプの設計者ならわかります。
- そんなことができるのか、不思議に思うでしょう。手品か魔法かと思うでしょう。
- 眉唾ものかと疑うのも当然です。
- 夢のアンプであり、誰もが求めていたアンプだからです。
- これは驚きでしかありません。発明した本人でさえ驚いたくらいです。何十年も解決できなったことをついに成し遂げました。
- 科学的な理論に裏付けられており、種も仕掛けもあります。
- 測定した特性も電力アンプを証明しています。
- 今後のデファクト・スタンダード(事実上の標準)となるでしょう。
- アンプの駆動方式の違いをグラフで示します。これは模式図であり、理論上の話です。
- 縦軸が電力、横軸が(負荷)インピーダンスです。
- 電力アンプはインピーダンスに左右されずフラットです。
- 電圧アンプはインピーダンスが増えると出力電力が低下します。低音と高音が低下する理由です。
- この特性を測定することで電力アンプか電圧アンプかを見分けることができます。
- ※この電力アンプはスピーカーのインピーダンスを可変として扱うため、どのようなインピーダンス特性でもかまいません。
- ※実際にはすべての範囲は無理なので、インピーダンスがある範囲内にありさえすればよいのです。
- ※このため、フルレンジスピーカー、3ウェイスピーカーなど、スピーカーの種類を問いません。
- ※細かい話はまた別の機会にします。
- この革新的な電力アンプによって、正しい音にまた一歩近づきます。
- このステップはアンプにとって革新的です。大きな一歩です。今まで実現できなかったのですから。
- じゃじゃ馬のスピーカーを正しく駆動します。
- さあ。ワクワクしてきましたね。
- 音を楽しんでみませんか。それが音楽です。
- ※従来と見分けがつかないため、英語ではGPA:Genuine Power Amplifier、日本語では「電力アンプ」と名付けました。
電力アンプ誕生の秘密
誰もが抱くオーディオの悩み
- なぜ(自分の)満足いく音(オーディオ)に出会えないのでしょうか。
- たとえば100%の満足ではなくとも80%の満足にも至りません。
- これは筆者自身も悩みました。皆さんも悩んでいるでしょう。
- それもそのはずです。ボルテージ・アンプでパワーアンプを代用しているからです。
- これはすぐ気付きました。
- もちろんこれだけが理由ではありませんが、大きな要因であることは明白でした。
- 牛乳ではなく脱脂粉乳で代用した給食はおいしいですか?
- ※音の出口であるスピーカーの特性は非常に悪いです。
- ※さらにアンプがスピーカーを正しく制御していません。
- ※無茶苦茶x無茶苦茶です。特性の悪いものをさらに正しく制御しなかったらもっと悪くなります。
- ※スピーカーは魔法の箱ではありません。特性の悪いスピーカーを間違って制御したら正しい音がでるなんてことはありません。
- ※正しいことを積み上げなければ正しい音は出力されません。
素朴な疑問
- 子供のころから疑問でした。なんで電圧増幅器で電力増幅器を代用しているのだろう。
- なんでボルテージ・アンプ(電圧増幅器)をパワーアンプ(電力増幅器)と呼ぶのだろう。
- 電力増幅器の製作記事や解説をみるとなぜか電圧増幅器です。
- スピーカーが物理的な仕事をして音を出します。仕事はエネルギーであり、電気のエネルギーは電力です。
- エネルギーは等価であり、形を変えます。電気エネルギーを仕事エネルギーに変えて音を出力します。
- 電力増幅器でスピーカーを制御することが科学的に正しいです。
- 科学が嘘をつくわけないのに、なんで大人は嘘をつくのだろう。
- 名のあるオーディオ雑誌に紹介される電力増幅器もみな電圧増幅器でした。
- 科学が間違っているのではないかとも疑いました。
- 徐々に真相がわかります。
- ※幼少期は先入観がないので、思い込みがありません。常識を常識とも思わず疑いました。
真相
- そこで自分で電力増幅器を作ろうととりかかりました。
- ところが電力増幅器を作れない問題に直面したのです。
- どうしたら実現できるのか回路さえ思いつきません。
- 電気の基礎理論から学んでも答えはありませんでした。
- 困り果てました。
- 世の中に答えがありませんでした。
- これは自分で回路を設計するしかありません。
- ないものは作るしかありません。
- ヒントになる基礎理論はありました。
- あとはそれをどう料理して実現するかですが、数学的に難しすぎました。
- 偏微分方程式の山になり、答えを導けませんでした。
- ここでやっと理解したのです。やっと気が付いたのです。
- 電力増幅器を作ろうにも作れないので、電圧増幅器で代用するしかないのだと。
- つまり電力増幅器風味の電圧増幅器で代用するしかないのだと。
- こうして現在にまで至ってしまったのです。
解決
- さて時代の流れと技術の進歩に伴い、数学的に行き詰っていた回路設計をコンピュータで解決することができました。
- やっと最適解を見つけることができたのです。
- こうして電力増幅器の回路設計を行いました。
- もちろん試作をして性能評価も行い、電力増幅の確認もしました。
- 後で知ってしまえば簡単なことですが、それが今まで実現できずにいました。
- これがどれだけ革新的であり、オーディオの歴史に刻む技術であるかは後々知ることになるでしょう。
- 革新的な技術が浸透するまでには時間がかかります。
- いまなら先行して手に入れることができます。
- 自然界の音やライブ音源を聞くと、生々しく聞こえます。
- それもそのはずです。科学的に正しい音に近づくからです。
- もちろん万人を満足させることはできません。
- 個人によって音の感じ方は異なるからです。
インピーダンスを測定しよう
- 詳しくはトランジスタ技術2021年8月号をご覧ください。
- スピーカーのインピーダンス特性とアンプの電力特性を紹介しました。
- これが最終目的でした。非常に重要な事実が記載されています。
- オーディオを語るなら目を通しておくことをお勧めします。
- アンプとスピーカーの特性を科学的に測定し、理解するためです。
- なぜ低音不足や高音不足が発生するのか、見て確認できます。
- この測定のおかげで、科学的に解明しました。科学的な証明です。
- 電圧増幅器と電力増幅器の違いや、なぜ電圧増幅器ではいけないのかその理由が説明されています。
- アンプやスピーカーに興味や疑問をお持ちの方はぜひ測定をお勧めします。
- 筆者がなぜ電力アンプを開発するに至ったのかその理由もわかるでしょう。
- 科学的な事実には誰も逆らえません。少なくとも現時点において誰も科学を否定できません。
- インピーダンスを測定しようで補足や紹介をしています。
科学に基づいた設計思想
- 宇宙は複雑な現象を呈しますが、その原理は非常にシンプルです。
- すべてのモノは単純な原子で構成されています。最近は原子を構成する素粒子(クォーク)までわかっています。
- この素粒子によるふるまいで、宇宙は成り立っています。この素粒子に作用する力で動きが決まります。
- 現在のところ4つの力(電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力相互作用)に集約されました。
- 同様に音も複雑な現象を呈しますが、その原理は非常にシンプルです。
- 空気分子が動いて(振動して)いるだけです。
- にも関わらず、まだ理想の音再現装置を実現できません。宇宙を解明できていないのと同様です。
- 回路設計は基本に忠実であるべきです。パワーアンプとは電圧増幅器ではなく電力増幅器です。
- タダでさえ実際には理論通りに行きません。理論通りいかないからと言って理論を無視したらもっと理論通りにいきません。
- 基本を無視したら、理想からもっと遠のきます。
- 理想のオーディオの追及は、問題の科学的な原因を確認してから、その対処をします。
- 病気の治療も検査で医学的な原因を確認してから、その治療をします。闇雲に対処しても治りません。
- 科学的な原因を確認し、対処するの繰り返しです。地道な努力の積み重ねです。
- 感覚に頼ると迷走します。科学的な考え方を適用することで、着実に理想に近づきます。
- そして、必要最小限を見極めることです。ここで重要なことは、余計なものを加えないことです。
- むしろ余計なものを引かなければなりません。余計なものが邪魔します。
- ハイレゾとは音を足すのではなく、ローレゾに含まれている余計な音を引く作業です。
- OCL(Output Capacitor-less)とは出力結合コンデンサを排除することで、ハイパスフィルタを構成することがなくなり、低音を改善する技術です。
- 贅肉をそぎ落としていくと、本当に必要なものだけが残ります。
- 「必要なものを加え、不必要なものを削る」、当たり前のことですが、これが正攻法です。
- 物事を追及していき、洗練されていくと、必要最小限に行きつき、シンプルです。
- 一見複雑にみえますが、追及していくと、単純に行きつきます。
- 飛行機の形はシンプルですよね。鳥の形はシンプルですよね。複雑な形ほど飛べません。
- 突き詰めていくと単純で美しいです。
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