ヘッドホンアンプ、モデルGPA-BTL
- 2018-04-10 初版
- 2018-08-13 第2版 イヤーパッド交換
- 2019-09-21 第3版 出力電力特性
- 2020-03-20 第4版 インピーダンスと電力測定動画
ヘッドホンアンプGPA-BTLとは
- 「音」を「楽しむ」と書いて「音楽」です。
- 音を楽しんでいただくために、電力増幅器が必要です。
- ヘッドホンアンプGPA-BTLで実現したかったこと、それは「電力増幅」です。
- この一言に尽きます。正確にいえば、精度の高い電力増幅です。
- いまさらと思われるかもしれませんが、現在、ボルテージ・アンプ(電圧増幅器)がパワーアンプ(電力増幅器)の代用として販売されています。
- ヘッドホンアンプGPA-BTLは電力増幅器です。
- パワーアンプと呼べるのは電力増幅器だけです。
- 詳しくは▼アンプの見分け方をご覧ください。
- 従来の音の延長線上を求めている方には向かないかもしれません。
- 科学的に正しい音を追求する方、先進的な方、先入観のない方、次世代を担う方に向いています。
- モデルGPA-BTLはヘッドホンとバランス接続します。バランス接続することでクロストークを軽減します。
- さらに出力電力を稼ぐため、バランス駆動します。
- 高い精度の電力増幅、クロストークの改善、周波数特性の改善、応答速度の改善などを実現しました。
- 横軸はインピーダンスで縦軸は出力電力です。
- 理想はフラットです。理想に近いことがわかります。
- 電圧増幅器ではこのようになりません。
- このグラフはたとえインピーダンスが周波数で変動しても正しい電力を出力することを意味します。
- 正しい電力が出力されると正しい音色に近づきます。
- 例えば、SONY MDR-XD150の公称インピーダンスは30Ωですが、実際には48Ωまで変動します。
- 30Ωから48Ωまで変動しても、入力電圧が一定なら、出力電力が変動しません。
- もちろん入力電圧に応じて出力電力は変化します。
- 実際にMDR-XD150を接続したときの出力電力特性を計測しました。
- インピーダンスが変動しても出力電力がほとんど変動しません。
- 電圧増幅器ではこのようになりません。
- ※OCLも機能しており、低音の低下もありません。
- ※10kHz付近の電力低下は測定器の影響です。サンプリング周波数が48kHzのため正弦波の精度が落ちるためです。
インピーダンスと電力測定動画(電圧増幅器)
インピーダンスと電力測定動画(電力増幅器)
仕様
オーディオ入力端子 | 3.5mm(3極アンバランス) |
オーディオ出力端子 | 3.5mm(4極バランス) |
最大出力電力 | 30mW+30mW |
周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
適合公称インピーダンス | 24Ωから32Ω |
入力インピーダンス | 47kΩ(ライン入力) |
入力基準電圧 | 1Vrms |
サイズ(幅x高さx奥行) | 115x20x80mm(突起部を含まず) |
重量 | 160g(電池含まず) |
電源 | 単4x4本、アルカリ電池orニッケル水素電池 |
消費電流 | 28mA |
※ご注意
- 仕様は予告なく変更されることがあります。
- バランス接続のヘッドホンのみ接続できます。。
- アンバランス接続のヘッドホンには接続できません。
ヘッドホン本来の性能を引き出すLIIE搭載
- 電圧増幅器ではなく電力増幅器を実現しました。
- ヘッドホンのインピーダンス変動による影響を最小限に抑え、低音と高音を再現します。
- ヘッドホンの個性が現れます。LIIEによって電力増幅を実現します。
- ※LIIE:Load Impedance Independent Engine
バランス接続とBTL駆動
- クロストークを改善するため、バランス接続します。
- アンバランス接続は3線接続でコストダウンできますが、クロストークの発生という弱点があります。
- さらに出力電力を稼ぐため、BTL駆動します。
- ※BTL=Bridged Tied Load=Bridged Transformer Less=Balanced Transformer Less
左右分離設計
- せっかくバランス接続しても、アンプ内部でクロストークしては意味がありません。
- 例えば、2回路入りオペアンプで左右を増幅するとオペアンプ内部でクロストークします。
- そこで、アンプ内部も左右分離設計します。
- 左は左専用のオペアンプだけを使用し、右は右専用のオペアンプだけを使用します。
- これにより左右のクロストークをアンプ内部でも低減します。
高出力オペアンプを採用
- 最終段には高出力オペアンプを採用し、十分な駆動を可能としました。
- そのため、オペアンプの交換はできません。
公称インピーダンスは24Ωから32Ω
- 使用できるヘッドホンの公称インピーダンスは24Ωから32Ωです。
- この公称インピーダンスに対して最適化しています。
- これ以外の公称インピーダンスでは性能を発揮できません。
アルカリ電池かニッケル水素電池
- 電源は単4x4本です。
- なお、使用しているオペアンプはすべて±2Vから動作保証されています。
- ※電池寿命=700mAh÷消費電流28mA=25時間
OCL
- 片電源方式の場合、出力部にカップリング・コンデンサを必要とし、負荷インピーダンスとCRハイパス・フィルタを構成します。
- ハイパス・フィルタですから、低音がカットされます。
- そこで出力のカップリング・コンデンサを排除し、低音を改善します。
- ※OCL=Output Capacitor-less Technology
- ※念のため解説すると入力のカップリング・コンデンサを排除しても意味がありません。出力側を排除するから意味があります。
ボリューム排除
- 左右バランスを崩す、ギャングエラーのある機械式ボリュームも排除しました。
- ボリュームは再生装置側で行います。
SONY MDR-XD150のバランス化
- バランス接続のヘッドホンはまだ少ないため、MDR-XD150をバランス接続に改造します。
- MDR-XD150のケーブルは分離されており、プラグ部分のみ変更すればバランス接続になります。
- 3.5mm4極のプラグ(MP-435)に変更します。
- 下記の写真を参考にしてください。
- L+
- R+
- R-
- L-
MDR-XD150の仕様
形式 | 密閉ダイナミック型 |
ドライバーユニット | 口径40mm |
感度 | 100dB/mW |
マグネット | ネオジウム |
再生周波数帯域 | 12Hz〜22,000Hz |
インピーダンス | 30Ω(1kHz) |
最大入力 | 1000mW |
コード長 | 2.0m |
入力プラグ | 金メッキL型ステレオミニプラグ |
重量 | 約160g |
- プラスチックを多用してコストダウンを図っていますが、ドライバーユニットだけは手を抜いていません。
- 強力なネオジウムと大型口径で典型的なヘッドホンです。
- 耳に当たらない形状のため疲れません。
- イヤーパット部分はビニール製で溶剤に弱いです。整髪料などで破れます。
- 密閉度はあまりありません。できればイヤーパットを交換するとよいでしょう。
- GPA-BTLと組み合わせると、低音が正しく駆動されます。本来の音の力強さ、迫力を感じます。
- ライブ音源は生々しいです。
- ヘッドホンアンプの方が性能を上回ってしまい、再生装置側の粗が目立ちます。
イヤーパッド交換
- せっかくバランス化したMDR-XD150ですが、イヤーパッドのスポンジが割けはじめました。
- 買い替えてもよいのですが、またバランス化しなければなりません。
- そこでイヤーパッドを交換しました。
- MDR-XD150に適合するか不明でしたが、送料込みで\390とダメ元でイヤーパッドを入手しました。
- 外形95mmであり、概ね大きさは合います。
- イヤーパッドは溝にハマっているだけです。
- 古いイヤーパッドを外し、交換するだけです。
- みごとに生まれ変わりました。柔らかい合成革のため、遮音性が向上しました。
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