パワーアンプ、モデルGPA1DC
- 2018-03-21 初版
- 2019-10-16 出力電力特性
パワーアンプGPA1DCとは
- パワーアンプGPA1DCで実現したかったこと、それは「電力増幅」です。
- この一言に尽きます。正確にいえば、精度の高い電力増幅です。
- いまさらと思われるかもしれませんが、現在、ボルテージ・アンプ(電圧増幅器)がパワーアンプ(電力増幅器)の代用として販売されています。
- パワーアンプGPA1DCは電力増幅器です。
- パワーアンプと呼べるのは電力増幅器だけです。
- 詳しくは▼アンプの見分け方をご覧ください。
- 従来の音の延長線上を求めている方には向かないかもしれません。
- 科学的に正しい音を追求する方、先進的な方、先入観のない方、次世代を担う方に向いています。
- 視聴は入門用電力アンプAD00026をお試しください。
- モデルGPA1DCはさらに高性能化、高精度化しました。
- 高い精度の電力増幅、分離度の改善、周波数特性の改善、応答速度の改善などを実現しました。
- 横軸はインピーダンスで縦軸は出力電力です。
- 理想はフラットです。理想に近いことがわかります。
- 電圧増幅器ではこのようになりません。
測定器の開発
- 少し時間があいてしまいました。
- 実は測定器を開発していました。これについては別の機会に紹介します。
- アンプはスピーカーに正しい電力を伝えなければなりません。電圧ではありません。
- アンプの性能はなぜかダミー抵抗を接続して測定します。
- アンプはスピーカーに接続して使います。ダミー抵抗ではありません。
- ですからアンプをスピーカーに接続したまま、出力電力を測定しなければ意味がありません。当たり前ですよね。
- そして正しい電力が伝えられなければ、正しい音はでません。当たり前ですよね。
- スピーカーに間違った電力を入力して、正しい音が出力されるわけありません。スピーカーは手品(魔法?)の箱ではありません。
- そこで、アンプとスピーカーを接続したまま出力電力を測定する機器を開発しました。
- 科学的な検証のために測定器が必要です。
- 電圧増幅器(ボルテージ・アンプ)と電力増幅器(パワー・アンプ)の違いをご覧にいれます。
- 使用したスピーカーはどれもP1000Kです。
- 横軸は周波数、縦軸は電力(dB換算)です。
電圧増幅器(ボルテージ・アンプ)
- 電圧増幅器(ボルテージ・アンプ)の出力電力特性です。
- 理想はフラットです。
- スピーカーのインピーダンスに影響され、低音と高音で低下しています。
- 正しい電力が伝わっていません。
電力増幅器(AD00026)
- 入門用の電力増幅器(AD00026)の出力電力特性です。
- 理想はフラットです。
- 電圧増幅器に比べたらかなり抑え込めていますが、完全ではありません。
電力増幅器(GPA1DC)
- そこで精度を上げた電力増幅器(GPA1DC)の出力電力特性です。
- 理想はフラットです。
- ほぼフラットです。精度が向上しています。
- どの周波数であっても正しい電力がスピーカーに伝わります。
- なお、GPA1DCは特定のスピーカーに特化して補正しているわけではありません。
- 特性の異なるスピーカーであってもほぼフラットになります。
- もちろん最低限の条件はあります。むちゃくちゃなスピーカーでは困ります。
- そんなことできるのかと疑問に思うかもしれませんが、それを実現しました。
- このグラフが物語っています。
特徴
- 電圧増幅器ではなく電力増幅器であるため、動作原理が違います。
- スピーカーの公称インピーダンスに合わせて最適に動作します。
- 電源投入時のポップノイズ回避回路も搭載しています。
- デュアル電源方式です。
ご注意
- 回路図は著作権で保護されています。
- 仕様は予告なく変更されることがあります。
仕様
オーディオ入力端子 | RCA |
スピーカー端子 | バナナプラグ対応 |
最大出力電力 | 1W+1W(8Ω時) |
周波数帯域 | 20〜20kHz |
適合公称インピーダンス | 8Ω |
ボリューム | 電子ボリューム(dB単位) |
入力インピーダンス | 50kΩ(ライン入力) |
入力基準電圧 | 1Vrms |
サイズ(幅x高さx奥行) | 89x40x130mm(突起部を含まず) |
重量 | 0.6kg |
電源 | DC12V(1A) x2 |
付属品 | ACアダプタx2 |
※ご注意
- 過度な入力電圧を加えないでください。故障します。
- デジタル機器によっては電圧基準が2Vrmsです。
原則として受注を受け付けていません。
- どうしても希望の方は支払い可能な金額の提示のうえ、問い合わせください。
- 諸条件(納得の金額、時間の確保、部品の入手状況、納期など)をクリアできたときのみ、ご連絡します。
- 問い合わせが多いのですが原則として連絡しません。冷やかしはご遠慮ください。
位相補正の併用
- 位相補正の併用をお勧めします。
- この電力アンプだけでもまだ不十分です。
- 電力アンプと位相補正を併用することで正しい音に近づきます。
- これまで位相について深く議論してきませんでした。忘れ去られています。
- 位相とはなんなのか、位相補正とはなんなのかはこちらで解説しています。
デュアル電源
- GPA1DCは2つの電源方式です。
- 一般的な単電源アンプは音声である交流を増幅できないため、内部で中間電圧(DCバイアス)を生成します。
- この中間的なDC電圧を出力時にカットする必要があるため、コンデンサを必要とします。
- このコンデンサとスピーカーによって形成されるハイパス・フィルタ(高音を通すが低音を通さないフィルタ)が低音を損ないます。
- そこで2つの電源を使い、中間電圧を取っ払って出力コンデンサを取り除きます。
- これによって、ハイパス・フィルタを構成することがないため、低音が損なわれません。
- この技術をOCL:Output Capacitor-Lessと呼びます。
- こうした贅沢な設計はコスト高になるため、見かけたことがないでしょう。
ワット数と部屋の大きさの関係
- 音量は出力電力(ワット数)に比例します。
- 音量は距離の2乗に反比例します。
- これは科学的な事実です。これを知っていると便利です。
- スピーカーの能力は一般的に90dB/W/m前後です。この意味は1W入力で1mの位置で90dBの音量を出力します。
- 0.5Wなら1/2(=-3dB)の音量となり、1mの位置で87dBの音量です。
- 1Wで2mの位置なら1/4(=-6dB)で84dBの音量です。
- ※実際には壁の反射音などもありますが無視します。
- 部屋の大きさで考えてみます。畳の規格によって微妙に異なるのですが江戸間とします。
- 6畳=2.61mx3.52m、最長は3.52m=減衰量(-11dB)、1Wなら79dBの音量です。
- 8畳=3.52mx3.52m、最長は3.52m=減衰量(-11dB)、1Wなら79dBの音量です。
- 12畳=3.52mx5.22m、最長は5.22m=減衰量(-14.3dB)、1Wなら75.7dBの音量です。
- サイクロン掃除機の騒音が65dB前後です。うるさいですよね。住宅地やマンションであれば騒音問題になるレベルです。
- 一時的な利用だから許容されます。一日中サイクロン掃除機を使ったら騒音問題になります。
- 環境庁による騒音の(住宅地)基準値は次の通りです。
- 昼間(午前6時から午後10時):55dB以下
- 夜間(午後10時から午前6時):45dB以下
- スピーカーの音量75.7dBから79dBとは十分大きな音量です。うるさいレベルです。
- つまり12畳以下の部屋であれば、最大出力1Wのアンプで十分です。
- アンプにパワー計がついていないので1Wの音量を経験したことがない方が多いようです。
- 20畳など大きな部屋なら最大出力10Wのアンプを必要とするでしょう。
デシベルdB
- オーディオの基礎知識であるデシベルのおさらいをします。
- 音は空間へ三次元的に広がるため、音量は距離の2乗に反比例して小さくなります。
- そのため、幅広く変化します。例えば1倍から1/1,000,000倍など変化します。
- そして自然界にある音を我々は聞き分けています。
- 例えばサイレンの音が小さければ遠くから、大きければ近くからと判断しています。
- 大雑把ではありますが、音の大きさから距離を判断しています。
- そのため、この距離に換算して音量を比例的に感じる性質があります。
- 自然界を生き抜く中でそのように耳が進化してきたとも言えます。ライオンの鳴き声が近くですれば逃げます。
- こうした耳の特性をもった人が生き残ってきました。
- そこで何倍ではなく、対数のデシベルに換算すると、人の感覚と近くなります。
- ワットの場合、デシベル=10xlog(倍数)です。対数の底は10です。
- 音量の場合、デシベル=20xlog(倍数)です。対数の底は10です。
- ※電気の世界では複数のデシベル単位が定義されています。dBmなど。目的に応じたデシベル単位を使う必要があります。
- 10xlog(1/2)=-3dB、10xlog(1/4)=-6dB
- デシベルで考えると、足し算や引き算になり、人の感覚と近いです。
- 90dB-3dB=87dB、90dB-6dB=84dB
ボリュームについて
- GPA1DCは2連ボリュームを廃止しました。
- 機械式ボリュームにギャング・エラー(左右誤差)があります。
- 機械式ボリュームでは機械精度の問題で避けられません。
- 特に小音量で誤差が大きいため、半分以上のボリューム位置で利用することが理想です。
- 大は小を兼ねるといいますが、必ずしも最適とはいえません。
- 例えば、10Wのアンプで0.5W出力と、1Wのアンプで0.5Wの出力ではギャング・エラーの影響が異なります。
- 小さいボリューム位置ほどギャング・エラーが大きいです。つまり10Wアンプの方が不利です。
- 使用する部屋の大きさに最適なアンプのワット数を選択しましょう。
- 大が小を兼ねるなら、乗用車はすべてバスになっているでしょう。
- 1人しか乗らないのに、バスは滑稽です。
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