電波は何故とぶ?
はじめに
- なかなか電波のわかりやすい説明をみかけません。
- そこで子供向けに、電波の仕組みをわかりやすく解説します。
- 厳密ではありませんが、大雑把にその原理を解説します。
- 現時点の科学理論です。現時点では電波をこう解釈し理解します。
- ※理論は見直される可能性もあり、未来永劫、同じ解釈をするとは限りません。
- 細かい法則の解説は省略します。数式も使いません。
- 少し難しい話をしますが、今わからなくても、将来数学や物理を勉強したときにもう一度見返してみましょう。
- 電波とは電磁波の一種です。
- 3kHz(キロヘルツ)から3THz(テラヘルツ)の周波数範囲を「電波」と呼びます。
- これ以上の周波数の電磁波を「光」と呼びます。
- 電波も光も同じ電磁波です。
- 周波数で呼び方を変えているだけです。
- 光には赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線があります。
著作権と免責事項
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前提事項
- 前提事項があります。
- 電気が流れると磁場を発生します。これを「右ねじの法則」と呼びます。
- 磁気が変化すると電気を発生します。これを「電磁誘導の法則」と呼びます。
- 電気と磁気は相互に関係します。
- なぜ電気と磁気が存在するのかは科学的にわかっていません。
- なぜ電気と磁気が相互に関係するのかは科学的にわかっていません。
- ※数学的な理論は構築されていますが、なぜ電気と磁気が存在するのかは証明されていません。
- ※現在4つの力に集約されており、その一つが電磁相互作用です。
- ※電磁相互作用がなぜあるのかわかっていません。
- これは「なぜ宇宙が存在するのか」と同じ疑問(同意語)です。現在のところ答えはありません。
- 将来、科学的に解明されることを期待しています。
- 理由はわかりませんが、電気と磁気が存在し、相互に関係することを前提にします。
- ここでは電気と磁気がなぜ存在するのかは問わないことにします。
- これらは「存在する」ものとして話を進めます。
- わからないことをわからないと明記することは重要です。
- こうした説明を見かけません。
電場(電界)と磁場(磁界)
- 電気の例は静電気です。
- 磁気の例は磁石です。
- 電気の正と負は引き合います。正と正は反発します。
- 磁気のNとSは引き合います。NとNは反発します。
- 電場(あるいは電界)とは電気の作用が及ぶ空間です。
- 磁場(あるいは磁界)とは磁気の作用が及ぶ空間です。
- どちらも力の及ぶ空間です。
- 電気も磁気も目に見えません。
- そこで仮想的に矢印の曲線を使って、表現することにします。
- 矢印で見える化(視覚化)します。
- 電気は正電荷(プラス)から負電荷(マイナス)に向かうと決めました。これを電気力線(でんきりきせん)と呼びます。
- 磁気はN極からS極に向かうと決めました。これを磁力線(じりょくせん)と呼びます。
- 電気力線や磁力線を指力線と呼びます。
- ※見えない作用を示す「気」を使い「電気」「磁気」という言葉を編み出した先人の知恵には感嘆します。
- ※磁石の周りに方位磁石をおくと磁力線の様子が見えます。砂鉄をまいても様子が見えます。
「右ねじの法則」と「電磁誘導の法則」
- 電気が流れると周りに磁界を発生させます。
- 磁気が変化するとそれを妨げる向きに電気を発生します。
- 正確には「磁気が変化すると電気を発生する」ことを「電磁誘導」と呼び、「妨げる向きに働く」ことを「レンツの法則」と呼びます。
- つまり電磁誘導はレンツの法則を含んでいます。
- ※真空あるいはそれに近い空気において、実際に電気が流れる(電荷が移動する)必要はありません。
- ※電界や磁界という「場」「作用の及ぶ空間」が形成されます。
コンデンサの電界
- 平らな導電体の板を平行に並べると電荷同士が引き合うため、電気を蓄えます。
- これをコンデンサと呼びます。
- コンデンサ中の電気力線はほぼまっすぐです。コンデンサの外側に電気力線はほとんど漏れません。
- コンデンサを開くと電気力線が漏れます。
- つまり空間に広がります。これが電波を理解するためのはじめの一歩です。
- ※英語ではキャパシタ(capacitor)と呼びます。日本ではドイツ語由来のコンデンサ(kondensator)が外来語として広まりました。
- ※英語のコンデンサ(condenser)は熱交換器です。別物を意味します。
- ※当時、(世界的に)科学者の間でドイツ語を使うのが流行りでした。真空管のカソードを意味するKもドイツ語のKathodeに由来します。
電磁波の発生
- 開いたコンデンサをさらに棒状にします。これをダイポール・アンテナと呼びます。
- dipole:双極子、対をなしているもの
- そして交流を加えます。つまり一定間隔で電流の向きを変えます。
- すると不思議な現象が発生します。
- 棒に電気が流れると(電荷が移動すると)、右ねじの法則で(円状の)磁界を発生します。
- ※この図はたまたま上向きの電流が流れています。時間とともに電流の向きが変わります。
- すると今度は電磁誘導の法則で磁界を妨げる向きに(円状の)電界が発生します。
- 誤解しないでほしいのは磁界と電界が交互に発生するのではなく、同時に発生します。
- 磁界と電界が直角の関係(直交)で、同時に変化します。相互に関係します。
- さらに電界は電気が実際に流れているわけではありません。場を作るだけです。
- こうして磁界と電界が相互作用を繰り返し、空間に広がっていきます。
- 磁界と電界が連鎖反応を引き起こします。
- これが電磁波です。
- ※たまたま一方向(平面でカット、二次元モデル)しか書いていませんが、実際にはドーナツ状(3次元の空間)に広がっていきます。
- ※左右に広がっていきます。
- ※頭の中で3次元を想像してください。
- 逆に電磁波を空間に漏れないようにしたのがトランスです。
まとめ
- このように電磁波とは電気と磁気が連続反応(連鎖反応)する現象です。
- そのため、電波とは電気でもあり、磁気でもあります。
- なんとも不思議な現象です。
- すでにお気づきと思いますが、直流では電波は発生しません。
- 磁気が変化しないため、電磁誘導が起こらないからです。
- 電気と磁気は切っても切れない関係にあります。
- そこには様々な法則がありますが、微分積分を使いこなせないと理解できません。
- さらに量子力学の世界にまで足を突っ込むことになります。
- 今は理解できなくとも、将来見返したとき何を言っているのかわかるでしょう。
- 19世紀から20世紀(1800年代から1900年代)になって電磁気学が発展し、理論が形成されました。
- ランプから電球に切り替わったのもこのころです。電気の利用が本格化しました。
- 古くから電気や磁気は現象として確認されていましたが、不思議なものでしかなく得体のしれないものでした。
- この不思議なものに科学者は魅了されて研究を進めました。
- 電気や磁気を研究していくと原子の構造がわかってきました。原子と電気や磁気は深い関係にあります。
- 電気や磁気の利用は火の利用の次に人類にとって大きな変革をもたらしました。
- ※ペリーが来航したのは1853年です。ランプに鯨油が使われていました。捕鯨のために開港を迫ったのです。
- ※その後、原油の採掘が盛んになり、捕鯨は衰退しました。
- ※エジソンは電気を売るために、家庭に電球を普及させました。
- ※電気を消費する電球が増えれば、おのずと電気が売れます。だから家庭に必要な電球に注目したのです。
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