LV-1.0 アンプ性能評価
はじめに
- LV-1.0は高解像度デジタル処理を搭載したD級アンプです。
- その実力を検証してみます。
著作権と免責事項
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
- 仕様は予告なく変更されることがあります。
音の良し悪しについて
- 評価にあたり、少し脱線します。しかし重要なことですので記述します。
- 音の良し悪しは人の「感覚」「感性」「好み」で決まります。
- Aさんは良い音だといいますが、Bさんにとって悪い音かもしれません。
- 逆もあります。
- 赤い色が好きな人がいれば、赤い色が嫌いな人もいます。
- 同様にロックが好きな人がいれば、嫌いな人もいます。演歌、ポップス、ジャズ、クラシックなど人の好みは様々です。
- 高音まで良く出るアンプを澄み切ってよいと判断する人もいれば、高音がキンキンしてうるさいと感じる人もいます。
- 低音を不愉快と感じる人もいます(高電圧送電線近くで騒音問題になっています)。
- 個人によって、耳の特性も異なります。
- つまり、個人によって音の良し悪しはまったく異なる評価になります。
- ノイズでさえも良し悪しの判断が分かれることがあります。
- 極端な例になりますが、レコード独特のプチプチノイズを懐かしくて良いと感じる人もいます。
- 「感覚」「感性」「好み」でしか音の良し悪しを判断することができないため、絶対的な評価も相対的な評価もできません。
- どんなにアンプの周波数特性が良くても、それを好きな人と嫌いな人がいます。
- 万人がよいと判断、評価するアンプはありません。
- そのため、音の良し悪しは個人にゆだねます。(性能評価≠音の評価)
周波数特性について
- 周波数特性について、少し脱線します。これも重要です。
- 上記は音がオーディオ機器を通して耳に伝わるまでの一例を示したものです。
- 経路のどこか一つでも周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- 水道管のどこかで詰まれば、最終的な出口である、蛇口の水の出が悪くなるのと同じです。
- トータルで考えなければいけません。
マイクの周波数特性
- 音である空気振動を電気信号に変換する装置です。
- マイクの周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- マイクには指向性もあり、音圧が変化します。
- マイクではなく録音された音源であることもあるでしょう。
- 音源の周波数特性が悪ければ当然オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
アンプの周波数特性
- 小さな電気信号を増幅する装置です。スピーカを駆動できるように電圧増幅します。
- アンプの周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- 昔は無用なアンプのパワー競争がありましたが、通常音量で数ワットあれば十分です。
- アンプは経年変化し、性能劣化します。
- 例えばボリュームにホコリが混入するとガリが発生し、ノイズを生じます。可変抵抗も磨り減って特性が変わります。
- 電解コンデンサが経年変化で容量抜けして特性が変わったり、液漏れして故障します。
スピーカの周波数特性
- 電気信号を空気振動に戻し、音を出す装置です。
- 一つのスピーカユニットで低音から高音まで再生することは難しいため、2つ以上のスピーカユニットを搭載します。
- スピーカの周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- スピーカのインピーダンスは出力周波数によって微妙に変化するため、アンプとの相性も大切です。
空間の周波数特性
- スピーカから耳までの空間です。ヘッドホンやイヤホンであればほとんど存在しません。
- 空間の周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- 専用の音響空間なら特性を計算されていますが、一般的な部屋では詳細まで考えられていないでしょう。
- スピーカの配置や壁の反響などで特性が変わります。距離が遠ければ音は減衰します。
- 厳密なことを言えば、窓を開けていて空気が移動するだけで周波数が変わります(ドップラー効果)。
耳の周波数特性
- 個人によって、耳の特性も異なります。忘れがちですが、一番重要です。
- 耳の周波数特性が悪ければ、オーディオシステムとして(全体として)周波数特性も悪くなります。
- 若者は高音も聞こえますが、年齢を重ねるにつれ高音が聞こえなくなります。
- つまり耳の周波数特性も経年劣化します。
- アンプの経年劣化よりも、耳の経年劣化が先にきます。
- ある統計によれば25歳を境にして14KHz以上聞こえなくなります。
- つまり、若者はホワイトノイズに敏感ですが、年齢を重ねるとホワイトノイズを感じなくなります。
- 実際、私自身、昔はFMステレオ放送のパイロット信号(19KHz)が聞こえていました。
- しかし現在、15KHz以上は聞こえません。
- 皆さんも一度、耳の周波数特性確認をお勧めします。
- アンプやスピーカの周波数特性よりも悪いかもしれません。
- 大音量で聞き続けると、耳の感度が落ち難聴になることがあります。過大入力で耳も故障します。
アンプの周波数特性
- パソコンのオーディオ入出力を使って計測します。
- 具体的には信号発生ソフトWaveGeneとスペクトルアナライザ・ソフトWaveSpectraを使います。
- ユーザ波形としてスイープ波形が用意されており、アンプの周波数特性を計測できます。
- 詳細な計測方法はWeb上に解説されていますので、そちらをご覧ください。
- http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/
- まずはパソコンのオーディオ入出力の周波数特性を計測します。
- ただしオーディオ出力はUSBオーディオ(デジタル)のため今回は計測できません。
- 測定器としてどの程度の性能、精度があるのかを確認します。
- コツとしてはオーディオの入出力も16ビット、48KHzにしておきます。
- 上記は信号なし(入力をグランド接続)でのオーディオ入力周波数特性です。
- ここまでノイズ(100dB以上)が下がっていれば、測定に影響を与えることはないでしょう。
- 上記はアンプのノイズ周波数特性です。
- SN比測定でよく使われるIHF.Aフィルタは商用電源ノイズをフィルタリングしてしまいメーカに都合のよい数値です。
- 上記はIHF.Aフィルタを通していません。IHF.Aフィルタを通すとSN比は概ね100dBくらいでしょう。
- わずかですが100Hz,200Hz,300Hzとデジタル特有の高調波ノイズが見られます。
- いわゆる高級アンプのSN比性能と同等です。
- 上記はアンプの出力周波数特性です。
- アンプは増幅しますので、オーディオ入出力ボリュームを微調整し、最適な音量になるようにします。
- アンプの増幅度は-30dBに固定しています。
- 過大音量の場合、クリップしてしまい、音われを起こして正しく測定できません。
- 詳細を確認するため、表示レンジを±10dBにしました。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- スイープの上限20KHzまでほぼフラット状態を確認できます。
- 若干高音部に盛り上がりが見られます。
- いわゆる高級アンプの周波数特性と同等です。
ヘッドホンアンプの周波数特性
- 上記はヘッドホンアンプのノイズ周波数特性です。
- LV-1.0はパワーアンプとヘッドホンアンプを独立装備しています。
- アンプ同様にわずかですが100Hz,200Hz,300Hzとデジタル特有の高調波ノイズが見られます。
- 上記はヘッドホンアンプの出力周波数特性です。
- ヘッドホンアンプは増幅10dBしますので、オーディオ入出力ボリュームを微調整し、最適な音量になるようにします。
- アンプの増幅度は-20dBに固定しています。
- 詳細を確認するため、表示レンジを±10dBにしました。
- 入出力特性を比較しやすいように0dBにシフトしています。
- スイープの上限20KHzまでフラット状態を確認できます。
- 高音部に若干伸び悩みが見られます。ただし視聴で見分けれれる人はまずいないでしょう。
性能評価
- 前述したように音の良し悪しを評価するものではありません。
- あくまで性能を評価するものです。
- デジタルオーディオ時代のアンプとしては非常に性能のよいアンプといえます。
- 贅沢を言えば、微弱なデジタルノイズをあと少し押さえこめるとよいでしょう。
- 以前は何十万円もした高級アンプを一桁低い値段で実現しています。
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