LV-2.0 premiumの紹介と改良
- 2014-06-15 初版
- 2014-09-15 2版 USBDACの使い方
- 2015-06-07 3版
- 2016-01-27 4版 サンプリング・レート表示方法
- 2016-03-18 5版 電力アンプ・モジュール発売
- 2019-05-10 6版 LV remocon更新
著作権と免責事項
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
- 改良、改造は自己責任です。
- メーカーへ問い合わせもお控えください。
LV-2.0 premium
- LV-2.0 premiumは LV-1.0 アンプの後継として登場しました。
- 目標はハイレゾ、特にDSD対応でした。
- モジュールのコンパクト化も図りました。
- PCから専用ソフトでコントロールすることができます。
- あるいは赤外線リモコンでコントロールします。
- キットでありながら市販製品と性能的には同等レベルの本格的なハイレゾ対応アンプです。
- 市販製品では不可能な改良を施すことができます。
- たとえば、ヘッドホンアンプ基板を交換することができます。
- LV-2.0の製品紹介ページ
- USB-DAC基板(LV2-USBDAC、Combo384[USBオーディオ]+テキサス・インスツルメンツPCM1795[PCM、DSD用DAC])
- プリアンプ基板(LV1-PRAM、シーラスロジックCS3310[電子ボリューム])
- システムマイコン基板(LV2-SMBM、NXPセミコンダクターズLPC1343[USB制御])
- ヘッドホン・アンプ基板(LV2-HPAM、トランジスタ[ヘッドホン出力])
- パワー・アンプ基板(LV2-PWAM、インターナショナル・レクティファイアーIR4301[D級アンプ])
- AC/DC電源基板(LV1-ACDCM、[DC±35V])
- DC/DC電源基板(LV1-DCDCM、[DC5V,DC±12V])
- 専用電源トランス(LV1-TR50)
- 専用リモコン(LV1-REMOCON)
LV-2.0 PCソフトウェア・バージョンアップ
- 2014-09-12にLV-2.0 PC用ソフトウェアがバージョンアップされました。
- LV-2.0 PC用ソフトウェアからダウンロードできます。
- 購入いただいた方を忘れてはいません。
- 見た目に大きな変更があります。
- ウィンドウの枠がなくなり、PCの中にアンプが存在しているようです。
- ウィンドウがなくなってしまったので、移動は矢印キーで行います。
- アナログメータもでたらめに動いているわけではありません。しっかりとレベルを表示しています。
- Windows 8.1の拡大表示(デフォルト設定)していると崩れることがあるかもしれません。
- プログラムのプロパティで「互換性」->「高DPI設定では画面のスケーリングを無効にする」にチェックを入れてください。
- LV-1.0 LV-2.0 用のリモコンソフトをバージョンアップしました。2019-05-10
- LV-remoconからダウンロードします。
- いわゆる令和対応の累積更新を行うとアプリのレイアウトが壊れます。その対策です。
- Windows 10用 KB4495667
- Windows 8.1用 KB4493443
- Windows 7用 KB4493453
- 詳細は不明ですが、令和の合成文字()のためにフォントサイズを変更したようです。
- これにともない、フォントサイズに自動連動するようにレイアウトを設定していると、自動的にレイアウトを調整します。
- ところがフォントサイズに関係のないものまでレイアウト調整するようで、レイアウトが崩れます。
- 例えば、画像などフォントサイズに関係がありません。にも関わらず、勝手に調整するようです。
ハイレゾの基礎知識
- LV-2.0ではハイレゾを再生するソフトウェアとしてfoobar2000を利用します。
- ハイレゾに関して必要な知識を解説します。
- Windows Media PlayerでもPCMを再生できますが、DSDを再生できません。
- Windows Media PlayerではWindowsのバージョンによりPCMのサンプリング周波数に上限があります。
ハイレゾとは
- ハイレゾリューションはJEITAと日本オーディオ協会で定義しています。
- JEITAの「ハイレゾリューション・オーディオ」とはCD/DVD仕様(44.1kHz/16bitあるいは48kHz/16bit)を超えるディジタルオーディオです。
- 日本オーディオ協会の「ハイレゾリューション・オーディオ」はJEITAの定義に加えてアナログのハイレゾ(高域周波数が40KHz以上であること)を定義しています。
WASAPIとは
- Windows Vista以降に搭載されたWindows Audio Session APIで、
排他モードを利用する(バイパスする)ことでレイテンシー(遅延時間)を小さくすることができる。
ASIOとは
- ASIO:Audio Stream Input Outputはオーディオデバイスのドライバで、
OS標準ドライバとは別の経路を通りレイテンシー(遅延時間)が小さい。
DoPとは
- DoP:DSD Audio over PCM FramesはUSB のAudioクラスでDSDデータを
PCMデータに見せかける技術。USB Audio は通常PCMデータしか扱えないが
特別な印(マーカー)と一緒にDSDデータをPCMデータに見せかけて
DSD再生オーディオ機器にUSB経由で伝送する。
DoPに対応したオーディオ機器側でマーカーの有無を検出しPCMデータかDSDデータに戻す。
PCMとは
- PCM:Pulse Code Modulationはパルス符号変調と呼ばれ、アナログ信号を一定間隔で
デジタルに変換したデータ。代表例はサンプリング周波数44.1KHz、量子化ビット数16のCD。
DSDとは
- DSD:Direct Stream Digitalはパルス密度変調方式でアナログ信号をデジタルに
変換したデータ。1ビットオーディオとも呼ばれる。サンプリング周波数は
44.1KHzを基準としてDSD64(64倍)、DSD128(128倍)と呼ばれる。
データ伝送経路
PC上にある音声ファイルを再生するためのデータ伝送経路が4つあります。まずはこれを把握する必要があります。
- PCMのDirectSound経由(Windows標準経路)
- PCMのWASAPI経由
- PCMのASIO経由
- DSDのASIO経由(DoPを併用)
- USBの出口が2つありますが、ソフトウェア上のAudioドライバとASIOドライバを明確にするためです。ハードウェア的には1つのUSBです。
- 4つの経路をfoobar2000の出力設定で切り替えます。
- DirectSound経由はドライバの処理が重たいため遅延します。
- そこで、WASAPI経由(バイパス、ショートカット)すると遅延を抑えることができます。
- さらに専用のASIOドライバを経由することもできます。
- DSD再生はDoP機能を使って、ASIO経由で出力します。
表示モード
デジタル表示
- バータイプのレベルメータです。
- 左上の2.09rはファームウェアのバージョンです。
- PCMとDSDは自動的に認識され切り替わります。
- PCM再生の場合、USB DACと表示します。
- DSD再生の場合、USB DSDと表示します。
アナログ表示
設定表示
設定
リモコン操作方法
- [+][-]ボタンで項目移動
- [SELECT]ボタンで切替
Power Save:[OFF/ON]
- ON設定で以下の動作を行います。
- リモコン無操作10秒でOLED自動消灯([OLED]で復帰)
- 6時間で自動電源オフ(OLED消灯無音時の電源切り忘れ防止)
De-Emphasis:[Disabled/48KHz/44.1KHz/32KHz]
- PCM1795のPCM用デエンファシスを選択します。
- 1980年代にプリエンファシス(高音が強調)されたCDやDATがあります。
- デエンファシスして元に戻します。
- DSDのフィルタ設定と連動しているので、ご注意ください。
DSD:[Filter-1/Filter-2/Filter-3/Filter-4]
- PCM1795のDSD用デジタルフィルタを選択します。
- PCMのデエンファシス設定と連動しているので、ご注意ください。
Roll-Off:[Sharp/Slow]
- PCM1795のPCM用デジタルフィルタを選択します。
- インパルス応答が少し異なります。
ここまで細かい設定のできる市販品はまずないでしょう。
LV-2.0のBluetooth対応方法
- PCやスマートフォンで音をBluetooth送信できる機種があります。
- LV-2.0をBluetooth対応にする方法を紹介します。
- 少し前まではBluetooth経由の音はオーディオとして聞くに堪えられない品質でした。
- ところがA2DPプロファイルの登場により、品質が向上しました。
- A2DPに対応していることが重要です。apt-XあるいはAAC方式により音質が向上しました。
- 標準的な音(ハイレゾを除く)であれば、十分な品質が確保されています。
- ハイレゾではなく、気軽に聞く便利さを優先するのであればこれもありです。
- 具体的にはELECOMのLBT-AVWAR700(Bluetoothレシーバ)をLV-2.0のアナログ入力に接続します。
- あとはペアリングするだけです。
- 聞いてみるとBluetooth経由の音が悪いという印象は過去のものです。
LV2-USBDACMの単独利用
- LV2-USBDACMはCombo384とPCM1795を搭載したモジュールです。
- そのままでもPCM音源(DSDを除く)を再生することができ、自作機器への組み込むことができます。
- 外部から制御することでPCMとDSDを切り替えることができます。
- PCMとDSD切替時のノイズも低減されています。
- PCMとDSDを自動切換えする制御例を示します。DSD時LEDが点灯します。
- 注意事項として制御用電源は3.3Vです。
外部コントローラの必要性
- LV2-USBDACMはもともと外部コントロールを前提にしています。
- なぜこのような仕組みなっているか考えてみましょう。
- Combo384は外部にDACを接続しなければ音が出ません。DACにも種類があり、コントロール方法もさまざまです。
- そのため、Combo384はDACを自動制御することができません。
- DACのPCM1795はデフォルトでPCMを再生します。自動的にDSDへ切り替わりません。
- PCM1795の制御はコマンドで行う必要があり、単純ではありません。
- そこで外部コントローラが必要になります。
LV2-USBDACMモジュールはお得
- Combo384はそのままでは音がでません。DACやオペアンプが必要です。
- 部品の値段を見てみましょう。
- Combo384=\12,000前後
- PCM1795=\1,500前後
- LME49740NA=\500前後
- LME49720NA=\300前後
- これだけそろえるだけでも\14,300前後になります。
- 専用基板に実装されて、\17,800(税抜)ですから、非常にお得です。差額の約\3,500で基板製造や部品実装を請け負ってくれるところはないでしょう。
自動ミュート回路内蔵
- Combo384はPCMとDSD切替時にポップノイズを発生します。
- PCMとDSDはデジタルデータではありますが、データ形式が異なります。
- 切替時にその違いがアナログに出力されます。大きなポップノイズです。
- そのため、Combo384からミュート信号を出力します。
- ところが、曲間のPCMとPCM、DSDとDSDでも無駄なミュート信号が出ており、これが小さなノイズとなります。
- そこで無駄なミュート信号を省くように信号を補正しています。
- さらに、PCM1795に最適なミュート信号に整形しています。
- タイミングが悪いとPCM1795内でPCMとDSDの切替ができないためです。
- 細やかなミュート信号処理により、切替ノイズを最小限にとどめています。
Combo384は高性能
- Combo384の基本性能をみてみましょう。
- PCM:44.1KHz, 48KHz, 88.2KHz, 96KHz, 192KHz, 382.8KHz, 384KHz
- DSD:2.822MHz(DSD64), 3.072MHz, 5.644MHz(DSD128), 6.144MHz
- LV2-USBDACMの仕様にPCM:384KHzがないと気がついた方は鋭いです。
- DACのPCM1795がPCM:384KHzに対応していないからです。
- TIのPCM5100シリーズであれば、PCM:384KHzに対応しています。ただしDSDに対応していません。
- 現状ではPCMとDSDの両方に対応した、PCM1795が最適といえます。
- そもそも、PCM:384KHzのハイレゾ音源が存在しないため(単にサンプリングレートをコンバートしたものを除く)、PCM:192KHzで十分といえます。
- 将来、高性能なDACが登場してきたときに、性能を発揮するでしょう。
LV2-SWITCHM-KIT
- 上記のコントローラはLV2-SWITCHM-KITとして発売されました。
- 基本的にはLV2-USBDACMとLV2-SWITCHM-KITを組み合わせるだけで(電源やケースは別)、PCM/DSDを楽しめます。
- Combo384のファームウェア・バージョンが1080である必要があります。
DoPとASIO Nativeの違い
- foobar2000でDSDを再生する場合、DoP方式とASIO Native方式を選択できます。
- どちらもドライバ・ソフトウェアとして認識されますが、違いは音としてWindowsが認識しているかどうかです。
- DoP方式はWindowsが認識しています。そのため、PCMとDSDを切替ても正しく音が再生されます。
- 一方、ASIO NativeはASIO独自の方式のため、音としてWindowsは認識していません。そのため、Windowsが出す音(たとえばクリック音)が正しく再生できません。
LV-2.0 premiumのMac利用
- 一部制限事項がありますがMacでも利用できます。
- MacでもLV-2.0 premiumでハイレゾ再生できます。
- ハイレゾ再生のためにCombo384を搭載しています。
- http://amanero.com/
- Combo384はMac OSX 10.6以降に対応しています。
- 制限事項とはPC用コントロール・ソフトウェアのMac版がありません。リモコンと同じ機能ですので、支障はありません。
- Macの再生ソフトの使用方法、設定方法が確立されていません。
- どのソフトでどのように設定すれば、確実にハイレゾを再生できるのかわかりません。
- メーカーとしての動作保証はありませんが、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
サンプリング・レート表示方法
- LV-2.0 premiumでサンプリング・レートを知りたいことがあります。
- foobar2000で再生した音源が本当にそのサンプリング・レートで再生されているのか確認するためです。
- LEDでサンプリング・レートを表示します。
- その改造方法を紹介します。
前提条件
- Combo384のファームウェアを設定する必要があります。デフォルトでは機能しません。
- 古いCombo384のファームウェアでは機能しません。
- 条件によりDSDのサンプリング・レートを知ることができないことがあります。
- 改造は自己責任です。
ハードウェア
| DSD64_128 | FS3 | FS2 | FS1 | FS0 |
PCM32KHz | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
PCM44.1KHz | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
PCM48KHz | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
PCM88.2KHz | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
PCM96KHz | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
PCM176.4KHz | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
PCM192KHz | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
PCM352.8KHz | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 |
PCM384KHz | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
DSD64 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
DSD128 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
DSD256 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
制限事項
- DSD64,DSD128表示はDoP時のみ有効です。ASIO Native時は機能しません。
- DSD256はASIO Nativeしか再生できないため機能しません。
- ※LV2-USBDACMはDSD256に対応していません。
ソフトウェア
- Combo384のファームウェア更新ツールで設定します。
- Configuration bitsタブのEnable F0,F1,F2,F3 functionsをチェックします。
- Write Flashします。
電力アンプ・モジュール発売
- LV-2.0用の電力アンプ・モジュールが発売されました。安価です。
- 初期ロットは数が少ないため、お早めに。
- LV-2.0用に限定されず、電源(±12V)さえ用意できれば利用できます。
- 最大の特徴は電圧増幅器(ボルテージアンプ)ではなく電力増幅器(パワーアンプ)です。
- ぜひご自身の耳で電力アンプの音をお確かめください。
- ※電源コネクタCN5,CN6はどちらかを供給してください。一方は予備端子です。
- ※R13,R14を変更することで、スピーカーのインピーダンスに対して最適な動作に調整できます。
- ※出力は1W+1Wです。一度最大ボリュームで1Wの音量を確認してみるとよいでしょう。
- ※その場にいられなくなりますので、難聴や騒音問題にご注意ください。
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