GPSCAP2
- 2019-01-09 初版 みちびき対応GPS
- 2021-11-23 第2版 bullseye(kernel 5.10.x)対応
- 2023-10-24 第3版 bookworm(kernel 6.x)対応
- 2024-03-07 第4版 Raspberry Pi 5対応
はじめに
GT-902PMGG
- みちびき対応のGPS受信モジュールです。
- みちびきはGPS衛星互換の信号を送信します。
- みちびき専用の信号を受信できません。
信号線
- Red=VCC(3.3V)
- Black=GND
- Orange=TXD
- Green=RXD
- Brown=1pps
みちびきの誤解
- みちびきに対応したからといって、劇的に精度がよくなるわけではありません。
- 捕捉できるGPS衛星が一つ増えるだけです。みちびきはGPS互換の信号を送信します。
- ほぼ真上にみちびきがいるため、ビルの影響を受けにくく、常に捕捉できるメリットがあります。
- みちびき専用の信号(GPS互換とは別)を受信できなければ、1cmの精度になりません。
- みちびき専用の受信機が必要です。
- みちびき専用受信機は大型で高価です。
著作権と免責事項
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
情報のまとめ
動作確認情報
- 2024-03-07現在
- Raspberry Pi 2B/3B/3B+/4B/5B
- bullseye (kernel 5.10.x)
- bookworm (kernel 6.1.x)
- ※Raspberry Pi 3A+は未確認です。
- ※Lite版は未確認です。一部パッケージがインストールされていないことがあります。
- Raspberry Pi 4 の注意事項はこちらです。
- Raspberry Pi 5 の注意事項はこちらです。
RPI5:Raspberry Pi 5対応
- RPI5は多くの変更をしました。
- そのためRPI5対応しました。
- 多くのGPIO用Cライブラリ、PythonライブラリがRPI5に対応していません。
- WiringPiは廃止しました。
- GPIOのsysfs方式は廃止の予定です。libgpiod方式へ切り替えました。
- libgpiod方式はLinuxの標準機能として組み込まれています。
- 今後の主流になるでしょう。RPI5にも対応済みです。
- このため使用するライブラリをlibgpiodに変更しました。
- しばらく安心して使い続けられるでしょう。
- RPI5対応したgpiozeroライブラリも使います。
- gpioの代替コマンドraspi-gpioは廃止されました。pinctrlに切り替えました。
入手先情報
ご注意
初回
- 初回のみ衛星を捕捉するまで、時間がかかります。
- 30秒以上必要です。
GPSCAPの改造
GPSモジュールを交換します。ラズパイとのピン接続です。
- Red=1ピン(3.3V)
- Black=6ピン(GND)
- Orange=10ピン(RXD)
- Green=8ピン(TXD)
インストール方法
3B/3B+用です。
- $ cd
- $ wget http://einstlab.web.fc2.com/RaspberryPi/GPSCAP2.tar
- $ tar xvf GPSCAP2.tar
- $ cd GPSCAP2
- $ ./setup.sh
- $ sudo reboot
操作方法
- gps.py をrc scriptで自動起動します。
- ログファイルは~/gYYYYMMDD.txtです。
- 日本標準時(JST)を基準にした日付別ファイルです。
- qzss.sh は捕捉したGPS衛星番号を表示します。
- みちびきは次のいずれかです。
- 193 = みちびき1号
- 194 = みちびき2号
- 195 = みちびき4号
準天頂衛星システム(QZSS)
- みちびき
- 準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)
- 2018年11月から運用開始しました。
- この「準」とは「大体、ほぼ」という意味です。
- 天頂とは「真上」という意味です。
- つまり日本の「大体真上の衛星」という意味です。
- 米国の空軍が運営しているGPS衛星は約2万km上空の軌道にあり、地球をぐるぐる回っています。
- 24機の衛星が絶えず回っており、常に最低4つの衛星を捕捉できる仕組みです。
- 絶えず移動しているため、ビルの陰に入ると捕捉できなかったり、ビルの反射波(ゴースト)を直接波と誤解して大幅な計算ミスをします。
- この現象をマルチパス(複数の道)と呼びます。
- 反射波を直接波と誤解して別の道として計算します。
- ぐるぐる回る衛星ではなく、常に日本の真上に衛星があれば、回避できます。
- これを静止衛星と呼びます。実際の静止衛星は地球の自転と同じ速度で移動するため、見かけ上静止しているように見える衛星です。
- この静止衛星は赤道上空にしか配置できません。
- 衛星に働く遠心力と地球との重力がつり合い、地球の自転方向と一致する軌道は赤道上空しかないからです。
- 気象衛星ひまわりは赤道上空(35,800km)の静止衛星です。
- ところが日本は赤道上にありません。
- 気象衛星とは異なり、準天頂衛星は日本の真上にある必要があります。
- そこで、赤道を中心に北半球と南半球を振動する軌道をとるように工夫しました。
- しかも対称の振動ではなく、日本上空に長くとどまるような非対称の振動です。
- 地上からみると8の字の頭を小さくしたような軌道です。
- このため、1機では24時間をカバーできないため、3機を順番に入れ替えることによって対応します。
- このように、日本上空を大体1機が配置されるような運用になるため、「準天頂衛星」と呼ぶのです。
- 仮に日本上空に静止する衛星なら、単に「天頂衛星」と呼んだでしょう。
GPS測位の誤差
- 現在のGPS測位は最大10m程度の測位誤差があります。
- 誤差が発生する原因は、様々あります。
- 電離層を測位信号の電波が通過する際の電波の速度変化や、地表から見える衛星の配置が悪いと影響をうけます。
- 地球が球ではないことも影響します。
- 人工衛星は地球の重力と遠心力が釣り合った距離(半径)を維持します。
- 地球は不完全な球体であり、表面は凸凹しています。
- 平均海水面をジオイド面と呼びます。
- GPSが想定する地球を測地系(xyz軸)とよびWGS84(world geodetic system 1984年版)などが知られています。
- 測地系は緯度経度の他に高さ方向(Z軸方向)のジオイド面が含まれます。
- 逆に言えば、ジオイド面は測地系の一部です。
- GPSは平均的な海面位置を想定して測量します。
- 月の引力によって、潮の満ち引きが生じるように、地球上にある山など重力が少し大きい上空を衛星が通過するとき、わずかに引っ張られて高度が変化します。
- ジオイド面は山の部分で重力の影響により盛り上がります。
- GPS衛星には高精度の原子時計を搭載しています。
- 高精度とはいえ、誤差がゼロではありません。そのため測位にも誤差が生じます。
- さらにGPS衛星は高速で移動しているため、特殊相対性理論により、GPS衛星の時刻と地上の時刻に差を生じます。
- GPS衛星の時刻が遅れます。
- さらに一般相対性理論により、重力の影響でGPS時刻と地上の時刻に差を生じます。
- GPS衛星の時刻が進みます。
- GPS測位ではこれらの影響を無視できず、補正します。補正しないと一日あたりkm単位でずれます。
- 地上のGPS制御センターで衛星の送信情報を定期的に補正します。
- なおGPS時刻自体は「うるう秒」を補正しません。その代わりUTC時刻との差分情報を提供します。
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