ガイガーカウンタ
空気ガイガー・ミュラー計数管
困ったことにガイガー・ミュラー計数管は一般に入手困難である。
国産メーカーは生産をほとんど中止した。入手できたとしても高価である。
海外でも限られている。
実は空気を使い1気圧でも計測できる。
ただし、3000Vから5000Vの高い電圧が必要(口径に左右される)。
放電は電子のエネルギーが不活性ガスの電離エネルギー(W値)を超えたとき発生する。
放電をしやすくさせるためには2つの方法がある。
- 電圧を上げる。電子の平均自由行程中の加速度を上げる。電圧が高いほど電子のエネルギーは増す。
- 内圧を下げる。密度を下げることで(不活性ガスに衝突せず)電子の平均自由行程の距離を広げ、電子の加速する距離を稼ぐ。加速する距離が長いほど電子のエネルギーは増す。
空気ガイガーミュラー管では内圧を下げることができないため、電圧を上げることで放電しやすくしている。
口径が大きいほど感度を高くできる。
空気中の大部分が不活性ガスに近い窒素であるため不活性ガスの代替になる。
空気中の組成
窒素 | 78.08% |
酸素 | 20.95% |
アルゴン | 0.93% |
二酸化炭素 | 0.035% |
連続放電阻害ガスとしてハロゲンガスの代わりにブタンガス(ライターのガス)を用いる。
アルコールでもよい。
放電しっぱなし(電子回路で言うところの発振状態に相当)を防止するためである。
放電といっても火花は出ない。目では確認できない。
比較 | 一般的なガイガー・ミュラー計数管 | 空気ガイガー・ミュラー計数管 |
不活性ガス | Ar, He | N |
連続放電阻害ガス | ハロゲンガス | ブタンガス |
内圧 | 0.1気圧 | 1気圧 |
印加電圧 | 500-700V | 3000-5000V |
入射窓 | 雲母(マイカ) | 食品用ラップ |
(ちなみに放電により酸素がオゾンに変わり、食品用ラップをあけるとわずかに臭う。)
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