空気ガイガーカウンタがキット化され、ビット・トレード・ワンから発売されました。
名前の由来キットの特徴
- ガイガーミュラー管に「空気」を利用することから、「空気ガイガーカウンタ」と名づけました。
- 空気中の78%を占める窒素を不活性ガスとして利用します。
キット製作時の注意事項
- 空気ガイガーカウンタVer2をベースに改良が加えられています。
- PCでデータ収集できるようにUSB接続できます。もちろん単独利用もできます。
- ファームウェアをUSB経由で更新できます。電圧調整用の左側スイッチをONしたまま電源ONすると更新モードになります。
- 専用基板で組み立てが容易です。
- 専用ケースで使いやすく、使用中に高電圧から保護されます。
- ガイガーミュラー管にフィルムケースを使用しているので、入手性がよく、長期の納期待ちが発生しません。
- 土壌などからの空間放射線量を測定できます。
- 食品中の放射線量を測定できません。微量過ぎるため感度が足りません。
- 精度は保証されませんが、相対的な比較ができます。バックグランドに対して何倍など。
.NET Framework
- LED1,R10,R11は取り付けません。取り付けてしまうと部品不足になりますのでご注意ください。これらは開発時の確認用です。
- 006P用電源スナップはケースの電池ボックス内にあります。ケースの付属品ですのでご注意ください。
- 必ずアルカリ電池を使用してください。マンガン電池では容量が足りずあっという間に電池寿命になります。
- 006Pアルカリ電池は100円ショップで購入できます。
- 改造して9V電源アダプタを使う場合は、必ず安定化した電源を利用してください。
- トランス式の9V電源アダプタは開放電圧が12Vくらいあり、故障の原因になります。
ノウハウ
- HIDBootLoader.exe および AirGeiger.exe の動作には .NET Framework が必要です。
- OSが古い場合.NET Frameworkの新しいバージョンをインストールする必要があります。
- .NET Framework 3.5 には .NET Framework 2.0、3.0 の機能が含まれます。
デフォルトでインストールされている.NET Frameworkのバージョン
OS Version Windows XP .NET Framework 1.0 Windows Vista .NET Framework 2.0/3.0 Windows 7 .NET Framework 2.0/3.0/3.5 - 詳しくはこちらをご覧ください。
較正方法
- 空気ガイガーミュラー管の穴をエポキシ樹脂ボンドでしっかり塞ぐと密閉度があがります。
- もちろんラップの窓に穴が開いていないか確認しましょう。何度もガス調整するとラップに穴が開きます。
- 1週間ほどガス調整せずに使っていますが、ガス抜けはないようです。
- ファームウェア更新後、USBデバイスとして再認識させるために、一旦USBケーブルを抜き、電源を切ります。しばらくしてUSB接続すると認識します。認識しない場合は繰り返します。
- 太陽に向けるとカウント値が上がります。曇りの日でも紫外線に反応するためです。
- ラップの窓を油性の黒マジックで塗りつぶすと良いでしょう。紫外線をカットできます。
- 計測は電圧が安定してから行いましょう。
- 1回の計測時間は1分以上必要です。
- ばらつきを伴うため最低3回は測定し、平均をとりましょう。
- 食品用ラップの素材はポリ塩化ビニリデンを選んでください。ポリエチレンもあります。ポリエチレンは酸素透過性が高いため向いていません。
- 湿度の高い日に空気ガイガーミュラー管の調整は避けましょう。内部の紙が湿度の影響をうけたり、うまく調整できないことがあります。
測定値のばらつき
- 簡易シーベルト表示のためには、簡易較正が必要です。シーベルト換算値CPM/(uSv/h)を設定する必要があります。
- 簡易シーベルト表示はあくまで目安です。
- 較正には、放射線量がわかっている校正用放射線源(γ線)が必要です。あるいは正しい表示をするガイガーカウンタと比較測定することで調整します。
- 感度はガイガーミュラー管の良し悪しに依存します。感度はガス調整したり、電圧調整すると変化します。その都度較正が必要です。
- ガイガーミュラー管の状態、駆動電圧により、感度は変化します。定期的に較正が必要です。
- そのため各自で較正してしていただく必要があります。
- γ線感度で調整するため、ガイガーミュラー管をアルミ板(1から3mm)でα線、β線を遮蔽した状態で較正します。
- シーベルト(uSv/h)=CPMカウント数(cpm)/γ線感度です。
- つまり、較正は「γ線感度=シーベルト換算値CPM/(uSv/h)」を見つける作業になります。
- 較正後はアルミ板で遮蔽した状態でシーベルト表示を読み取ります。α線やβ線が混入すると正しいシーベルト表示になりません。
紹介記事、レビュー
- 放射性物質は放射線を確率的に放出します。短時間では必ずしも一定ではありません。(長期的に平均すると一定です。)
- つまり必ずばらつきを伴います。
- 特に微量の放射線の場合(最小測定範囲付近)顕著になり、ばらつきは大きいものになります。
- 例えば、あるときは1cpmであったり、あるときは2cpmだったりします。つまり2倍のばらつきが発生します。
- ばらつきを出来るだけ抑えるために、1分間の移動平均処理をしています。
- 平均処理しているものの、微量放射線ではばらつきを伴います。
- ばらつきを抑えるためには、感度の高いガイガーミュラー管を使用し、平均時間を長くします。
- BEACON
- エレキジャック
- AKIBA PC Hotline!
- EXドロイド
- ラジオライフ、2011年12月号
- 以前の空気ガイガー・カウンタをベースに改良を加えました。
- 液晶を小型化しました。
- PICを16F88から16F1827に変更しました。16F88も使えます。
- 基板化しました。
- 改良を重ね、安定した測定ができるようになりました。
- 空気ガイガーミュラー管の口径が大きいため、市販のガイガーカウンタよりも感度が高いです。
- 駆動電圧を調整できるため、様々な口径の空気ガイガーミュラー管に対応しています。
- 手作りといえども、侮れません。
- 高電圧で危険です。
- 自己責任で利用してください。筆者は一切の責任を負いません。
- 著作権を放棄していません。
- 測定値、精度を保証するものではありません。
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も著作権者は責任を負いません。
- 仕様は予告なく変更されることがあります。
電気特性
物理特性
動作電圧[volts] 3380-3440(これは一例、GM管の作りに大きく依存します) 最小不感時間[u sec] 50-100 最大プラトー傾斜[% / 100 volts] - 推奨アノード抵抗[M ohms] 10 ガンマ感度 [cpm/uSv/h] 375(これは一例、GM管の作りに大きく依存します) バックグラント[cpm] 10-40
全長[mm] 47 直径[mm] 30 材質 フィルムケース 窓 ラップ 連続放電阻害ガス ブタンガス
検出放射線 α、β、γ、X線 検出確認 LEDと検出音 計測範囲 自然界の放射線を検知可能。
ブタンガス濃度、空気GM管の口径に依存。表示範囲 0-65536[cps], 0-65536[cpm], 残り計測時間0-59[sec], 駆動電圧0-8192[V] 駆動電圧範囲 約2500-4700V、電池電圧に依存、5V単位で設定 使用電池 006P 9V(電源電圧範囲5.5Vから20V) 消費電流 20mA 電池寿命 006Pアルカリ電池485mAH/20mA=24hour 寸法 W117xD84xH41mm 重量[g] 140(電池含まず)
- 本体
- 高電圧部
- GM管部
- 本体
型番 数 Parts 備考 100u 1 C1 縦型電解コンデンサ,耐圧16V (秋月) 22u 1 C2 縦型電解コンデンサ,耐圧16V (秋月) SD1602HUOB 1 LCD1 16桁2行表示LCD, (秋月) 2SC1815Y 2 Q1,Q2 小型トランジスタ (千石) 2SC1815GR 1 Q3 小型トランジスタ (千石) 75K 1 R2 カーボン抵抗1/4W (千石) 3K 1 R3 カーボン抵抗1/4W (千石) 100K 3 R4,R6,R8 カーボン抵抗1/4W (千石) 1M 1 R5 カーボン抵抗1/4W (千石) 200K 1 R9 カーボン抵抗1/4W (千石) 10K 2 R10,R11 カーボン抵抗1/4W (千石) 150 1 R12 カーボン抵抗1/4W (千石) 4.7K 1 R13 カーボン抵抗1/4W (千石) 1K 1 R14 カーボン抵抗1/4W (千石) SW 2 SW0,SW1 タクトスイッチ (秋月) SLR343BCTT32 1 LED1 青LED (秋月) ST-14 1 T1 SANSUIトランス(500K:1K), 橋本電気株式会社, (千石) 16F1827 1 U1 PIC、16F88でもOK(秋月) LMC662 1 U2 CMOS オペアンプ(秋月) XC6202P502TB 1 U3 3端子レギュレータ5V(秋月) 9V 1 006P 角型アルカリ電池(秋月) SPT08 1 BZ 圧電スピーカー (秋月) Case 1 Case ポリカーボネート・ケース、117x84x41mm (秋月)
- 高電圧部
型番 数 Parts 備考 1000p 10 C1,C2,C3,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11 セラミックコンデンサ,耐圧1KV, (鈴商) 1N4007 10 D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8,D9,D10 電源用ダイオード,耐圧1KV, (秋月) 10M 2 R1,R7 カーボン抵抗1/4W (千石)
PIC16F88用 HEXファイル PIC16F1827用 HEXファイル
- ファームウェアをHI-TECH Cで書き換えました。
- タクトスイッチで駆動電圧を設定します。
- 駆動電圧設定に対して概ね±10Vの範囲で制御します。
- 緩やかなフィードバック制御のため、電源オン時、駆動電圧が安定するまでに数十秒かかります。
- タクトスイッチで駆動電圧を設定します。
- 事前にプラトー電圧範囲を測定しておき、その範囲に駆動電圧設定をします。
- 簡易的には、バックグランドが10から40cpmの範囲になるようにします。
空気GM管のアノード調整
ブタンガス濃度調整
- 空気GM管のアノード先端の折り返しをできるだけ短い間隔にします。
- まずガス濃度の特性として、濃度が高いとプラトー電圧が低い方へ移動します。
- 濃度が高すぎると、1回の放射線検出で複数回検出します。
- 駆動電圧を検出できる最小値にしておき、1回の放射線検出で1回の検出になるように濃度調整します。
- プラトー電圧を測定し、空気GM管の特性を把握しておきます。
- ガスを入れたり、逃がしたりして、上記を繰り返すとよいでしょう。
- ガスを入れてもすぐに平衡拡散するわけではないので、少し時間を置くとよいでしょう。濃度ムラが生じています。
- 空気GM管の密閉度を高くしておくと、安定度が増します。ガス抜けもあまり起こりません。
ブタンガス濃度や空気GM管の良し悪しによりプラトー電圧は変化します。(C)2005-2011 All rights reserved by Einstein.
駆動電圧とcpmを実測しました。これはプラトー電圧がはっきりしない例です(ガス濃度が高すぎた例)。
プラトー電圧がはっきりした最適な例です(ガス濃度が適切)。
標高実験(2011-07-15)
- この最適な状態で、大雑把なシーベルト換算をしてみます。
- 同じウランガラスでLND712とcpm比較すると、空気ガイガーカウンタの感度は375cpm/(uSv/h)です。
- もちろん、±50%くらいの誤差があると思ってください。
- 概ねLND712の約3倍の感度があります。
- ※プラトー(Plateau)とは「一時停滞」という意味です。
- ※バックグランドとはその場における自然界の放射線量と自分自身の素材から出る放射線量の合計です。
標高 cpm 30-50m 20-30cpm 2388m 40-60cpm
- 富士山での実験です。
- やはり標高が高いと宇宙線(γ線)を多めに検出するようです。
- 夜間の計測であり、紫外線の影響はありません。
- GM管でも同様に、1.5倍くらいを計測します。