廃炉の落とし穴工法
はじめに
- 原子炉の廃炉までに40年と言われている。
- しかも技術開発しながらとなり、未確定要素が多い。
- 内部を確認しようとしてロボットを侵入させるが、回収不能に陥り、ロボットの残骸だらけになる。
- そこで現実的な廃炉方法を考案してみた。
- 細かい部分はさておき、大まかな実現可能な方法の解説である。
発想の転換
- メルトダウンした原子炉の内部状況がわからないため、どのように取り出したらよいかさえわからない。
- 現状のままでは汚染水がもれ続ける。
- 作業員も放射線を浴び続ける。
- 漏れ続けるは、時間がかかるはで見通しが立たない。危険な状況が続く。
- そこでそもそも「取り出すこと」をあきらめ、「埋めて処理」することに発想を転換する。
- 理想論を言い続けても、現実には片付かない。どこかで妥協が必要である。
- 時間をかければかけるほど漏れ続け、トータルで考えると危険度を増す。
- もう一度、津波を受けたら、片づけどころではなくなるだろう。全部散らばる。
- 2015年9月10日の鬼怒川決壊で、せっかく取り除いた放射能汚染土は流され、回収不能になった。
- そこで、現実的な時間で片づけ、トータルでの危険度を下げる。
- 時間は重要な要素である。先延ばしすればするほど、問題を大きくする。別の災害に巻き込まれて対処不能に陥る。
- 老朽化も進む。鉄は錆、ますます作業が困難になる。
- チェルノブイリ原発でも石棺の老朽化が激しく苦労している。
- 原子炉の構造や状態を知る技術者もいなくなり、何が起こったか知らない技術者ばかりになる。
- 技術が継承されなかったり、情報が引き継がれないために、非効率になったり、失敗したりする。
- もちろんこれが100%安全で確実な方法ではない。しかし現在の技術で最善な方法を選択せざるを得ない。
- はやく廃炉できれば、その他の片づけに時間も労力も向けられる。
著作権と免責事項
- 個人利用に限定され、著作権者の許可なく商用利用できません。
- 直接間接に関わらず、使用によって生じたいかなる損害も筆者は責任を負いません。
落とし穴工法
- 原子炉格納容器以外の構造物をできるだけ事前に取り除いておく。使用済み核燃料など。片づけられるものは片づけておく。
- 作業用の横穴を掘る。
- そして原子炉の真下に縦穴を掘る。
- もちろん、シールド工法で行う。
- 原子炉を長期保存する底は厚いコンクリート構造にする。
- 縦穴の最後は掘らずに、爆破層とする。
- 爆破して確実に原子炉を落とす。作業時の被曝を避けるためである。
- 落とすことで、下のコンクリートが破損したり、破片が飛散したりするのを恐れるなら、クレーンで下におろせばよい。
- 上からコンクリートを流し込み全体を固める。コンクリート詰めすれば放射線を防げる。
- あとは1万年立ち入り禁止にする。
- この方法は低レベル放射性廃棄物の「余裕深度処分」に相当する。
- 本来なら高レベル放射性廃棄物の「地層処分」をしなければならないが、想定外のデブリになってしまったので思い通りにいかなくなった。
- 想定していた正常な状態ではなく、想定外の異常な状態である。想定していた工程や作業ができない。
- 難しくしてしまったし、あるいはもう手におえない状態かもしれない。
- ※放射性廃棄物に関する法律の改正も必要であろう。
落とし穴工法のメリット
- 現実的である。トンネル堀は技術的に確立している。
- もちろん難しい面もあるだろう。しかし取り出すことを考えるよりは簡単である。
- 短期で処理が済む。青函トンネルの工期は約20年であったが、ボスポラス海峡のトンネル工期は約6年に短縮。
- すでに事故から7年経つが、それだけの時間があれば処理できた。
- トータルでコストが安くすむ。ボスポラス海峡のトンネル工事は約2000から3000億円だった。
- 海峡のトンネル工事に比べたら、何十分の1の距離しかない。
- 原子炉内部を調べる必要がない。デブリがあろうが、すべてをコンクリート詰めする。
- 短期間で放射能漏れを防げる。何十年も放射能漏れを続ける必要はない。
- 余計な無理をして、被曝している場合ではない。無駄な努力をしている場合ではない。
- その後の手間がない。原子炉を冷やし続ける必要も漏れ水を防ぐ必要もない。
- 地下での作業になるため、作業員も無意味な被曝をしないで済む。
- 少なくとも100年くらいはコンクリートが壊れることはないだろう。100年耐久のコンクリートがある。
- 少なくとも現在よりは安全になる。いま再び津波が来て、原子炉が流されたら放射能汚染が拡大する。
- 心配なら100年後に再度処理する方法を考えればよい。
©2018 All rights reserved by Y.Onodera.